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パワーモジュール用高熱伝導窒化ケイ素(Si₃N₄)基板を開発【日立金属】
2017年10月13日
日立金属㈱(以下、日立金属)は、電気自動車やハイブリッド電気自動車、鉄道車両、産業機器に搭載されるパワーモジュール用に高熱伝導窒化ケイ素基板を開発しました。本開発品を用いることで、パワーモジュールの冷却機構の小型化、低コスト化が期待できます。2019年の量産を予定しています。
1.背景
電力の変換と制御を高効率で行うパワーモジュールは、電気自動車やハイブリッド電気自動車をはじめ、鉄道車両、産業機器のモータの制御部材として急速に普及が進んでいます。パワーモジュールに使用される絶縁基板は、絶縁性のみならず、パワー半導体から出る熱を効率よく伝える熱伝導率と、温度サイクルにより発生する応力に耐えられる高い機械的特性が要求されます。さらに今後、次世代パワー半導体としてSiC半導体の採用が進むことが予想されており、絶縁基板の高い熱伝導率、機械的特性への要求は強まる傾向にあります。
2.概要
このたび、日立金属が開発した窒化ケイ素基板は、高い熱伝導率と機械的特性を両立した窒化ケイ素基板です。これまでに培った窒化物系セラミックスの材料技術と製造プロセスの適正化により、熱伝導率130W/m・Kを実現したものです。従来品と同等の曲げ特性(700MPa)を維持しています。
本開発品を用いることで、パワーモジュールの冷却機構の小型化、低コスト化が期待できます。加えて、SiC半導体の採用による高温動作化にも対応が可能になります。
今後、日立金属では、顧客ニーズに対応する品揃えの拡充、生産能力の増強、販売体制の強化といった成長戦略の実行により、2025 年度までに窒化ケイ素基板事業の売上規模5倍(2016年度比)をめざします。
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