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成形性を2倍に高めた自動車用超ハイテンが世界で初めて実用化【新日本製鐵】
2011年10月5日
当社は自動車の骨格部品に適用可能な高い成形性と1.2GPa級の強度を併せ持つ高張力冷延鋼板(以下「高成形性1.2GPaハイテン*」と略)を開発し、このたび、日産自動車㈱殿が2013年に発売する新車に、世界で初めて適用されることとなりました。
これまでも当社は強度1.2GPa級のハイテン材を製造しておりましたが、強度と相反する性質である成形性の制約から、適用範囲は難成形性部品以外の用途に限定され、骨格部品への適用は980MPa級ハイテンまでとなっていました。車の安全性を支え、複雑な形状を持つ骨格部品に1.2GPa級ハイテンを適用し、車体の更なる軽量化を実現するためには、成形性・衝撃吸収特性・溶接性などの材料特性が必要となります。当社は日産自動車㈱殿とこれらの要求特性や実用化の検討を共同で実施し、強度と各種特性を高い次元で両立させた高張力鋼板として、高成形性1.2GPaハイテンを開発しました。
今回開発した高成形性1.2GPaハイテンは、プレス成形性の指標である伸び特性が従来の同強度材の2倍程度であり、2ランク低い強度レベルの780MPa級と同等程度の成形性を併せ持ちます。この鋼材により、自動車におけるハイテンの適用範囲が広がり、自動車の一層の軽量化に寄与出来ると考えております。
高成形性1.2GPaハイテンの開発では、各製造プロセスでの金属組織変化の過程を詳細に解析し、高い成形性・衝撃吸収特性・溶接性などを確保するため、複数の微細金属組織の最適化を実現する成分設計と製造プロセスを確立し、需要家での使用性能を満たす鋼板の開発に成功しました。
当社は今後も自動車の軽量化等に寄与する環境に優しい鋼材の開発・供給を通じて、需要家や社会の要請に応えて参ります。
*ハイテン :
High Tensile Strength Steel(高張力鋼板)の略称で、引張強度の保証値が
340MPa以上の鋼板の総称。
1.2GPa級ハイテンは引張強度の保証値が1180MPa以上の鋼板。
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