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【中央大学 中村研究室】 Markforged社3Dプリンターによる下肢支持パーツ開発【3D Printing Corporation】

2020年3月19日

ソフトアクチュエーターの研究をしている中央大学中村研究室では、Markforgedの3Dプリンター「Mark Two」を使用することで、パーツの強度はそのままに、大幅な軽量化を実現しています。

研究開発中の下肢パワーアシスト装置

中央大学 中村研究室のご紹介
中央大学の中村研究室は、「生物型ロボット」と「ソフトロボティクス」をキーワードとして研究を行っています。ソフトロボティクスとは、柔軟な機構を活用したロボットシステムのことを指しています。

現在のほとんどの機器はモータを中心とした回転系駆動を前提として、すべての機構が構成されています。しかし、それが大型化や非効率化を招くこともあり、状況によっては軟体動物の筋肉のように柔軟な機能のほうが適している場合があります。このように「柔軟な駆動機構」は、ソフトアクチュエーションと呼ばれています。

構造的な柔軟さというのは、周辺環境に対して大げさなセンサや制御を必要とせず、シンプルなシステムを構成することができます。さらに、「作業をするときには固く」「普段は柔らかく」といった人間の筋骨格のようなロボットシステムを構築することも可能になるそうです。

今回ご回答いただいた車谷様は、この中村研究室に2019年から機構助教として所属しておられます。ソフトアクチュエーターの研究を東京工業大学にて修め、ご自身もソフトロボティクスの会社を起業するという、新進気鋭のお方です。

中村研究室は応用・実用面に寄った研究を行っており、一人に一企業がつくほどの勢いで、各々の学生が研究を進めているそうです。そのため3Dプリンター自体は以前から導入されており、研究室になじみあるものでした。 使用3Dプリンターとその効果
中村研究室では、Markforged社のMark Twoを主にぜん動ポンプの開発に用いています。ぜん動ポンプは大腸の動きを模倣しており、物体の搬送と混合を同時に行うことができるソフトロボット技術です。

しかし3Dプリンターの強みの一つは、様々な場面で活用できること。多岐にわたる中村研究室の研究のうち、今回取材させていただいたのは、以前から取り組まれている空気圧人工筋によるパワーアシスト装置の付帯補助パーツについてです。

中村研究室のスマートアクチュエーション

データの比較 使用3Dプリンター:
Markforged Mark Two

使用用途:
主に下肢パワーアシスト装置の付帯補助パーツ

効果:
強度はそのままに、大幅な軽量化を実現。

Markforged Mark Two

Markforged Mark Two による改善
―当該パーツには以前から3Dプリンターをお使いになられていたのですか?

車谷様:はい。人間の下肢を裏から支えるパーツなので、腿やふくらはぎの形状に沿って3次元的に曲線を描いています。また、ベルトや留め具などを取り付ける部分も必要です。このような複雑な形状は他の方法で作成が困難なため、もともと3Dプリンターを活用していました。

しかし、以前使用していた材質(アクリル)に問題がなかったわけではなく、ベストの選択とはいえませんでした。

―どのような問題がありましたか?

車谷様:まずは重いという点です。パワーアシストを行うという機能から考えると、重ければ重いほど着用者の負担になります。また、ときおり割れてしまうなど強度面の問題も抱えていました。

―そこでCFRPの採用をお考えになったのですね。

車谷様:はい。強度の問題が解消され、明らかに軽くなりました。頑丈さを確保するため、成形の際には間にカーボン繊維を挟みます。それにより厚みの低減には限界がありますが、今よりさらなる薄型化ができそうです。とはいえ、現状でも十分機能しているので、さらなる薄さの追及は行っていません。ただ、軽い・薄いということは、パワーアシスト装置としては有効なポイントなので、ポテンシャルがあるのは素晴らしいです。

―軽量化以外に気に入った点などあればお聞きしたいです。

車谷様:まず、黒くて格好いいですね(笑)。後から塗装する必要がないのは、大きな強みです。触った感じもいいです。服の上からとはいえ、人肌に触れる部分なので滑らかにしたいと考えていました。積層型3Dプリンター特有の積層の粗さもなく、追加工なくアシストスーツのパーツとして使用できるのは素晴らしいと思います。

―Mark Two本体についてはいかがですか?

車谷様:実は、卓上用であるということに助かっているんです。研究室の広さは限られており、企業と違って必要に応じて増築することも難しいです。そのためスペースを取らないというのが、ひそかに大きなアドバンテージだと思っています。

―今後の展望についてお聞かせ願えますか?

車谷様:現在の形状は、一般的な男性データをサンプルとして作成しています。そのため一般的な成人男性にはフィットするはずなので、わざわざ個別の身体情報をもとに3Dプリントし分けることは考えていません。ただ、将来的に女性用の作り分けは行うかもしれません。それから、現在は下肢の支持パーツのみ3Dプリンティングしていますが、そのうち腰を支える部分も3Dプリントしてみようかと思います。

―ありがとうございました。

  
左:下肢(腿裏)支持パーツサンプル
右:以前の材料との比較

【研究室情報】
中央大学 中村研究室
ホームページ:http://www.mech.chuo-u.ac.jp/~nakalab/
画像提供:中央大学 中村研究室 車谷駿一 様

【株式会社3D Printing Corporationについて】
3Dプリントは試作技術から製造技術に成長しています。3D Printing Corporationは、3Dプリント技術を活用した製造インフラ「SE3D FACTORY(シード・ファクトリー)」を始めとしたプロダクトをご提供し、日本国内の新しいサプライチェーンの構築を目指しております。日本の製造業へのサポートとして、コンサルティング、お客様に適した3Dプリンターの選定、DFAM™(3Dプリント専用の設計)支援・代行、アフターサポートなどの総合的なソリューションをご提供し、お客様の3Dプリント運用における障害をなくします。

【会社概要】
社名:株式会社3D Printing Corporation
所在地:神奈川県横浜市鶴見区小野町75-1
代表者:最高経営責任者 デヴォア・アレキサンダー
設立:2016年3月
E-mail:info@3dpc.co.jp
TEL: 055-207-3664
ホームページ:https://www.3dpc.co.jp/
オンラインショップ:https://dddjapan.com/








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