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車載インフォテイメント・プロセッサ向けsub-20W CISPR25 Class 5パワー・デザインを開発【日本テキサス・インスツルメンツ】
2017年5月29日
ネットワークに常時接続している環境では、自動車のドライバーや同乗者は従来のラジオやヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を介して、道路の混雑状況や潜在的な危険性に関するリアルタイムな情報にアクセスしたいと思っています。同時に、GPSやスマートフォン、タブレットPCのようなコネクテッド・デバイスを何にも干渉されず使用したいとも思っています。そのため、電気および電子システムを閉鎖された空間に設置する際に起こる電磁干渉(EMI)がこれらのデバイスに影響を及ぼさないことが重要になります。
EMI準拠は、最新の車載システムの開発に取り組んでいる多くの大手自動車メーカーにとって重要なテーマです。その要件は厳しく、CISPR 25 Class 5のような規格に準拠する必要があり、準拠していないシステムの多くは販売できないのが現状です。
システムのEMI測定の水準に開発者の注意が向くのは多くの場合、設計と評価の後期段階であることから、EMI問題が発覚するのは全ての部品を選定し、個別に評価し終えた後のボードを組み立てる段階にあることが多々あります。しかし、この段階で発見しても、今日の先進の車載システムではスイッチング・レギュレータの数が飛躍的に増加していることから、EMI問題の正確な原因元を特定することはとても困難です。このような理由から、PCBボード上に組み立てられた後に各部品が互いにどのように機能しているのかを直接知ることができる有効な手段としてリファレンス・デザイン・ボードを使用したEMI試験が注目されています。
例えば、車載インフォテイメント・システムの設計後期段階で発覚したEMI問題を防ぐために、TIは車載インフォテイメント・プロセッサ用電源向け17Wシステム・レベル・パワー・リファレンス・デザインを開発しています。このバッテリ直結型のシステムは、CISPR(Comité International Spécial des Perturbations Radioélectriques)25 Class 5の車載インフォテイメント及びクラスタ・システムで使用される車載プロセッサ用電源のEMI限界に耐えられるように最適化されています。従来の車載インフォテイメント・プロセッサ向け電源アーキテクチャを図1に示します。
このリファレンス・デザインは4つの主なブロックで構成されます。
● 正負パルスに対するフロントエンド保護(ISO7630)、逆バッテリ保護、バッテリ切断スイッチ、過電圧保護
(OVP)を含む『LM74610-Q1』スマート・ダイオードを内蔵
● 伝導EMIを抑制するコモンモード微分フィルター
● バッテリ電圧を5Vレールに変換する、2.1MHzの完全同期3.5A DC/DCコンバータである『LM53635-Q1』 。こ
のデバイスはスイッチ・ノードの上昇を最小化するウェッタブル・フランク・プロセスを採用する
FCOL(automotive-qualified flip-chip on-lead)パッケージで提供されています。このDC/DCコンバータは、ス
ペクトラム拡散オプションを使用することで低EMI特性を有します。
● データ処理電源用の低入力電圧レールを提供する、TIの『TPS57112-Q1』、『TPS57114-Q1』、『LM26420-
Q1』のようなPOL(Downstream point-of-load)バック・コンバータ。ダウンストリーム電源レール上の高周波
数ノイズを除去するためにフェライトビーズが用いられています。
図1:従来の車載インフォテイメント・プロセッサ向け電源アーキテクチャ
このリファレンス・デザインは、CISPR 25 Class 5伝導EMI限界試験に合格しています。
図2は、全てのDC/DCスイッチング・レギュレータを十分に使用した、最大30MHzの伝導エミッション(ピークと平均検知)試験の結果を示しています。
図3は、同じ状況下での30MHzから108MHzの伝導エミッション試験の結果を示しています。
図3:30MHzから108MHzの周波数レンジでの伝導EMI試験結果
リファレンス・デザインは、EMI結果を再検討し、潜在的な干渉問題を設計サイクルの初期段階で特定できる有益なツールです。リファレンス・デザイン・ボード上で伝導EMIを計測することで、従来は最終製品デザインで初めて表面化していたノイズ傾向や初期のコンプライス問題を特定することができます。車載インフォテイメント・プロセッサ用17Wシステム・レベル・パワー・リファレンス・デザインはこちらからダウンロードできます。TIの車載アプリケーション向けパワー製品の詳細情報は、こちらを参照ください。
※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのBlog記事(2017年5月2日)より翻訳転載されました。
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