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TRI-AD、自動運転用一般道高精度地図生成の実証実験に成功【トヨタ自動車】

2019年11月27日

TRI-AD、自動運転用一般道高精度地図生成の実証実験に成功
-精度向上に向け、さらなるパートナー連携-

トヨタの自動運転ソフトウェアの先行開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社(以下 : TRI-AD)は、従来コストがかかるため、広範囲での網羅が難しく自動車専用道路に限られていた高精度地図生成に対する効果的な手法を追及してきました。この度、複数のパートナーと実証実験を実施し、自動運転に必要な相対精度 : 50cm程度以下の地図生成が可能であることを確認しました。

今回の実証実験では、以下の2点を検証し、いずれも高精度地図生成に有効であるという結果を得ました。

専用の計測車両を使用せずに、衛星や一般車両から得られる画像データなどを元にして、自動運転用の地図情報を生成する

TRI-ADの自動地図生成プラットフォームであるAutomated Mapping Platform(以下 : AMP)上の車両データのデータ形式を変換し、アルゴリズムを補正することにより、他社のプラットフォームで活用する

これらの実験成果を活用することで、自動運転用地図の更新期間の短縮、エリアの拡大、作成および維持コストの大幅な削減が期待できます。

各実験の概要は以下の通りです。

宇宙技術ソリューションをリードするマクサー・テクノロジーズ社(以下 : Maxar)、日本のITサービスを牽引する株式会社NTTデータ(以下 : NTTデータ)とTRI-ADは、2019年4月25日より3社合同で高解像の衛星画像を用いた自動運転用高精度地図の自動生成に向けた実証実験を行いました。その中で、衛星画像に写る自動車や影、建物の倒れこみによる遮閉などの地図以外の要素を自動で解析、除去、補正することで、必要な地図情報を自動抽出することに成功しました。東京23区と海外6都市で、自動運転制御に活用できる相対精度 : 25cm程度※1の地図生成を実現し、自動運転用地図として有用であることを確認しました。(図1~3参照)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道路インテリジェンスのプラットフォームを提供するCARMERA Inc.(以下 : CARMERA)とTRI-ADは、東京23区と米国2都市で、一般車両にも搭載可能なドライブレコーダーを使用した自動地図生成技術の検証を行いました。この中で、ドライブレコーダーのデータのみで自動運転に必要な相対精度 : 40cm程度※1の地図生成に成功しました。両社が連携し、CARMERAのReal-Time Events and Change Management engineと同じマシンラーニング技術などを使用することで、自動運転に必要な最新情報を判別し、HDマッピング・システムに送信、更新することが数分でできるようになります。これにより、AI認識に必要な画像データを収集し、幅広いエリアの地図生成の可能性について実証できました。

 

 

 

 

 

TRI-ADは、位置特定技術をリードするTomTom International BV.(以下 : TomTom)と新たな実証実験を行いました。その中で、TRI-ADが集めたAMPの車両データの信頼性を検証し、TomTomのクラウドベースの地図生成プラットフォーム用にデータ形式を変換し、TomTom独自のアルゴリズムを活用して入力することで、自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成と更新に成功しました。

 

 

TRI-ADは、新たに世界をリードする位置情報データおよび位置情報技術のプラットフォームを提供するHERE Technologies(以下 : HERE)との共同実証実験も行い、TRI-ADの車両データの位置誤差をHEREの高度セルフヒーリング技術で補正することにより、自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成に成功しました。車両データをHERE Platformに入力することで、HERE独自のアルゴリズムで高精度の一般道地図を自動生成することができます。同社のHD Live Mapは既に世界有数の自動車メーカーのレベル3自動運転開発プログラムにおいて採用されています。

TRI-ADのAutomated Driving Strategy and MappingのVice Presidentであるマンダリ・カレシーのコメント 「Maxar、NTTデータとCARMERAとのこれまでの実証実験の成果および、新たな実証実験パートナーであるTomTom、HEREとの成果を発表できることを、大変嬉しく思います。人々にとって自動運転がより安全で身近な技術となる未来にまた一歩近づきました。さらに精度を向上させるため、今後もパートナー企業との連携を進めて参ります。」と述べました。

