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高温特性に優れた新しい車載用ソフトフェライトコア材料を開発【日立金属】
2014年12月1日
日立金属㈱(本社:東京都港区、会長:小西 和幸、以下 当社)は、このたび、高温環境下の特性に優れた車載用ソフトフェライトコア材料「MB20D」を開発し、量産体制を整えましたので、お知らせします。自動車電装部品に用いられるトランス、インダクター等の電子部品のさらなる高効率化、高信頼性化、小型軽量化が期待されます。
1.背景
当社は、自動車電装部品をはじめとするさまざまな電気回路に搭載される軟質磁性材料のひとつとして、ソフトフェライトを製造・販売しています。磁心(コア)材料として安定した品質を高く評価いただいており、多くのお客様にご採用されています。
近年、自動車の電装化がますます進展するとともに、搭載される電子部品の高効率化と高信頼性化への要求が高まっています。また、省スペース化の要求に伴い、高密度に搭載される各電子部品は、これまで以上に小型軽量化が求められています。さらにエンジンルーム近傍での使用も想定されることから、高温環境下での性能や信頼性の向上が望まれています。
車載用のトランス、インダクター部品などに使用されるコア材料は、一般的に高温環境下での磁心損失*1が高く、その損失は熱に変換されるため、熱源として周囲の温度を上昇させる原因となることがあります。このことから、周囲への電子部品への熱影響を極小化させるためにも、高温環境下でも損失が低いコア材料が求められています。
2.概要
このたび当社が開発したソフトフェライトコア材料「MB20D」は、車載用途を考慮した高温環境下の低損失特性に優れたMn-Zn系フェライト材料です。
当社独自の粉末配合技術と粉末加工・熱処理技術により、低い磁心損失と高い飽和磁束密度*2を両立しています。特に高温環境下での低磁心損失性と高飽和磁束密度性に優れていることから、消費電力を抑えるとともに発熱量を抑えることも可能です。本製品を用いることでトランスやインダクター部品の高効率化、高信頼性化、小型軽量化が期待されます。
すでにサンプル出荷を開始しており、2015年からの量産を予定しています。2014年9月19日に発表した金属軟磁性材料「メタルパウダーコア」に続き、当社軟質磁性材料のラインアップに新たに「MB20D」が加わることで、お客様の幅広いニーズに対応していくことが可能となります。
当社では、今後とも素材の特性を引き出す材料開発に注力するとともに、電子部品のさらなる高効率化、高信頼性化、小型軽量化に貢献してまいります。
■「MB20D」の特長
(1)高温環境下(130℃)での磁心損失を20%改善(当社従来品「ML33D」比)
(2)高温環境下(130℃)での飽和磁束密度を25%向上(当社従来品「ML33D」比)
3.量産
開始 : 2015年(予定)
生産拠点 : 日立フェライト電子㈱
日立金属(香港)有限公司番禺工場
4.特許
1件出願済
【お客様からのお問い合わせ】
日立金属㈱ 磁性材料カンパニー
TEL 03-5765-4044
<補足説明>
■車載トランス用フェライトコア材料「MB20D」の特性一覧
<用語解説>
*1 磁心損失とは、磁心(コア)を特定の周波数で交番する磁界の中に置いた時に失われるエネルギー損失のことです。
磁心損失が大きくなるとエネルギー損失が大きくなります。
*2 飽和磁束密度とは、材料が持つ磁力の強さを表す物理量で磁性材料の性能の基本になる尺度のひとつです。材料を磁化
した時の磁化の程度を磁束密度と呼び、値が大きいほどコアを小型化できます。材料を磁化するに伴いそれ以上磁化しない
限度を飽和磁束密度と呼びます。
*3 キュリー温度とは、強磁性体が常磁性体に、もしくは強誘電体が常誘電体に変化する転移温度のことです。
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