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船舶向けに初の燃料電池システムを開発し、フランスの「エナジー・オブザーバー号」に搭載【トヨタ自動車】
2020年2月3日
船舶向けに初の燃料電池システムを開発し、フランスの「エナジー・オブザーバー号」に搭載
-再生可能エネルギーによる世界一周の航海をトヨタの燃料電池技術がサポート-
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)と、トヨタの欧州事業を統括するToyota Motor Europe(以下、TME)は、燃料電池(Fuel Cell : 以下、FC)技術を初めて船舶向けに応用し、再生可能エネルギーで世界一周航海を目指しているフランスの「エナジー・オブザーバー号」向けのFCシステムを開発しました。 TMEは、「トヨタ環境チャレンジ2050」でトヨタが目指す「人とクルマと自然とが共生する社会」の考え方に「エナジー・オブザーバー号」が目指すものが一致していると考え、航海開始時からオフィシャル・パートナーとして支援しています。航海での実証を通じて、化石燃料の再生可能エネルギーへの置き換えの可能性を検討するとともに、将来の再生可能エネルギーを効率的に、かつ大規模に利用するソリューションを探求しています。
加えて、船舶へのトヨタのFC技術応用に向けて、TMEと「エナジー・オブザーバー号」のチームメンバーは緊密に連携してきました。TMEテクニカルセンターは、燃料電池自動車「MIRAI」の搭載部品を用いて、船舶用のコンパクトなFCシステムを開発。このたび、「エナジー・オブザーバー号」に搭載しました。従来の「エナジー・オブザーバー号」と比べ、高出力、高効率、高信頼性を実現しています。
TMEは、船舶用のFCシステムの再設計から、部品の製作、コンパクトなFCシステムの開発、船への搭載まで、7か月で実施しました。これは、トヨタのFC技術の様々な用途への高い汎用性を示しています。
「エナジー・オブザーバー号」は、太陽光や風力の再生可能エネルギーや海水から生成した水素を用いた燃料電池を動力とする、世界で初めての自立エネルギー型燃料電池船です。2017年6月に母港であるフランス北部のサン・マロ港を出発し、6年かけて50か国、101の港に立ち寄りながら、世界一周航海に挑戦しています。昨年末には、停泊中の「エナジー・オブザーバー号」でトヨタのFCシステムの搭載試験を実施し、現在、2020年ツアーの出航を控え、海上で最終試験を行っています。トヨタのFCシステムを搭載した「エナジー・オブザーバー号」は、2020年2月にサン・マロ港を出港し、大西洋と太平洋を横断する予定です。
トヨタのFCシステムは、走行中にCO2を一切排出しない「ゼロ・エミッション車」として「MIRAI」で長年その利点を実証してきましたが、近年、バスやトラックなどにも応用しています。船舶へのFC利用は、水素社会の実現に向けたさらなる一歩です。今後も、低炭素社会の実現に貢献するため、さらなる取り組みを進めてまいります。
「エナジー・オブザーバー号」について
2015年、フランスのヨットレーサーのビクトリアン・エルサール氏(Victorien Erussard)と、探検家でドキュメンタリー作家のジェローム・ドラフォス氏(Jérôme Delafosse)が、レース用のボートをエネルギー自立型の船に改造。これまで、25か国、48寄港し、航海距離は約18,000海里に達しています。
船体長さ 31.0m
幅 13.0m
重量 34ton
全高 12.85m
喫水 2.2m
定員 8名(遠洋航海時)
運行速度 4.5ノット(電気)、8.0ノット(推進翼)
また、フランス初の国連SDG(Sustainable Development Goals : 持続可能な開発目標)アンバサダーシップで、グローバルに約45の企業や団体が同船舶の取り組みを支援しています。
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