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オンセミのM3S EliteSiC MOSFET、EVバッテリの大容量化に伴う各種課題を解決
2023年8月23日
オンセミのM3S EliteSiC MOSFET、EVバッテリの大容量化に伴う各種課題を解決
バッテリの小サイズ化、周辺部品の削減、充電時間短縮に貢献
インテリジェントなパワーおよびセンシング技術のリーディング・サプライヤであるオンセミ(onsemi、本社 米国アリゾナ州スコッツデール、Nasdaq: ON)は、スイッチング性能の最適化に重点を置いた同社のEliteSiC製品シリーズの第2世代1200 V EliteSiC M3 MOSFETが、EVメーカーが注力するドライブトレインの高出力化、バッテリの大容量化、充電の高速化実現に直面する、さまざまな課題の解決に貢献していると発表しました。
EVメーカーは、顧客の要求に応え、航続距離を延ばすために、車両のバッテリの大容量化を進めています。しかし、バッテリ容量が大きくなると充電時間が長くなります。最も一般的な充電方法は、自宅で夜間に充電するか、日中に職場で充電することですが、どちらの方法もEVに供給できる電力が異なります。自宅にある家庭用コンセントでは、一晩でEVをフル充電できない可能性があります。
また、職場では中電力のAC充電ステーションが利用できる可能性が高いですが、車両に低電力のオンボードチャージャ(OBC)が搭載されている場合は、充電ステーションでの滞在時間が問題になることがあります。OBCの電力容量を増やすと充電時間は短くなる一方で、システムが複雑になり設計上の課題も増えます。ハイパワーDC充電ステーションは、バッテリを容量の80%まで急速に充電できますが、このような充電方法は一般的なものではありません。
充電時間と性能の両方の問題に対処するために、多くのEVプラットフォームは、現行の400Vバッテリパックから800Vバッテリパックに移行しています。車両が運転モードのときには、より高い電圧を利用して電気モータの電力出力を高くするか、同じ電力レベルを維持しながらシステムの効率を向上させることができます。充電モードでは、バッテリ電圧を高くすると、バッテリの充電に必要な電流が減少し、充電時間を短縮できます。OBCの設計に影響を与える2つの重要な要素は、電圧とスイッチング周波数です。電圧とスイッチング周波数を高くすることで、OBCの容量を大幅に増やすことができます。システムアーキテクチャは、高い電圧に対応する必要があり、それが高い阻止電圧能力を持つ1200Vデバイスが選択されるようになった理由です。
オンセミは、第1世代の1200 V EliteSiC M1 MOSFET(NTH4L020N120SC1)が市場で成功を収めた後、スイッチング性能の最適化に重点を置いた第2世代の1200 V EliteSiC M3 MOSFET(NTH4L022N120M3S)を発表しました。スイッチング損失は、システム効率における重要なパラメータであり、図1が示すようにM3Sは与えられた条件下でスイッチング性能を大幅に向上させており、M1に比べてEOFFで40%、EONで20~30%低く、全スイッチング損失は34%減少しています。また、高スイッチング周波数アプリケーションでは、RDS(ON)温度係数が高い短所を相殺することができます。
図1: 誘導スイッチング損失 |
スイッチング周波数を高くすると、インダクタ、トランス、コンデンサなどのエネルギー貯蔵コンポーネントのサイズを小型化でき、結果的にシステムの容積が小さくなります。1200 V EliteSiC M3 MOSFETは、コンパクトなサイズで電力密度が高いため、OBCシステムのパッケージサイズを小さくすることができ、エンジニアは車両の他の部分に追加重量を割り当てる選択肢が得られます。さらに、高電圧で動作するため、車両全体で必要な電流が減少し、電源システム、バッテリ、OBC間のケーブルコストの削減につながります。
オンセミ(onsemi)について
オンセミ(Nasdaq: ON)は、より良い未来を築くために、破壊的なイノベーションを推進しています。当社は、自動車と産業用エンドマーケットに注力し、自動車の電動化と安全性、持続可能なエネルギーグリッド、産業オートメーション、5G およびクラウドインフラなどのメガトレンドにおける変化を加速させています。オンセミは、高度に差別化された革新的な製品ポートフォリオにより、世界の最も複雑な課題を解決するインテリジェントなパワーおよびセンシングのテクノロジーを創出し、より安全でクリーンでスマートな世界を実現する方法をリードしています。オンセミは Fortune 500® 企業として認められ、またNasdaq-100 Index®とS&P 500®インデックスに含まれています。オンセミの詳細については、www.onsemi.jpをご覧ください。
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