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部品製造工程の省略・簡略化を実現する「ECOMAX5」を開発【山陽特殊製鋼】

2021年10月25日

  

ニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼の新ラインナップ
部品製造工程の省略・簡略化を実現する「ECOMAX5」を開発

~ギヤ・シャフト等高強度部品製造時のコスト低減とCO2 排出削減に貢献~

  

山陽特殊製鋼株式会社(社長 宮本 勝弘、本社 兵庫県姫路市)は、独自のニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼 “ECOMAX シリーズ”の新たなラインナップとして「ECOMAX5」を開発しました。この開発鋼は、シリーズの特長である優れた強 度が部品の小型・軽量化設計への期待に応えることに加え、新たな合金設計によって、お客様における部品製造工程の省略 や簡略化を可能とし、昨今ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から益々強く望まれているCO2 排出削減に貢献します。

 「ECOMAX5」は、従来のECOMAX シリーズと同等以上 の高強度を有していることに加え、お客様での部品製 造工程における各種熱処理工程(焼なまし、焼ならし、 浸炭処理)の省略もしくは簡略化への適合性をさらに 高めています。これらにより、お客様におけるコスト ダウンに加え、大幅なCO2 排出削減への貢献が期待でき ます。

自動車用ギヤ・シャフト等の小型・軽量化に貢献
 高い強度が求められる部品には、一般的に、ニッケルやモリブデンなど希 少かつ高価な合金元素を添加または増量した材料が用いられています。 ECOMAX5 を含むECOMAX シリーズは、鋼の本来の性能を最大限に引き出す高清 浄度鋼製造技術をベースに、クロムやシリコン等の合金バランスと鋼材製造 時の操業条件を最適化したことで、省合金でありながら大幅に強度を向上し、 特に、ギヤ歯面の剥離損傷(ピッチング)に対しては、一般的な肌焼鋼(JIS SCM420)の5 倍以上の長寿命を実現しています。部品の疲労強度が向上する ことで、自動車用をはじめ各種機械ユニットのさらなる小型・軽量化に貢献 することが期待されます。

部品工程の簡素化・省略によるCO2 排出削減への貢献
 れます。肌焼鋼をはじめとする合金鋼の焼なましでは、通常800℃程度のオーステナイト組織となる領域まで加熱した のちに、長時間を要する徐冷を経て、炭化物を球状に析出させて材料を軟化させます。ECOMAX5 は低温領域の短時間保 持によって徐冷を経ずに、従来方法に対し1/2 以下の処理時間で炭化物を球状化させて軟化させることができます。
 また、焼なましによる球状炭化物が均一に分 散して存在することから、冷間鍛造における高 精度成型が行い易くなり、ニヤネット成型の相 性が良くなります。
 加えて、浸炭処理時の結晶粒粗大化が抑制 される特性は、一般的な肌焼鋼や他のECOMAX シリーズの鋼種に対し優れていることから、冷 間鍛造後、浸炭焼入れ前に通常施される焼なら しの省略と浸炭温度の上昇による処理時間の 大幅な短縮が期待されます。

 山陽特殊製鋼は、このように脱炭素社会に向けて部品の小型・軽量化やCO2 排出削減等に繋がる商品:エコプロダク トの展開を図り、需要家の皆様からの高度かつ多様なニーズにお応えしてまいります。

  

以上

≪お問い合わせ先≫ 山陽特殊製鋼株式会社 総務部広報グループ (TEL:079-235-6002)

(ご参考)
・省希少資源と高強度(疲労寿命)を両立

 自動車の駆動系ユニットに使用されるギヤ部品の寿命は、特にピッチング強度によって大きく左右されます。ピッ チングとは、ギヤの歯と相手の歯がすべりを伴いながら高い応力で繰り返し接触することにより、ギヤ歯面の金属疲 労によるき裂が生成・伝播し、最終的にはく離に至る現象で、今後、燃費向上を目指した潤滑油の低粘度化や、電動 車のモーター高回転化が進むにつれてますます重要になってくると考えられます。この現象による損傷を抑制するた めには、ニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)等の希少資源を添加し、歯面の接触時の温度上昇に対する軟化抵抗性を向 上させることが有効と言われています。
 当社は、ニッケルやモリブデンといった希少な金属資源を用いずに、シリコン(Si)、クロム(Cr)の量を適正化し、 一般的な肌焼鋼と比べて高い軟化抵抗性と、浸炭した部品の表層にき裂が生じにくい特性を付与したことで、ECOMAX5 の高いピッチング疲労寿命を実現しました。

・焼なまし時間の大幅な短縮と鍛造割れの抑制
 一般的な肌焼鋼を用いた部品製造工程では、冷間鍛造の前に材料軟化を目的として “焼なまし”を行います。この 熱処理では、鋼の組織変化を適切にコントロールする必要があるため、厳密な温度管理のもと、半日~丸一日ほどの 長時間処理が必要です。
 ECOMAX5 では、一般的な肌焼鋼では組織変化が生じない比較的低温での短時間の保持で軟化する、世界でも類を見な い“短縮焼なまし法”の適用が可能です。これにより、処理時間は従来の1/2 以下(6~8 時間)への短縮が見込まれ ます。
 また、焼なまし後の組織で炭化物の分布にむら があると、冷間鍛造時等に不均一な変形が進むた め割れが生じ易くなります。
 ECOMAX5 は、焼なましによって、炭化物が均一に 分散した組織が形成されるため、変形時の割れが 生じにくくなり、例えばギヤの歯出し成型等のニ ヤネット化を実現し易くなります。

・優れた耐結晶粒粗大化特性
 一般的な肌焼鋼では、冷間鍛造後に直接浸炭焼入 れを行うと、結晶粒が粗大化し、部品の強度・靭性 の低下を引き起こします。これを防止するため、浸 炭焼入れ前に“焼ならし”の熱処理が欠かせませ んでした。
 ECOMAX5 は、鋼中に結晶粒粗大化を抑制する微細 ピンニング粒子であるニオブ(Nb)炭窒化物を適切 に析出させ、さらに合金設計によって浸炭前の組織 の均質性が高められており、浸炭焼入れ時において も結晶粒が微細な状態で安定するために、従来必要 とされていた焼ならし工程の省略が期待できます。
 さらにこの優れた特性によって、浸炭温度をより 高温化して全体の処理時間を短縮する、高温・短時 間浸炭への適用も可能です。

  

以上

  

  

  

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