参考
トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社

トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社(TRI-AD)は、トヨタがめざす「全ての人に移動の自由を」を実現するための革新的な製品の開発を目的とし、2018年3月に東京に設立されました。自動運転に関連する新しい技術と、先進的で安全なシステムを世界中の人々に届けることをミッションとしています。トヨタが新たに発表したWoven Cityにおいても、スマートシティのデザイン、コネクテッドモビリティ、ロボティクスの技術をトヨタやパートナーの方々と実証していきます。TRI-ADについての詳細は、こちらをご参照ください。https://www.tri-ad.global/jp/home

マクサー・テクノロジーズ社
マクサー・テクノロジーズ社は、アース・インテリジェンスと宇宙インフラ関連分野における、最も信頼されるパートナーであり、イノベーターです。常に変化する地球の監視を通じて、状況の理解から判断への誘導支援を行うなど、政府および民間の顧客に価値あるソリューションを提供するほか、全世界を対象としたブロードバンド通信環境の提供や、宇宙環境の活用促進などを実施しています。

日本を含む全世界30カ国以上の拠点における約5,800人のチームメンバーは、宇宙利用の可能性を開拓すべく、様々な利用分野における統合的な機能と専門技術を日々提供しています。

Maxarは、ニューヨーク証券取引所とトロント証券取引所に上場(MAXR)しています。詳細については、www.maxar.com をご覧ください。

株式会社NTTデータ
NTTデータは、お客さまの変革パートナーとして、世界50ヵ国以上でITサービスを提供しています。グローバルな視野と、それぞれの地域、各国のお客さまのニーズに合わせた対応力をもって、コンサルティングからシステムづくり、システムの運用に至るまで、さまざまなサービスを最高の品質で提供します。www.nttdata.com/jp/ja/

また、NTTデータの衛星画像付加価値ソリューション「AW3D®」では、全世界を対象に、鮮度の高い三次元地図を提供しています。NTTデータの画像処理技術とAI技術を掛け合わせることで、広域の高精度地図を短納期・低コストで提供することを実現します。

「AW3D」は、株式会社NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センターの登録商標です。AW3D Webサイト http://www.aw3d.jp/

CARMERA
CARMERAは、業界をリードするロードインテリジェンス企業です。車載カメラのクラウドソーシングデータのみを活用して従来の1/100のコストを実現し、市販車で使用できる完全に再生可能な高精度マップを構築することで、すべての人に安全な自動運転技術を提供することを目指しています。北米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジアの大手自動車OEMメーカーおよびMobility as a Service(MaaS)企業と協力し、各特定のセンサーやフォーマットにとらわれないアプローチ、モジュール式マップの作成およびメンテナンスにより、レベル2(ドライバー主体)からレベル4(AIシステム主体)の自動運転技術をサポートしています。当社は、世界有数のマッピング、マシンビジョン、AI研究機関のメンバーでチームを構成するだけでなく、近年ではGV(旧Google Ventures)主導のベンチャーバックアップを受けています。ニューヨークとシアトルに本社を構え、サンフランシスコ、ロンドン、デトロイト、ソウル、東京にサテライトオフィスを置いています。詳細はcarmera.comをご覧ください。

TomTom
トムトム(TomTom)は、高精細な地図情報、ナビゲーションソフトウェア、リアルタイム交通情報やサービスによってモビリティを形作る独立系の位置情報テクノロジーの専門企業です。

渋滞や排出ガスのないより安全な世界というビジョンを実現するため、世界が進歩し続けるイノベーティブなテクノロジーを生み出しています。トムトムの豊かな経験をビジネスとテクノロジーの有力パートナーと提携することで、コネクテッドカー、スマートモビリティ、そして自動運転の実現に貢献します。

アムステルダムに本社を置き30カ国に拠点をもつトムトムは世界中の何億人もの人々によって信頼されています。www.tomtom.com(英語)

HERE
位置情報データおよび位置情報技術のプラットフォームを提供するHEREは、位置情報の力で、人、ビジネス、都市の推進に取り組んでいます。HEREのオープンプラットフォームを通じて、都市のインフラ運営から企業の資産最適化、さらにはドライバーが安全に目的地に到着するところまで、お客様により良い成果をご提供いたします。HEREの詳細は、www.here.comおよびhttp://360.here.comをご覧ください。

※1 本実証実験の対象地区のうち、データ精度の良好な一部条件においての参考値。

本件に関するお問い合わせ先

トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社 Public Relations
pr@tri-ad.globa l
https://www.tri-ad.global/








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#2020年3月10日