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従来比約60%の体積削減を実現したSiC適用鉄道車両向けインバータの開発【東芝】

2011年12月08日

PMSMとの組み合わせにより、従来製品比約20%の省エネを実現

当社は、SiC(炭化ケイ素)ダイオードを用いた鉄道車両向け永久磁石同期モータ(Permanent Magnet Synchronous Motor、以下、PMSM)用インバータを開発しました。今回開発したインバータは従来比注1約60%の体積削減を実現し、PMSMとの組み合わせで従来比注2約20%の省エネを実現します。今後、2012年1月より、このSiC適用インバータとPMSMを組み合わせて性能試験を実施し、2012年中には実際の車両に搭載し、試験走行する予定です。

近年の環境意識の高まりから、鉄道車両向け電機品の更なる省エネルギー化、小型化が求められています。そのような中、当社は従来用いていたシリコンに比べて、高温での動作が可能で、熱の発生損失が小さいSiCを用いたインバータを開発してきました。

今回開発した鉄道車両向けPMSM用インバータには、当社で開発、製造したSiCダイオードを採用した定格電圧1700V、定格電流1200Aの半導体モジュールを適用しました。SiCを用いることにより、直流電力を交流電力へ変換する時の熱の発生を大幅に抑えることができるため、冷却装置の体積を約65%削減しました。さらに、モータを制御する部品の小型化などにより、インバータ体積の従来比約60%削減を実現しました。

PMSMは回転子に永久磁石を用い、軽量でエネルギー効率の高いモータで、当社は2009年から販売を行っています。発熱量が減らせるため、モータ内部を密閉し、自己放熱によって本体を冷やす「全密閉・自冷式」の冷却方式を採用しており、騒音の低減、メンテナンスの簡素化を実現しています。
今回開発したインバータとPMSMを組み合わせることにより、エネルギー損失を削減でき、従来比約20%の省エネを実現しました。
また、当社はより大容量の産業用途のインバータ向けに定格電圧4500VのSiCダイオードも開発中で、エネルギー損失が従来比約30%低減できることを確認しました。

当社は、電力消費を削減できるSiCデバイスの開発に注力しており、今回の鉄道車両向けを機に、今後電気自動車向け、大型発電システム向け製品等の開発を加速します。
なお、本製品の開発は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託している「省エネルギー革新技術開発事業」の実証研究「高耐圧SiCデバイスを用いた高効率小型電力変換器システム技術の研究開発」の一環として実施したものです。

注 1…Si(シリコン)ダイオードを用いた当社インバータとの比較において
注 2…Si(シリコン)ダイオードを用いた当社インバータと誘導モータの組み合わせとの比較において

開発品仕様概要(鉄道車両向け)


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