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ADAS/自動運転向けにスマート・センサの動作状態を監視するIC【日本テキサス・インスツルメンツ】

2017年3月2日

増加している車載用カメラ、レーダ、およびその他の高速センサ・モジュールのネットワークの動作状態を監視することは、ますます複雑になってきています。プロセッサを内蔵しているスマート・センサが自らの動作状態を管理できますが、ローデータ・センサはこの作業を実行するためのマイコンを内蔵していない場合が多いです。このため、中央電子制御ユニット(ECU)のプロセッサがすべてのセンサを個々に監視しなければならなくなります。

しかし、ローデータ・センサをよりスマートにすることができます。スマート・ヘルス・モニタリング機能をSerDes(シリアライザとデシリアライザ)リンク・チップセットに集積すると、CPUが動作状態を知るためにセンサを常にポーリングする必要がなくなります。この記事では、その実装方法について紹介していきます。

マルチセンサのADAS(先進運転支援システム)

次世代のクルマは、ローデータを収集する10数個のリモート・センサを搭載すると思われます(図1)。あらゆるセンサの動作状態を管理することは、ECUのプロセッサのソフトウエアの負荷が増えます。この電子制御ユニットはセンサの状態やモジュール電圧、モジュール温度、(双方向の)リンク動作などの要素を監視し、センサ状態の全体像が分かるようにならなければなりません。動作状態の監視および維持管理状態を把握するために、各リモート・センサ・モジュールに小さなマイコンを追加することができます。しかし、こうするとモジュールのサイズとコストが増えてしまいます。そのため、ECUは各センサとリンク状態をそれぞれ調べなければなりません。

ヘルス・モニタリング機能をSerDesチップセットに集積すると、多数のセンサ・モジュールおよびそのリンクをまとめて監視できるので、ECUは1つのまとまった割り込み警報のみを受け取ることで済みます。


図1 車載用カメラとレーダ・センサの導入例

リンクの状態と保護

自律センサ・モニタリングにおける第1段階では、リンクの完全性自体を監視します。このリンクは、リンクのデータ保護と診断機能と同様、堅牢な制御チャンネルを提供しなければなりません。また、リンクは、ビット・エラーとケーブルの故障(オープン、アースとのショート、Vbattとのショート)を監視し、ECUへ警告を発します。フォワード・チャンネルとバック・チャンネルは共に、SerDesチップセットによって故障を管理します。さらに、『DS90UB953-Q1』シリアライザは、シリアライザ上で入力されたデータのパリティ・チェックを行い、潜在的なエラーがセンサやリンクから来ていないか否かをシステムが判定することができます。最後に、デシリアライザの適応型イコライザがケーブルの動作状態の品質を測定し、このシステムがケーブルの劣化を警告できます。

センサ・モジュールの動作状態診断

センサが普及し、システムの機能安全が一層重要になるにつれ、それぞれのセンサ・モジュールがある程度、ヘルス・モニタリングを提供できることは有益となります。例えば、『DS90UB953-Q1』 シリアライザにはこの目標をサポートするための機能が多くあります(図2)。このシリアライザの内部では、ロックや確実なクロック、温度など自分の状態を管理しています。しかも、このシリアライザは、電源電圧や、入力されるセンサ・データのエラーなどチップ外の動作状態の要素をモニタすることもできます。モニタされた数値が設定範囲外であると、デシリアライザへ連続して送り戻された構成可能な警告ビットはECUに警告します。このシリアライザはまた、制御チャンネルの通信エラーがあれば、センサ・モジュールへ報告します。もしI2Cが書き込みエラーを起こしたとしても、シリアライザは誤ったI2Cコマンドを伝えないため、センサ・モジュールのコンフィギュレーション・ミスが防げます。デシリアライザは、システムが制御データの再送など、さらなる措置を取れるように、警告をECUに送ります。


図2 集積されたセンサ・モジュールのローデータのヘルス状態診断例

集められた動作状態情報

DS90UB960-Q1』のような多入力のデシリアライザのハブは、4つのセンサの状態を、1つのプログラマブルなオープン・ドレインの割り込みピンへ集めます(図3)。多数のセンサのシリアライザやリンクから送られたどのアラームでも、割り込みにトリガーをかけます。このローカル・プロセッサはそれから状態レジスタを読み、そのアラームの状態と位置を突き止めます。プログラム可能な変数パラメータの数に基づいて、デシリアライザの割り込みピンで動作するように設計者は構成できます。このピンはオープン・ドレイン方式を使っているので、多数の割り込みを一緒に接続して(Wired ORなど)、多数のチップからの割り込みをまとめることができ、プロセッサのI/Oピンを節減できます。


図3 多数のセンサ・リンクからのアラームをデシリアライザ・ハブが管理

スマート・センサのヘルス状態

自動車に使われる高速のセンサが増えてきていることは、自動運転への道を切り開いていくことになるでしょう。今日のローデータ・センサは、ヘルス・モニタリング機器に取り込み、遠隔で自律的にエラーを監視することができます。このようにしてプロセッサのリソースを節約し、システム保護のレイヤーを追加できます。これらの「ヘルス・スマート」なモジュールは、将来の自動車に求められる多数の高速センサを簡単に使えるようにしています。より詳細な情報は、TIのADASアプリケーション向けFPD-Link III Ser/Des製品ポートフォリオ総合を参照してください。

参考情報

『DS90UB954-Q1』デュアルFPD-Link III デシリアライザ・ハブ
デシリアライザ・ハブとADAS向けTDA3x SoCプロセッサとの組み合わせ
TIのADAS ソリューション

※すべての商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのBlog記事(2016年11月10日)より翻訳転載されました。

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