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バッテリー式電動スポーツカー用として初のオール樹脂製ブレーキペダルの量産を可能に【ランクセス】
2020年4月24日
・ランクセスとボーゲ・エラストメタル社の共同開発
・スチール製と比べて重さは約半分
・多軸配向の連続繊維構造と高剛性テープの組み合わせによって高水準の曲げ強度とねじれ強度を実現
・ハイブリッド成形により量産を可能にした製造工程
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、ボーゲ・エラストメタル(BOGE Elastmetall)社と、バッテリー式電動スポーツカー向けのオール樹脂製ブレーキペダルを共同で開発したと発表しました。バッテリー式電動スポーツカーにおいて、グラム単位での軽量化がすすめられる中、同分野で初めてとなる量産車に対して、オール樹脂製ブレーキペダルが採用されました。この部品の高い機械的強度と優れた軽量性は、熱可塑性複合材の構造設計により実現されました。その構造は、ランクセスの連続繊維で強化された熱可塑性コンポジットシート「テペックス®ダイナライト(Tepex® dynalite)」から作られたインサートシートおよび複数のテープから構成されています。ボーゲ・エラストメタル社は、自動車産業向けの振動技術およびプラスチック応用加工品を提供する世界的なサプライヤーです。
ランクセスのハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットで「テペックス」自動車グループの軽量化構造を担当する専門家であるクラウス・フォンベルク博士は次のように述べています。「この複合構造により、ブレーキペダルはスチール製と比べて重さは約半分にまで軽量化されました。 『テペックス』インサートシートによるテーラーメイドの連続繊維構造と局所的にテープを補強することで、この構造部品は厳しい耐荷重要件に適合しています。形状が複雑で、かつ、安全性上極めて重要なこの部品は、広範囲にわたる自動化によって効率的かつ量産に適した方法で製造することが可能です」
異なる配向の複数繊維層の理想的な組み合わせ
熱可塑性プラスチックのマトリックスを使用し、完全に統合された半仕上げ製品「テペックスダイナライト」は、通常、連続ガラス繊維で強化されています。 バッテリー式電動スポーツカーのブレーキペダルには、ポリアミド6マトリックスのコンポジット構造が採用されています。これは、繊維配向と同じ方向の繊維オーバーレイと+45°/-45°方向に配列されたいくつかの編まれた内部の層によって補強されています。内部の層が優れたねじれ強度を発揮する一方で、オーバーレイはブレーキペダルの優れた張力や曲げ強度を実現します。
テープは、薄いプラスチック片で、熱可塑性マトリックスに埋め込まれた、単一配向・高強度の連続繊維システムが使用されています。 ブレーキペダルにはガラス繊維ロービングを有する複数のテープが使われており、部品の底面側を強化しています。 テープと「テペックス」インサートシートには相溶性のプラスチックマトリックスが使われているため、テープはレーザーを用いて「テペックス」インサートシートに簡単に接合することができます。 これによって、荷重経路に正確に沿った、部品の耐荷要件に適合する繊維層を兼ね備えた、テーラーメイドのラミネート構造が生み出されるのです。 繊維配向を45度方向に配列したインサート・カバー層は、その上部のテープとの組み合わせによって、ペダルの高いねじれ強度を確保しています。
4バージョンのブレーキペダルを連続生産
「テーラーメイドの連続繊維構造および有機シートとテープの組み合わせにより、ブレーキペダルの重量を一層削減でき、また同時に、安全性が極めて重要なこの類の部品に求められる高水準の機械特性を実現できました」 とボーゲ・エラストメタル社イノベーションセンターのダニエル・へフリン博士は述べています。現在、オール樹脂製の4バージョンのブレーキペダル構造を量産しています。 いずれのバージョンにおいても、多様なねじれ方向に適合させるべく、荷重経路の最適化が行われています。
テープと「テペックス」の自動化プロセス
ブレーキペダルは、量産に適した短いサイクル時間での自動化されたハイブリッド成形工程により製造されています。 ここでは、「テペックス」インサートシートとテープのドレーピング工程が後続の射出成形プロセスに組み込まれています。 製造の第一段階では、光学測定システムを用いてテープの位置を正確に合わせ、テープが「テペックス」インサートに接合できるように配置します。 このアセンブリは熱成形され、その後、ポリアミド66を用いた射出成形プロセスによってバック成形されます。
電気自動車用の高強度構造部品
電気自動車の分野では、テーラーメイドの繊維配向を持つ熱可塑性複合構造が新たなビジネスチャンスとして広がりつつあります。 フォンベルクは「『テペックス』インサートシートの用途例として、フロントエンドシステムとバンパービーム、電気・電子モジュールのブラケット、トランクとスペアホイールウェル、バッテリー筐体とカバー、車両の『グリーンハウス』部分の構造部品、バッテリー保護のための車両アンダボディの構造トリムなどが挙げられます」と述べています。
「テペックス」とテープを用いた複合構造のもう1つの利点として、金属ベースの構造に比べて二酸化炭素排出量が少ないことが挙げられます。熱可塑性複合材は、金属ベースの構造よりもはるかに軽量なだけでなく、ハイブリッド成形が用いられているため、ガイド、ホルダー、ファスナーなどの機能を組み込み、重量、エネルギー、費用の節約が可能となります。 このタイプの部品を使用すれば、金属部品で通常必要とされる、デバリングや後処理のタッピングといった時間を要する追加処理が不要となります。
ポリアミド、ポリエステルや熱可塑性複合材を用いた新形態の交通輸送手段(特に電気自動車)におけるランクセスの製品、開発、技術、サービスの詳細については、以下のURLをご参照下さい。
https://new-mobility.lanxess.com/ja/
(日本語)
www.e-mobility.lanxess.com
(英語)
これは、ドイツ・ケルンで4月7日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて:
ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2018年の総売上は72億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 15,400人、世界中に60の拠点を展開しています。主な事業は、中間体、特殊化学品、プラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。www.lanxess.co.jp
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(2020-00029J)
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