阪神電気鉄道　新型車両向け電気品受注について【東芝】

2015年3月31日

当社は、阪神電気鉄道㈱（以下、阪神電気鉄道）の新型普通用車両5700系向けに、全閉式永久磁石同期電動機^注1（以下、全閉PMSM）とVVVFインバータ装置^注2を組み合わせた駆動システムをはじめとする電気品をこのたび納入しました。走行試験を経て、今夏から運転が開始される予定です。

今回受注したのは、阪神電気鉄道が阪神本線梅田駅から山陽電鉄本線須磨浦公園駅間において新たに導入する新型普通用車両5700系向けの全閉PMSMとVVVFインバータ装置を組み合わせた駆動システム、車内の案内表示器を含む車両情報統合システムなど主要な電気品です。本駆動システムを導入することにより、従来のシステム^注3と比較して50%の消費電力の削減が見込まれます。

全閉PMSMは省エネ性能に優れた高効率のモーターで、全閉構造により内部清掃が不要のため、メンテナンスの簡素化を実現しています。VVVFインバータ装置と組み合わせることで、力行^注4の消費電力量を削減するとともに、当社独自の制御方法により電力回生ブレーキ^注5の負担を増やして回生電力量を増加させ、車両全体の省エネを実現しています。また、当社の車両情報統合システムは、表示器に大画面の32インチハーフサイズの液晶ディスプレイを採用し、長距離の路線でも大きな文字で表示することが可能です。さらに、2画面に分割して表示することもでき、動画と運行案内を同時に表示することもできます。

当社はこれまで、全閉PMSMとVVVFインバータ装置を組み合わせた省エネ性能の高い駆動システムを東京地下鉄㈱（東京メトロ）千代田線、丸ノ内線、銀座線、東西線、阪急電鉄㈱神戸線、宝塚線、北大阪急行電鉄㈱南北線などへの納入実績があります。また、シンガポールでも2015年5月から本駆動システムを搭載する車両の運行が開始される予定です。

当社は、今後も全閉PMSMシステムなど省エネ効果の高い製品群を開発することにより、グローバルに鉄道事業を展開していきます。

注1 永久磁石同期電動機： Permanent Magnet Synchronous Motor
注2 可変電圧可変周波数制御： Variable Voltage Variable Frequency
注3 従来のシステム：阪神電気鉄道5001形抵抗制御車
注4 電力の供給を受けて車両が加速する状態。
注5 主電動機を発電機として用い、これによって発生した電力を電車線に戻すブレーキ。