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大電流用車載端子・バスバー向けCu-Mg系固溶強化型銅合金「MSP®8」を世界で初めて開発【三菱マテリアル】

2016年12月21日

三菱マテリアル㈱(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)は、連結子会社の三菱伸銅㈱(取締役社長:堀 和雅、資本金:87億円)と共同で、高電圧・大電流用途となる次世代自動車の車載端子・バスバー※1に要求される高い性能を備えたCu-Mg系固溶強化型銅合金「MSP®8」(以下、「MSP®8」)を世界で初めて開発しましたので、お知らせいたします。

当社グループの長年の取り組みによって開発された「MSP®8」は、銅(Cu)にマグネシウム(Mg)を固溶させて加工硬化させる技術を最大限に活用することで、高電圧・大電流用途に耐えうる高い導電性と耐応力緩和特性※2を持たせることに成功した銅合金です。

ハイブリッド車や電気自動車等の高い環境性能を持つ次世代自動車の普及に伴い、高電圧・大電流に適した車載用電子・電気機器の需要が年々増加しております。次世代自動車向け高電圧・大電流用途の高圧端子やバスバーなどの通電部材の市場は今後も堅調に成長すると見込まれます。販売を担当する三菱伸銅㈱では「MSP®8」を2016年度内に通電部材用を中心に客先へサンプル出荷を開始し、2020年には通電部材向け伸銅品で現行比+15%の増販を目標として、事業化を推進してまいります。

「MSP®8」は具体的には次の特長をもっております。

1.優れた導電性
   通電時の発熱を抑えるために必要となる、純銅の80%程度という高い導電性を保持している。
2.耐応力緩和特性の強化
   高温使用時のばねのへたり(応力緩和)を抑制しているため、通電部材が確実に電気信号を送るために必要なオス
   型端子とメス型端子間の強い嵌合接合力※3を、高温環境下においても維持する。通電部材用途としての信頼性が高
   い。
3.優れたプレス加工性と高い材料強度
   通電部材に必要とされる精確な部材寸法を実現する優れたプレス加工性と材料強度も確保している。

三菱伸銅㈱は、高性能固溶強化型銅合金としてCu-Mg合金の『MSPシリーズ』を販売しております。車載向け端子、バスバーやリレーでお客様より長年にわたって好評をいただいております「MSP®1」や、より高い強度と曲げ加工性、低比重を有し、小型端子に最適な特性を持つ「MSP®5」が車載用電子・電気機器用銅合金として多くのメーカーで採用いただいております。今後は優れた導電性と耐応力緩和特性を必要とするバスバーや高圧端子といった高電圧・大電流用途に最適な「MSP®8」も製品ラインアップに加え、自動車などのさらなる電装化推進に貢献してまいります。

当社グループは、長期経営方針に「ユニークな技術により、地球に新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するNo.1企業集団」となることを掲げております。今後も「複合事業体として特徴のあるシナジーの創出=マテリアル・プレミアム」を実現していくことで、社会のニーズに応える「新たなマテリアル」の開発、製造を積極的に進めてまいります。

※1.バスバー
主に配電盤や制御盤に電源を各部分に接続する導体のこと。素材には主に銅が使われる。

用途例:小型ジャンクションボックス
(矢印部がバスバー)

※2.ばねによる耐応力緩和特性
高温で優れたばね性を示す指標として、耐応力緩和特性がある。耐応力緩和特性とは、ある材料に対して、ばね性を発揮する弾性範囲内の負荷(0.2%耐力に対して80%の負荷)をかけて150℃の高温環境下で1,000時間保持した後に、どれだけばねが弱るかを示す指標。下図に示すように、耐応力緩和特性に優れる合金の場合は、高温で使用してもばねが弱らないため、オス型端子とメス型端子間のばねの嵌合接合力は十分に保持される。一方で耐応力緩和特性に劣る合金の場合は、高温で使用するとばねが弱り、オス型端子とメス型端子間のばねの嵌合接合力が低下する。このような状態で振動等が加わるとオス型端子とメス型端子が外れる場合がある。

図:端子コネクターの嵌合接合と耐応力緩和特性の関係

※3. 嵌合 かんごう 接合力
コネクター等におけるオス端子とメス端子の寸法差による嵌め合いの接合力のこと。上記の図に示した端子の場合は、メス端子側の板ばね部分のばねの力でオス端子と接合している。









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