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独自の「モビリティ・エアロダイナミクス技術」を確立【東洋ゴム工業】

2018年5月30日

今後の低燃費化/EV化のカギを握る「空力」を高精度にシミュレーション
独自の「モビリティ・エアロダイナミクス技術」を確立

東洋ゴム工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市、社長:清水隆史)は、このたび、自動車のさらなる低燃費化やEV化に必要とされる「空力特性※1の高いタイヤ」を実現するうえで有効な、独自の「モビリティ・エアロダイナミクス(空力シミュレーション)技術」を確立しましたのでお知らせいたします。
※1)空力特性:空気中で物体が移動、運動するときに受ける空気の力(抵抗)や流れの特質。

今回、当社が確立したモビリティ・エアロダイナミクス技術は、実際のタイヤのさまざまなパターンデザインを用いて、タイヤへの荷重や車両の走行速度といった自動車運転時の使用諸条件、また、さまざまなホイールや車体形状といった個別条件を組み合わせ、これらの条件下でのタイヤ変形を考慮した上で、タイヤ接地転動状態※2でのタイヤおよび車両の空力特性を解析・予測できる技術です。
※2)タイヤ接地転動状態:タイヤが実際の路面の上を転がり動いている状態(と同じ状態)。
これによって、今後、自動車メーカーが開発車両に必要とする燃費の向上や航続距離の伸長に対して、当社はさまざまな諸条件を組み合わせながら、個別の車両に求められる空力特性を実現できるよう最適なタイヤを提案するアドバンテージを獲得することになります。また、当社は、実車風洞実験※3結果と整合性を持つ数値風洞試験法ともいえる高精度なシミュレーションに基づいて「空力特性の高いタイヤ」を開発し、市場に供給していくことも可能となります。
※3)実車風洞実験:目には見えない風を人工的につくる専門施設内で、実際の車両が受ける空気の流れを可視化するとともに、空気抵抗を定量測定する実験。

個別のトレッドパターンなどタイヤの複雑な形状をもとに、実際の車両やホイールと組み合わせ、その荷重や走行速度、あるいは走行の姿勢角などによるタイヤ接地変形まで考慮して、空力特性をシミュレーションできる技術の確立は、業界でも例を見ない進展といえます。

○空力特性の重要性
空力は、自動車が走行する際に必ず受ける抵抗であり、これを低減することは燃費性能の向上につながります。自動車メーカーは、環境性能面での社会的な期待に応えるため、空力特性の向上を意識して車両のデザインや開発に取り組んでいます。また、EV車両においても、1回の充電における航続距離を伸長させていくための課題として、空力特性の向上は重要テーマの一つでもあります。

○タイヤと空力との関係
走行中の自動車のタイヤは、常に荷重を支えながら変形、回転しています。基本的に、回転している物体は周りの空気に作用し、その流れを変えます。結果的に、タイヤの周辺で生じる空気の流れは、車両の空力特性に直接的な影響※4を及ぼしています。車両の空力特性に対する影響を抑えるべく、タイヤのプロファイルを最適化できれば、燃費削減につながります。そのためには、走行時にタイヤ周辺で生じる空気の流れを解析し、コントロールしていく必要があります。
※4)直接的な影響:車両全体が受ける空気抵抗のうち、タイヤの占める割合は約15%といわれています。

○燃費測定基準の世界統一
2014年、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で、「乗用車等の国際調和燃費・排ガス試験方法(WLTP※5)」の世界統一技術規則が採択されました。これは、国や地域ごとに異なっていた燃費や排ガス規制、安全といった自動車の測定試験方法を世界で標準化するものです。車両一台分の抵抗を評価するWLTPでは、必要となる風洞実験でタイヤの空気抵抗も考慮されることとなるため、今後、燃費の規制値として、タイヤの空力特性が直接関係するようになります。このことからも、タイヤ周辺での空気の流れに対する改善アプローチについては、今後、大きな関心が注がれていきます。
※5)WLTP:Worldwide-harmonized Light vehicles Test Procedureの略。

上述3点の側面に照らした場合、高精度な解析・予測技術を用い、タイヤメーカーとして「理想的な空力特性向上のあり方をより実際的に提示できること」の社会的意義、産業的価値は大きく、また、「タイヤ開発における自社のアドバンテージ」も得られることが期待できます。 当社は、「スーパーコンピューターを用いたタイヤ解析」に特化した数値計算技術を独自に開発し、タイヤ設計者自らがこれを利用して開発商品の設計をしています。タイヤ解析技術とドライビングシミュレーションを融合した、独自のタイヤ設計基盤技術「T-mode(ティーモード)」によって、これまで、設計期間の大幅な短縮や高精度な設計を実現してきました。

今回のモビリティ・エアロダイナミクス技術は、T-modeの進化技術として、先行研究では実現されていなかった領域にアプローチして確立したものです。つまり、「荷重や走行条件等によるタイヤの変形」、「不連続なタイヤパターンを考慮したタイヤの回転」、あるいは「タイヤと路面との接触状態を考慮した空気の流れ場」など、実際に走行する自動車が空力として影響を受ける動きや状態を、種々の数値計算手法によって数値化し、その組合せによって、タイヤおよび車両周りの空気の流れ場のシミュレーションと可視化を実現しました。

当社は、今後も「次世代モビリティをデザインする独自のテクノロジー」によって、タイヤを進化させ続けてまいります。

【本件に関するお問合せ先】
東洋ゴム工業株式会社 広報企画部
(本社) TEL:072-789-9110 FAX:072-773-3272
(東京) TEL:03-5822-6621 FAX:03-3865-2240
プレスリリースは報道機関向けの発表文章であり、そこに掲載されている情報は発表日現在のものです。
ご覧になった時点ではその内容が異なっている場合がありますので、あらかじめご了承下さい。








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