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自動運転技術「SARTRE」のロードトレイン、公道にて初公開【ボルボ・カー・ジャパン】

2012年5月29日

ボルボ・カー・コーポレーション(以下、ボルボ社)がプロジェクトの一員として参画する自動運転技術「SARTRE」(Safe Road Trains for the Environment)の開発が、実用化に向けて、大きな一歩を踏み出しました。ボルボXC60、V60、S60と1台のトラックから構成された隊列が、先導車の後ろを自動運転で追随するロードトレインの走行実験が世界で初めて、他の一般車両も走る公道にて行われました。
スペインで行われたこの歴史的な走行実験は、大成功を収めました。

実用化に向けて開発が進む自動運転技術「SARTRE」

「SARTRE」(Safe Road Trains for the Environment)でのロードトレインは実用化に向けて前進しています。このプロジェクトは、英国リカルド社、スペインのアプルス・イディアダ社、ロボチカ社、ドイツのアーヘン工科大学車両研究所(IKA)、スウェーデン国立研究所(SP)、ボルボテクノロジー、そしてボルボ社による共同事業として進められており、今回実用化に向けて大きな一歩を踏み出しました。先週、バルセロナ郊外の高速道路にて、初めて一般車両が走行する中でロードトレインの走行実験を実施しました。

「1日で200kmを走破し、実験は上手くいきました。とても喜ばしいことです」とボルボ・カー・コーポレーションにて「SARTRE」プロジェクトマネージャーを務めるリンダ・ワールストロームは言います。

「ロードトレイン」は、プロのドライバーが運転する先導車の後ろに何台もの車が続く形式で構成されています。ボルボ社やボルボテクノロジーが採用している、カメラやレーダー、レーザーセンサーなどの機能を含む既存の安全システムに基づき、各車両は先導車や、前後の追従車もモニターします。ワイヤレス通信を追加することにより、追従する各車両はリカルド社の自律制御により、先導車の加速度・ブレーキ・方向性を正確に監視してその動きを模倣します。

ドライバーの運転環境の改善

このプロジェクトでは、ドライバーが運転中に別の事をして過ごしたり出来る、より快適な環境を提供する事を目標にしています。ドライバーは、PCで仕事をしたり、読書をしたり、くつろいだ状態でランチを楽しむ事が可能になります。
当然、このプロジェクトは交通安全の向上にも繋がります。環境への影響を軽減し、スムーズなスピード制御によって車の渋滞のリスクを軽減できるでしょう。
先導車1台に追従走行する4台(ボルボS60、V60、XC60 と1台のトラックから成る)は、スペインで歴史的なロードトレインに成功しました。
「一般車も走行している中での実験は我々のプロジェクトにおいてとても画期的な出来事です。本当に感激しました」とリンダ・ワールストロームは述べます。連結した追従車隊列は時速85キロで走行。それぞれの車両の間隔はちょうど6メートルでした。「テスト用のサーキットでの実験では、5メートルから15メートルまでの車両間隔で検証しました」とリンダ・ワールストロームは続けます。

素早い適応が可能

前走車の6メートル後方を、テクノロジーに全てを委ね時速85キロで走行する車に座っているのは、少し怖く感じるかもしれません。しかし、今まで得られた経験則からすると、人々はとても素早くその環境に慣れることができます。
3年間にわたる「SARTRE」のプロジェクトは、2009年より始動しました。このプロジェクトの期間中、ロードトレインは10,000キロの総走行距離を成し遂げています。今回、スペインの公道での走行実験が終わり、このプロジェクトは燃料消費量の分析を焦点とする新たな段階に突入しつつあります。

「この期間中、我々は沢山のことを学びました。自動運転はサイエンスフィクションに過ぎないと思われるかもしれませんが、実際のところ、既に技術は実現可能な所まで達しているのです。純粋に概念的な話をすれば、自動運転は問題なく機能し、将来、ロードトレインをさまざまな場所で見かけるようになるでしょう」とリンダ・ワールストロームは説明します。

