複合材料の適用範囲を拡げ､押出しブロー成形を可能に【ランクセス】

2020年10月1日

● 短いサイクルタイムのワンステッププロセス
●優れた接合性
●中空部および局所補強された中空部品に注力
●良好なリサイクル特性

ドイツの特殊化学品メーカー､ランクセス（LANXESS）は､押出しブロー成形の適用範囲を拡張し、連続繊維で強化された熱可塑性複合材｢テペックス®（Tepex®）｣も製造プロセスに統合することが可能となったと発表しました｡ランクセスが行ったフィージビリティ調査で､ポリアミド6を用いた部品は､｢テペックス｣による重負荷箇所への局所補強を施すと同時に､ブロー成形技術で製造できることが示されました｡この調査は､ドルマーゲンに拠点を置くハイパフォーマンスマテリアルズ（HPM）ビジネスユニットのテクニカルセンターにおける､最先端かつ実生産に近いブロー成形機で実施されました｡HPMのブロー成形専門家であるアーサー・リーブは次のように述べています｡｢この部品は優れた接合性を有しており､それによって『テペックス』の高度な強度と剛性が発揮されるのです｣

このプロセスは､ブロー成形される部品の機械的性能を局所的に向上させるために使用することができます｡例えば､衝撃荷重や高圧のために高い機械的ストレスにさらされる箇所などです｡｢加えて､このプロセスは車の躯体補強用の中空部など、ブロー成形による構造部品の製造にも適しています｡広範囲での『テペックス』の利用は､重量および材料の使用量を減らす上で鍵になり得ます｡それによって､部品の壁厚を低減できるからです｣とリーブは述べています｡このような中空部品は､熱可塑材のみで構成されているためリサイクルしやすく､従って、単一材料再生リサイクルのループを確立できます。

サイクルタイムを決めるのはブロー成形ステップ
このような中空部品を製造する場合､まず最初に管状のパリソンが押し出されます｡同時に､加熱され、可塑化された｢テペックス｣インサートがブロー成形の金型に配置されます｡次に､パリソンを金型内で膨らませ､同時に｢テペックス｣部分も成形します｡その結果､あらかじめ定められた形状と｢テペックス｣による局所補強を備えた部品が出来上がるのです｡｢『テペックス』の成形は､ブロー成形プロセスと一体化されています｡従って製造プロセスはワンステップで､ブロー成形の特徴となる､短い､経済効率性の高いサイクルタイムを可能にします｣とリーブは述べています｡

簡素化されたプロセス
従来は､この種の部品の製造には2次元､または､3次元の｢テペックス｣インサートを用い､ブロー成形された中空部品に溶接する必要がありました｡2次元の場合は2ステップ､3次元の場合は｢テペックス｣の成形が加わって3ステップの製造工程が必要となります｡HPMの｢テペックス｣自動車グループの軽量設計の専門家であるティルマン・ゾンタークは､次のように述べています｡｢今回のプロセスを用いることで様々なことが飛躍的に簡素化できるのです｡さらに､可塑化された『テペックス』素材は､ファブリック状の方が､連続繊維で単一方向に補強されたテープ状のものと比べて遥かに扱いが容易です｡これによって､安定的かつ安全な製造プロセスが実現できるのです｣

完全に一体化された材料結合
｢テペックス｣の連続繊維にはプラスチックが完全に含浸されています｡その結果､ブロー成形中の圧力によって｢テペックス｣はしっかりと接合一体化され､エアポケットは生じません｡｢これは､ブロー成形材と『テペックス』の間の優れた接合性に基づく材料結合による結果です｡ブロー成形圧力が低くても､小さな径の半球などの3次元形状に『テペックス』を成形することは十分可能です｣とゾンタークは言います｡

ブロー成形可能なポリアミドの広範さ
HPMは､ポリアミド6および66をベースにした高粘性化合物の幅広い製品群を開発してきました｡
ガラス繊維による強化の有無も選択できます｡これらの材料は､今回の新しいプロセスや材料の組み合わせにも使用可能です｡例えば､非常に柔らかく､耐衝撃性のある製品群としては､｢デュレタン®（Durethan®）BC700HTSDUSXBL｣や｢デュレタン®BC550ZDUSXBL｣といった非補強ポリアミド化合物があります｡この種の材料は､例えば､用途的に高い耐衝撃性と柔軟性が求められる｢テペックス｣補強されたタンクやその他の中空部品に非常に適しています｡対照的に､ガラス繊維強化された製品タイプは､軽量の構造部品用に選択されることの多い素材です｡
｢テペックス｣についても､製造プロセスに応じた幅広いタイプの製品が用意されています｡例えば､連続繊維ファブリックで補強されたバリエーションやガラス､アラミド､炭素繊維で作られたラミネートで補強されたバリエーションがあります｡複合材の母材の変更も可能です｡例えば､ポリアミド6または66に加えて､ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンを用いることもできます｡

包括的カスタマーサービス「ハイアント（HiAnt）」
HPMビジネスユニットは､「ハイアント」というブランド名のもとで､材料､用途､手順､および､技術開発における専門性を結集しています｡これにより部品開発のあらゆる段階におけるカスタマーサポートを提供します｡このサービスは､コンセプトデザイン､材料最適化､シミュレーションツールによる部品特性の計算から､加工､部品性能テスト､量産開始までの全てを網羅しています｡
ブロー成形と｢テペックス｣に関するランクセスの製品､開発､技術､サービスの詳細については､以下のURLをご参照下さい｡
blow-molding.lanxess.com
bond-laminates.com

ランクセスのハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットのテクニカルセンター（ドルマーゲン拠点）で、エンジニアリングプラスチックの専門家である（左から）ティルマン・ゾンターク、 LoreenWinkelhake、アーサー・リーブは、ブロー成形の際、「テペックス」で強化された中空部品の品質を評価しています。（写真：ランクセス AG）

ブロー成形材とテペックスの間の優れた接合性のため、「テペックス」の卓越した強度と剛性を十分に活かした材料結合が可能となります。（写真：ランクセスAG）

これは､ドイツ・ケルンで9月3日に発表されたリリースをもとに､ランクセス株式会社が発表したものです｡
この原文(英語)は､以下のURLにてご参照下さい｡http://www.press.lanxess.com

ランクセスについて：

ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2018年の総売上は72億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 15,４00人、世界中に60の拠点を展開しています。主な事業は、中間体、特殊化学品、プラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス（DJSI World）、ヨーロッパ・インデックス（DJSI Europe）および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。www.lanxess.co.jp

本件に関するお問い合わせ先

ランクセス株式会社コーポレートコミュニケーションズ
TEL : 03-5293-8005　FAX : 03-5219-9773
lanxess.japan@lanxess.com

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