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コバルト回収を含めた二次電池リサイクル技術の実証実験に成功【住友金属鉱山】

2021年8月16日

  

コバルト回収を含めた二次電池リサイクル技術の実証実験に成功
-世界初、リチウム回収可能な可溶性スラグ産出を組み込んだ新リサイクルプロセスを確立-

  

 住友金属鉱山株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:野崎 明)は、使用済みのリチウ ムイオン電池(以下、LIB)等の二次電池からニッケルおよびコバルトを回収し高純度化すること により、LIB 用正極材の原料として再利用できることを実証しました。加えて世界で初めてとなる 独自のリチウム回収技術により、使用済みの二次電池から銅・ニッケル・コバルト・リチウムを 再資源化する能力を備えた新リサイクルプロセスを確立しました。

 当社は持続可能な循環型社会の形成を目指し、使用済みの二次電池やその製造過程で発生する スクラップに含まれる金属を電池材料として再資源化する水平リサイクル※の実用化に取り組ん でまいりました。
 2017 年には、東予工場(愛媛県西条市)およびニッケル工場(愛媛県新居浜市)において既存 の製錬工程を活用して銅およびニッケルのリサイクルプロセスを実用化し、日本で初めて使用済 み二次電池からの「電池to 電池」の再資源化を実現しました。さらに、2019 年には、既存の工程 から独立した乾式製錬工程および湿式精錬工程の組み合わせにより、課題となっていたコバルト 回収を可能とする新リサイクルプロセスを開発し、愛媛県新居浜市に建設したパイロットプラン トによる検証を続けてまいりました。

 今回、このパイロットプラントのプロセスを最適化し、使用済みの二次電池等に含まれる不純 物を安定的かつ効率的に分離して、高純度のニッケル・コバルト混合液の回収に成功しました。 さらに、得られたニッケル・コバルト混合液を原料としてLIB 用正極材を作製して評価したとこ ろ、その電池性能が、天然資源由来の既存原料から製造したものと同等であることが実証されま した。 また、従来は困難とされていた乾式製錬工程からのリチウム回収が可能な可溶性スラグの 産出にも成功しており、この世界で初めてとなる独自の技術をプロセスに組み込むことで、使用 済みの二次電池から銅・ニッケル・コバルト・リチウムを再資源化する能力を備えた新リサイク ルプロセスを確立しました。
 これは、2020 年12 月に欧州委員会が提案した「欧州電池規則案」にも示された、使用済み二 次電池からの資源回収率への対応を見据えた技術とプロセスです。

脱炭素社会に向けて、今後自動車の電動化は世界的にますます進展する見通しで、電動車に用 いられるニッケルやコバルト等の需要は拡大しています。しかし、これらは希少金属であり、資 源の産出地域や抽出技術の所在が偏っているなかで、安定供給は重要な課題であり、これまで以 コバルト回収を含めた二次電池リサイクル技術の実証実験に成功 ―世界初、リチウム回収可能な可溶性スラグ産出を組み込んだ 新リサイクルプロセスを確立- 上にリサイクルを活用した資源循環が求められています。
 「電池to 電池」の再資源化を実証した今回のプロセスが事業化されれば、国内において持続可 能な循環型社会の形成がより一層進み、世界的な資源枯渇に対応する資源循環に貢献ができるも のと期待しています。

 今後も当社は、この電池リサイクルの取り組みを通じて、「2030 年のありたい姿」の重要課題 「非鉄金属資源の有効活用」で掲げている「高い技術力で資源を生み出す企業」の実現に向けて 取り組んでまいります。

 ※水平リサイクル:使用済みの製品が資源となり、再び同じ製品として生まれ変わるリサイク ルシステムの総称。「電池to 電池」も含む。

  

・再資源化の流れ

  

※参考
・「2030 年のありたい姿」:達成イメージ

  

・「2030 年のありたい姿」:11 の重要課題とありたい姿

本件に関するお問合せ先
住友金属鉱山株式会社 広報IR部
東京都港区新橋 5-11-3 新橋住友ビル
TEL:03-3436-7705

  

  

  

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