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車載向けリチウムイオン電池監視チップセットの製品化について【東芝】

2012年11月8日

  

- 業界最高となる最大16セルの監視が可能 -
    当社は、ハイブリッド自動車・電気自動車などに搭載するリチウムイオン電池の安全性確保と性能劣化を防止するためのデバイスとして、電池の残容量や異常状態の検出のほか、残容量の均等化を行う電池監視チップセットを製品化しました。チップセットは、監視IC「TB9141FG」とマイクロコントローラ「TMPM358FDTFG」で構成し、2013年2月からサンプル出荷を行い、2014年4月から量産を開始します。

    監視IC「TB9141FG」は、一つのICで業界最高注1となる最大16のリチウムイオン電池セルを監視できるので、システム全体の部品点数削減が可能です。また、モーターやインバーターに起因するノイズ対策として、監視IC間の通信方式に電位差を利用し、ノイズ除去を可能にする構成を採用することで、ノイズ環境下でも安定した通信ができます。

    マイクロコントローラ「TMPM358 FDTFG」は、ARM社 CortexTM -M3注2を採用し、機能安全の国際規格である「IEC61508」と「ISO26262」に対応しています。バックアップRAM機能とスリープ機能注3を実装したほか、当社独自の省電力化技術を適用することで、低消費電力での電池監視システムを実現しました。

    また、今回の製品化にあたり、「TB9141FG」と「TMPM358 FDTFG」を組み合わせた基本的なリファレンスモデル(推奨回路)と、機能安全(IEC61508/ISO26262)対応が可能なソフトウェアライブラリも提供しており、これらを活用いただくことで電池監視システムを容易に構成できます。

    当社は、今後、ハイブリッド自動車や電気自動車の普及拡大に伴い市場伸長が見込まれる電池監視半導体を強化し、市場ニーズに応じた製品を展開することで、2017年度で同市場におけるシェア25%を目指します。

注1    車載向けリチウムイオン電池の監視ICとして。2012年11月8日時点、当社調べによる。
注2    CortexTM はARM Limitedの商標です。
注3    CortexTM-M3コア電源遮断中も動作するバックアップ電源、16ビットプリスケーラカウンタ、32ビットアップカウンタが動作し、タイマにより通常モードに復帰出来る機能。

新製品の概要

  

リファレンスモデル

新製品の主な特長

1.電池監視IC「TB9141FG」
(1)16セルの監視が可能

    96V耐圧プロセスを採用し、1ICあたり16セル監視対応を実現しました。より多くのセルを1個のICで監視できるため、部品点数が少ない低コストの電池監視システムを構成することができます。

(2)差動ディジーチェーン構成で高ノイズ耐性の通信を実現
    電池監視IC間のディジーチェーン(数珠つなぎ)通信において、電位差を利用してノイズを除去する差動構成を採用しました。これにより車載のリチウムイオン電池の監視で課題となっている高ノイズ環境でも安定した通信を行うことができます。

(3)±2mV(typ.)の測定精度を実現
    電池セル電圧測定精度±2mV(typ.)を実現しています。電池残量検出の精度を向上させ電池容量の有効活用に貢献します。

(4)セルバランス実施中でも電圧測定が可能な構成を実現
    IC内蔵のスイッチを用いたセルバランス(電池残量の均等化)構成において、セルバランス実施中でも電圧測定が可能な構成を採用しました。セルバランス実施中でも電池電圧変動を監視することができます。

(5)故障検出機能を実装
    故障検出機能を実装し、電池監視システムとしての機能安全(ISO26262)対応に貢献します。

2.電池監視用マイクロコントローラ「TMPM358FDTFG」
(1)CortexTM -M3注1コア電源遮断中も動作するローパワー回路群を内蔵

    低電圧で動作するSRAMおよび、そこに低電圧を供給するレギュレータ、16ビットプリスケーラカウンタと32ビットアップカウンタを実装しています。電池監視が必要なとき以外は電池監視用マイクロコントローラを低消費電力で待機させることができるため、システム全体の電力を下げることができます。

(2)バックアップSRAMとECC(エラーチェックアンドコレクト)を内蔵
    バックアップ電源動作時の、RAM内データの健全性を強化しています。

(3)故障検出機能を実装
    故障検出機能を実装し、電池監視システムとしての機能安全(ISO26262)対応に貢献します。

(4)機能安全の国際規格「ISO26262」プロセス認証に基づいたソフトウェア開発注4
    当社が開発した各種ソフトウェアライブラリを活用することで、機能安全の国際規格「ISO26262」に対応した「TMPM358FDTFG」用ソフトウェア開発が容易になります。

注4    当社は2012年3月に、自動車向け機能安全規格「ISO26262」のソフトウェア開発プロセスに関わる認証(ASIL-D)を取得しました。

新製品の主な仕様

注5    1キロバイト(1KB)=1,024(210)バイトとして計算しています。

本製品についてのお客様からのお問い合わせ先:

セミコンダクター&ストレージ社
車載営業推進部 
TEL :  03(3457)3428

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