また、彼女は続けて、「我々は、既存のシステムの変更を出来るだけ少なくすることにとても注意を払ってきました。これら全ては、道路のインフラ整備への変更や車への高価な部品の追加などをせずに機能する必要があります。プロジェクトの一環として開発されたソフトウェアを除いて、現在ショールームで販売されている車との違いは、車と車との間で通信を行うワイヤレスネットワーク機能のみです。」とも述べています。

参考情報
自動運転技術「SARTRE」プロジェクトに関して

「SARTRE」プロジェクトは、「より安全で環境にやさしい交通システム」を意味しています。EU の第 7 次枠組計画の一環として、欧州委員会によって一部出資を受け、この自動伴走技術「SARTRE」プロジェクトは、英国リカルド社の主導により、以下の参画企業との共同事業として行われています。(以下、参加企業:スペインのイディアダアンドテクニカ社、ドイツのアーヘン工科大学車両研究所(IKA)、スウェーデン国立研究所(SP)、ボルボテクノロジー、そしてボルボ社)

「SARTRE」は、より安全で環境にやさしいロードトレインシステムの開発を通じて、個人の交通利用を変えていく第一歩を促すことを目指しています。このシステムは、何ら改造が施されていない高速道路上で、一般車とロードトレインが安全に共存するプロトタイプとして開発されています。プロジェクトは、環境、安全性、渋滞の3つの交通問題に対処すると同時に、「ドライバーの快適性」を向上させることで、ドライバーの理解を後押しします。下記4点が要約された「SARTRE」の目的になります。

1.道路や沿道を改造せずに稼働できるロードトレインの隊列の許容範囲・戦略を明確にします。
2.明確にされた戦略が現実世界のシナリオの下で評価され得るような、追従車走行システムのプロトタイプの技術を強化、開発、統合します。
3.追従車隊列を使用することで、環境、安全と渋滞の改善にどのようにつなげることができるかの方法を示します。
4.先導車のオペレーターと追従車隊列の利用者の両方に利点がある追従車走行システムの使用を奨励するために、新たなビジネスモデルがどのように使われているかを説明します。

成功した場合は、「SARTRE」から得られる利点はとても意義深いと期待されます。ロードトレインによる高速道路走行での燃料消費率は、車両の大きさや間隔にもよりますが、およそ20%向上すると試算しています。ドライバーの操作ミスや疲労による事故も減少するという、安全上の利点もあります。また、潜在的かつ必然的にもたらされる所要時間の削減によって、既存の道路をより効率良く使用できるようになります。このテクノロジーを使う事で、ユーザーは実質的な魅力である、よりスムーズで予測可能な低コストの旅を実現する事が出来、またそれによって新たにもたらされる自由時間の獲得は非常に大きな意義を持ちます。「SARTRE」プロジェクトは、2009年9月に正式に開始し、合計3年の間継続されています。www.SARTRE-project.eu

プロジェクト参画企業

スウェーデン国立研究所(SP)は、親会社とその子会社CBI、Glafo、SIK、SMP、YKIとJTIから構成されたSPグループの一部です。研究、技術革新と産業や社会の持続的発展に対する実質的な機関のグループで構成されています。グループは、国家および国際規格レベルの研究室の資源を持ち、幅広い技術的範囲をカバーしています。約1,000人のスタッフの内、その半分が大学での訓練を受け、約250人は研究科学者の訓練を有しおり、重要な知識源になっています。2009年11月以降、SPグループは国家の持ち株会社である、RISE Holding ABによって完全所有されています。詳細については、http://www.sp.se/en/をご覧ください。

リカルド社は、世界の運輸部門、クリーンエネルギー産業をリードする独立した技術の提供会社であり、戦略的なコンサルタント会社です。同社エンジニアリングの専門範囲は、車両システムの統合、制御、エレクトロニクスとソフトウェア開発、最新の動力伝達装置、伝送システム、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド車や燃料電池パワートレイン技術、さらには風力発電と潮力発電システムです。ロンドン証券取引所に上場している公開会社で、リカルドplcは、2010年の会計年度には、162.8 万ポンド (約202億7400万円)の売上高を記録しました。リカルドは英国でのビジネス(Ricardo UK Ltd.として)を通じてSARTREプロジェクトに参加しています。詳細については、www.ricardo.comをご覧ください。

