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JR九州新型車両向け駆動システムの受注について【東芝】
2014年9月3日
当社は、九州旅客鉄道㈱(以下、JR九州)の新型車両において、レアアースのジスプロシウムを一切使用しない永久磁石を採用した全閉型永久磁石同期電動機(以下、全閉PMSM)と4in1VVVFインバータ装置注1を組み合わせた駆動システムを受注しました。
今回受注したのは、JR九州筑肥線の姪浜・唐津間および唐津線の唐津・西唐津間を運行する新型通勤形電車305系における全閉PMSMと4in1VVVFインバータ装置を組み合わせた駆動システムで、JRグループの量産型営業車両としては初めての採用となります。新型車両が運行するのは、西唐津から姪浜までの44.8kmの区間で、姪浜から福岡市地下鉄空港線へ乗り入れています。
全閉PMSMは定格効率97%を実現する高効率な主電動機であり、一般的に車両に用いられる開放型誘導電動機の定格効率90%と比較して、飛躍的に効率が向上しています。また、全閉構造により内部清掃が不要のため、メンテナンス性も向上しています。さらに、永久磁石注2には、ネオジム磁石と同等の性能を持ち、レアアースの中でも特に希少で、供給リスク・価格高騰リスクのあるジスプロシウムを一切使用しない新開発のサマリウム・コバルト磁石を採用しています。
主電動機を駆動する4in1VVVFインバータ装置は、1台の冷却器に対して4つのインバータ回路を配置した4in1インバータユニットを2台搭載することで、8台の全閉PMSMを1台のVVVFインバータ装置で駆動できるシステムです。これにより、力行注3の消費電力量を削減するとともに、当社独自の制御方法で電力回生ブレーキ注4の負担を増やし、回生電力量を増加させることで車両全体の省エネを実現しています。
当社は、今後も全閉PMSMシステムなど、省エネ効果が高く、保守低減を含めたライフサイクルコスト低減を実現した製品を開発し、グローバルに受注活動を展開していきます。
注1 可変電圧可変周波数制御:Variable Voltage Variable Frequency
注2 永久磁石の一部の技術には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の希少金属代替・削減技術実用化開発助成事業の成果が含まれています。
注3 電力の供給を受けて車両が加速する状態。
注4 主電動機を発電機として用い、これによって発生した電力を電車線に戻すブレーキ。
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