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生分解性を有する3Dプリンター用フィラメントの販売をスタート【GSIクレオス】
2023年4月4日
生分解性を有する3Dプリンター用フィラメントの販売をスタート
―「柔軟性」と「高い層間強度」の両立により、幅広い造形物の製作が可能に―
株式会社GSIクレオス(東京都港区、代表取締役 社長執行役員 吉永 直明 以下、当社)は、生分解性に優れたイタリアNovamont社製の生分解性樹脂【Mater-Bi、以下 マタビー】を用いて、柔軟性と高い層間強度をあわせ持つ、FDM方式※の3Dプリンター用フィラメント「ソフトナチュラルフィラメント」の販売を本日より開始いたしました。
※FDM方式:熱溶解積層方式。3Dプリンターの造形方式のひとつで、PLAなどの熱可塑性樹脂で出来たフィラメントを熱で溶かし、ノズルで一層ずつ重ねていく方法。
「ソフトナチュラルフィラメント」とは、当社の取り扱い商材であるマタビーを用いて開発・実用化した素材であり、この素材の使用により、従来のフィラメントの使用では困難であった柔らかい質感の3Dプリントを可能にし、より幅広い種類の造形物の製作に対応できるようになりました。
「ソフトナチュラルフィラメント」の特徴
1.「柔軟性」と「高い層間強度」の両立
現在、FDM方式の3Dプリンター用のフィラメントには、ABS樹脂およびPLAが一般的に使用されており、それらフィラメントはいずれも硬質な質感であるのが特徴です。
これに対し、ソフトナチュラルフィラメントは靭性が高く、非常に柔らかい質感を持つため、この特徴を生かして、これまでは製作が難しいとされていた「柔軟性」がありながらも「高い層間強度」を有する造形物の製作が可能になりました。
例えば、ホースやジョイントパーツ(部品)などは、変形させながら使用するものであり、これらの3Dプリントにも対応できるようになりました。
2.安定性
3Dプリンター用PLAフィラメントの規格概要(JIS K 6821)における、24時間の連続吐出性試験においても、ノズルを詰まらせることなく製糸し続けることに成功しており、高い安定性が証明されています。
3.生分解性
主原料に「マタビー」を用いていることから、高い生分解性を有するフィラメントとなっています。ソフトナチュラルフィラメントで作った造形物は、非分解性プラスチックに比べて、自然に還るまでの時間が短いことから、プラスチックごみによる環境汚染問題に配慮した3Dプリント(製作)が可能です。
開発の背景および課題の克服
近年、環境負荷低減につながるマタビーの国内普及を図るための施策の一環として、マタビーの繊維化に取り組んできました。開発当初は、マタビーの樹脂そのものが持つ柔らかさから、糸に強度を持たせることが難しく、服飾資材向けの撚糸としては安定的に紡糸を行うことが困難な状況でした。 しかしながら、使用用途を精査する中で、柔らかい質感が求められている3Dプリンター用フィラメントにおいて、紡糸の成功を含めて活用の可能性を見い出し、本製品の開発に着手しました。
その後、京都工芸繊維大学発のベンチャー企業であるネオマテリア株式会社の増谷代表指導のもと、24時間の連続吐出性試験をクリアする紡糸条件の確立に成功するとともに、工夫を重ねて市販の3Dプリンターでも使用可能な品質のフィラメントを開発するに至りました。
今後の展望
今後は、造形物に柔軟性が求められる分野への販促活動を強化し、FDM方式 の3Dプリンター用フィラメントの汎用品であるABS樹脂およびPLAに替わる素材として、国内でのシェア拡大を図っていきます。
販路
まずは、当社のECサイト「Jolie Clothes」にて販売を実施します。
3Dプリンター用フィラメントは、性質上、個人ユーザーが販売のターゲットとなることから、今後は家電量販店への供給や他社ECサイトなどでの販売を視野に入れています。
【 Jolie Clothesサイトページ:https://www.jolie-clothes.com/ 】
主原料マタビーについて
マタビーは、イタリアに本社を置く欧州の大手生分解性樹脂メーカーであるNovamont社が製造する生分解性樹脂です。欧州では、早くからその高い生分解性が評価され、レジ袋や食品包装資材、使い捨て用カトラリー等に使用されるなど、豊富な実績を有しています。
日本では主に農業用マルチフィルムで使用されており、近年、使用用途が広がっています。
■商品に関するお問い合わせ
株式会社GSIクレオス ファイバーソリューション部営業課 Tel: 06-6944-2614
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