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4.5KGの軽量化を実現【ヘンケルジャパン】
2014年10月15日
新型ボルボXC90、ヘンケルのロックタイト マトリックス樹脂を使用した – コンポジット製リーフスプリングを搭載
4.5KGの軽量化を実現
自動車設計において軽量化を図ることはいまや常識となり、大変重要視されています。しかしながら軽量化に大きく貢献するコンポジット部品は自動化や生産サイクルタイムの短縮という点で課題があり、量産が難しいとされていました。ヘンケルのウレタン系マトリックス樹脂LOCTITE MAX2(ロックタイトマックスツー)はこれらの課題を克服し、この樹脂を使ったコンポジット製リーフスプリングが、ボルボ社のプレミアムクラスSUV 新型ボルボXC90に搭載される運びとなりました。リアアクスルを一新しコンポジットリーフスプリングを搭載した新型ボルボXC90は、従来のコイルサスペンションと比較すると4.5KGも軽量になります。さらにはNVH(ノイズ・振動・きしみ音)が減少し、快適な乗り心地という利点が加わりました。今後この新プラットフォームは他のモデルにも採用される予定です。 LOCTITE MAX2を使用したリーフスプリングの製造元となる世界的な自動車用コンポジット部品メーカーBENTELER-SGL(ベンテラーエスジーエル)社はこのリーフスプリングの生産予定数を年間数十万個と見込んでいます。
ガラスや炭素繊維で強化したコンポジット材料によって車体が軽量化されることで、燃費が向上し、CO2の排出が抑えられます。しかもコンポジット材料は非常に強靭であるため安全性と衝突時の性能が向上します。接着剤・シーリング剤・機能性コーティング剤のリーディングカンパニーであるヘンケルは自動車業界の顧客と緊密に連携し、テーラーメードでありながら、コストの効率が良く量産に適した軽量化を目指しました。
ボルボ自動車のリーフスプリングを大量生産するためBENTELER-SGL と連携するにあたり、RTM(レジントランスファーモールディングシステム)を使ったプロセスへの深い知見があるヘンケルは、繊維強化コンポジット部品の生産におけるサイクルタイムをさらに最適化できるよう尽力しました。ヘンケルのポリウレタン系マトリックスレジンLOCTITE MAX2は低粘度であるため型内にすばやく充填され、繊維材料に負担をかけずに速く浸透するため、結果として注入時間を短くすることができます。また、一般的に使用されているエポキシ樹脂より硬化速度も大幅に速いため全体のサイクルタイムを短縮します。
2013年以降LOCTITE MAX2はリーフスプリングの大量生産に使用されており実績がありますが、加えて今回のプロジェクトでは添加剤を調整することで硬化を速め、プロセスに柔軟性を持たせました。
写真(左)LOCTITE MAX2で製作された新型ボルボ用リーフスプリング写真(右)そのリーフスプリングが組み込まれた 新型ボルボXC90のリアアクスル
革新的なリアアクスルのコンセプト
新型ボルボXC90のサスペンションは通常のようにコイルスプリングを配置するのではなく繊維強化コンポジットのリーフスプリングを横断させ搭載するという革新的なサスペンションとなっています。このためコンパクトなデザインとなるうえ、従来のコイルサスペンションと比較すると4.5KGも軽量になります。
さらにはNVH(ノイズ・振動・きしみ音)が減少し、快適な乗り心地という利点が加わりました。サスペンションタ-レットが無くなったことによりトランクの容量も大きくなりました。 ボルボは“スケール化を可能とするプラットフォーム構造(Scalable Platform Architecture,略SPA)の原則” に基づいた運営を行っており、成功裡に実現されたコンセプトはその後の車両モデルの生産に柔軟に採用されてゆきます。この原則どおり新型リアアクスルは来年以降のモデルにも組み込まれ、数十万の車両に毎年搭載される予定です。今回の新型ボルボXC90は最初の搭載モデルとなります。
ヘンケルの接着技術事業部門自動車用コンポジットプロジェクト統括マネジャー、フランク・カーステンは “BENTELER-SGL社 や ボルボ自動車といった自分たちで成立させた開発ネットワーク内で、ヘンケルのポリウレタン樹脂で生産したコンポジット部品は広範囲にわたる自動車特有のテストや評価を受けました。 その結果プロセスの最適化においてヘンケルの専門性を活用することにより,温度や湿度といった環境影響下における長期的な使用に関わる基準をすべて満たしていると証明されました。“とコメントしています。
BENTELER-SGL社の自動車用コンポジットビジネス開発部長フランク・フレッチャー氏は “自動車産業ではコスト効率と生産プロセスへの信頼性という要求事項に応えることがもっとも大きな課題となっていましたが、ボルボ自動車のリーフスプリングのような事例はまさに今、繊維強化コンポジットの大量生産が現実のものとなったことを示しています。今回のプロジェクトは商用車だけでなく乗用車にもコンポジットのリーフスプリングを搭載できることを示しています。またヘンケルのポリウレタンテクノロジーは自動車の他の用途でも大きな期待ができると思います。”と述べています。
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