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熱硬化性CFRPの新たな生産技術を開発【帝人】

2014年10月27日

帝人グループで炭素繊維・複合材料事業を展開する東邦テナックス㈱(本社:東京都千代田区、社長:吉野 隆)は、炭素繊維を効率的に使用することにより、高い生産効率を可能にする、これまでにない熱硬化性CFRPの生産技術を開発しました。
今後、この生産技術を活用することにより、積極的に市場開発を推進していきます。


1. 背景

(1)現在、自動車向けCFRPの製造方法として適用が拡大しているRTM(Resin Transfer Molding)工法は、金型の中に炭素繊維シートを配置した後に樹脂を注入し、硬化させることから、事前に金型に合うように炭素繊維シートを形成すること(プリフォーム)が必要となります。
(2)そのため、金型に合うように炭素繊維シートを切り取る過程(トリミング)が伴い、炭素繊維の端材がロスとなることから高コストの一因となっていました。
(3)加えて、この工法においては、複雑な形状のプリフォームの製造を手作業で行うことが多いため、生産の効率化が課題となっていました。
(4)こうした中、高級車の中でも一部の最上位車種に使用が限られていた熱硬化性CFRPを、より生産台数の多い車種に使用するという潜在的な需要があることなどから、東邦テナックスは、熱硬化性CFRPの生産効率を高める技術開発に取り組んできました。

2. 新生産技術の概要

(1)このたび開発した生産技術は、予め炭素繊維に熱硬化性樹脂を付着させた繊維(バインダー繊維)を活用することにより、炭素繊維の端材を極小化するプリフォームの自動製造プロセス(PvP : Part via Preform)です。
(2)PvPは、炭素繊維シートなどの中間基材を使用することなく、繊維から部品の形状に合わせたプリフォームを直接製造できるため、炭素繊維の端材の発生を最小限に抑え、部品の製造コストを低減することができます。また、製造プロセスの自動化により工数削減を図れることから、さらなるコスト低減が可能です。
(3)一方、ランダムに配向した繊維と一方向に配向した繊維を組み合わせることができるため、部品の形状や要求特性に合わせて最適なプリフォームを製造することができます。
(4)PvPは、現在開発が進んでいるハイサイクルRTM工法などの高速成形技術と組み合わせることができるため、従来に比べ、より低コストの製品を製造することが可能となります。

3. 今後の展開

(1)当社は、PvPを活用した熱硬化性CFRP製品を、自動車用途をはじめとする幅広い用途に展開していきます。
(2)このPvPについては、グローバルにマーケティング活動を始めており、既に一部の自動車メーカーに採用されています。
(3)帝人グループでは、量産性の高い熱可塑性樹脂を使用したCFRTP製品「Sereebo」を開発し、これまでにないCFRPによる量産部品市場の開拓を強力に推進しています。このたびの熱硬化性CFRPの生産技術開発を契機として、性能と量産性という顧客ニーズに対応し、熱硬化性、熱可塑性の両面からCFRPソリューションを提供していきます。



■当件に関するお問い合わせ先
東邦テナックス㈱  自動車チーム  03-3506-6812



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