R+D+I (Research調査 + Development開発 + Innovation技術革新)を行なうロボチカ社は、将来の展望や技術監視から新たな事業に基づく新技術に至るまでの、サービスと製品を持つオールラウンドのサプライヤーです。各企業との様々な提携手法によって、そのR&Dプロジェクトの開発および技術コンサルティングサービスは群を抜いています。同社は、エネルギー、テレコム、自動車、情報技術とイノーバの5つのビジネスユニットを介してそれぞれのマーケットで活動しています。これは、技術センターがこれら5つの主要分野における各企業のニーズに合わせて研究を特化するのに役立ちます。主な目的は、積極的な研究と技術移転を通じて社会の持続可能な発展に貢献することです。同社は長年にわたり、85を超える欧州でのプロジェクトに参加し、そのうちの24のプロジェクトは現在も進行中です。詳細については、www.robotiker.comをご覧ください。

ボルボテクノロジーは、ボルボグループの事業部門の一つで、航空機エンジン部品の他に、トラック、バス、建設機械、船舶、産業用ドライブシステムなどの製品を提供する商業輸送ソリューションでの世界有数のメーカーです。現在、ボルボは約10万人の従業員を擁し、世界19ヶ国での生産と180以上の市場で事業が行なわれています。ボルボテクノロジーは、契約に基づいて研究開発を行い、運送業界や自動車業界内のハードだけでなく、ソフト製品の新製品やビジネスの概念と技術の開発・統合を担う革新的な会社です。同社の主な顧客は、ボルボ・グループの事業エリアとユニットです。さらに、同社は、共通の研究プログラムで編成された特定の戦略的な分野において、国内および国際的なプロジェクトに参加しています。詳細は、www.tech.volvo.comをご覧ください。

アプルス・イディアダ社は、世界中の自動車産業のグローバルパートナーであり、世界の自動車開発プロジェクトに対し、完全なソリューションを提供しています。同社の技術センターはスペイン、バルセロナから70キロ南に位置し、ヨーロッパとアジアに16の現地法人や支店などの拠点を構えています。約1000人の従業員を擁しており、主に、エンジニアリング、試験場、認証サービスを提供しています。エンジニアリング活動の主な分野は、パワートレイン、排出ガス、騒音、振動、車両動特性、ブレーキシステム、疲労耐久性と受動的安全性です。同社の試験場は世界でも最高の設備の一つとして知られ、その顧客サービスの質の高さにおいて名高く有名です。マルチユーザの施設として、安全性と機密性が最優先になります。何のタイプの試験かによらず、気象条件の良さもこの試験場が第一候補になる所以でしょう。詳細については、http://www.idiada.com/をご覧ください。

創業100周年の歴史を持つアーヘン工科大学車両研究所(IKA)は、教育や自動車業界に即した研究(乗用車、商用車、バス、オートバイなど)に従事しています。また、それだけでなく、関連した交通や環境条件などの諸問題(騒音、排気ガスなど)にも取り組んでいます。IKAは、大学の教授でありエンジニア博士でもあるルッツ・エクスタイン氏によって率いられています。2009年度時点でIKAは200人以上の従業員を擁していました。IKAは第三機関の資金提供が必要な開発タスクのある研究プロジェクトとの繋がりを強めます。IKAの活動は、業界の各需要に応じて行なわれ、その部署は以下のように構成されています。車体 – ボディ – ドライブトレイン – 音響 – 電気製品 – 運転支援 – 戦略とプロセス開発。ドライバー支援部門は、ドライバアシスタンスシステムの開発と評価に焦点を当てています。先進運転支援システム(ADAS)の最初の導入以来、IKAは、システムを構成する要素および全体的なアプリケーションの独立したテストと認定のための主要な試験施設の一つとなっています。詳細については、www.ika.rwth-aachen.deをご覧ください。

ボルボ社は、世界をリードする技術革新において長く輝かしい歴史を持つ、自動車業界屈指のブランドの一つです。ボルボは世界約120カ国で年間約450,000台の車を販売し、世界中に約2,000の販売店とサービスワークショップがあります。ボルボ社の本社や他の事業の機能は、スウェーデンのヨーテボリ市にあります。詳細については、www.volvocars.comwww.media.volvocars.comをご覧ください。



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