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切削改善材「JFM4」を添加した鉄粉が自動車部品に初採用【JFEスチール】
2012年3月5日
~「JFM3」を添加した鉄粉も採用拡大~
当社が開発した鉄系焼結材の切削改善材「JFM4(*1)」を添加した鉄粉が、このたび自動車部品に初採用され、営業生産を開始しました。また、「JFM3(*1)」を添加した鉄粉も、自動車部品に本格採用されました。
鉄系焼結材は、鉄粉に黒鉛粉、銅粉等を混合した後、金型中で加圧成形し、更に焼結を施すことによって製造されている機械部品用材料です。特に形状自由度を生かし、従来よりエンジン部品などの自動車部品を中心に実用化されています。材料内部に多数の気孔が分散した構造が特徴ですが、気孔は熱を伝えにくいため、材料と切削工具の摩擦によって発生する摩擦熱が放散されず、工具の高温化を招き磨耗が激しくなります。加えて、気孔の存在は切削加工時に工具に加わる衝撃が断続的となるため、工具の磨耗や欠けを誘発します。そのため、鉄系焼結材を使った機械部品の製造コスト低減を実現する上では、切削加工費の低減が重要な課題となっています。
2008年に当社が開発した「JFM4」は、旋盤加工性、特に高速での切削加工時に効果を発揮する切削改善材です。切削加工時に発生する摩擦熱によって「JFM4」の一部成分が軟化し、工具表面に潤滑膜を形成することで、工具と焼結材の摩擦を下げ、工具の磨耗を抑えます。その結果、従来よりも工具の寿命が約4倍になるとともに、従来200~300m/分だった切削加工速度も500m/分という高速加工が可能となりました(図1)。これらの特長が評価され、このたび、韓国ハラ・スタックポール社(Halla Stackpole Corporation)で製造している自動車ステアリング用のヘリカルギヤ(写真1)に採用されました。
一方、2006年に開発した「JFM3」は、ドリル加工性に効果を発揮する切削改善材です。切屑を微細化するとともに、気孔に充填されやすく、ドリル加工時の断続衝撃を抑制し、ドリル加工性を改善します(図2)。これらの特長が評価され、このたび、株式会社ファインシンターで製造している自動車ショックアブソーバー用のピストン(写真2)への適用が拡大されました。
当社は引き続き、本開発技術の一層の普及を進めるとともに、更なる研究開発を通じ、鉄系焼結材を使った機械部品の製造コスト削減と鉄系焼結機械部品の品質向上に貢献してまいります。
(*1) JFM:JFE Free Machiningの略。当社はこれまでに4種類の切削改善剤を開発しており、JFM3が第3弾、JFM4が第4弾。
参考URL : http://www.jfe-steel.co.jp/release/2008/08/080825.html
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