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高い安全性が要求されるシャシーシステム向けに40nmマイコン「RH850/P1xシリーズ」を発売【ルネサス エレクトロニクス】
2014年10月15日
~システムの低消費電力化、機能安全システム開発の効率化に貢献~
ルネサス エレクトロニクス㈱(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび 電動パワーステアリング(EPS)やブレーキシステムなどのシャシーシステム向けでは世界で初となる40nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)プロセスを採用した車載用32ビットマイコン「RH850/P1xシリーズ」を製品化し、「RH850/P1M」の名称でサンプル出荷を本日より開始いたします。
「RH850/P1M」は、(1)40nmプロセス技術と当社独自のMONOS (Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)構造フラッシュメモリにより、当社従来品に比べ約半分の消費電流(周波数あたり)を実現しています。(2)高い安全性が求められるシャシーシステム向けに、最適な故障検出技術を豊富に搭載した新製品を採用することにより、シャシーシステムの安全要求レベルに対応する機能安全システムの開発が効率的に行えます。(3)シャシーシステム向け周辺機能を従来製品から強化することで、より高性能な制御が可能になります。
これらの特長により、シャシーシステムの高性能化、低消費電力化及び機能安全システム開発の効率化に貢献します。
「RH850/P1M」の量産は、2016年6月より開始し、月産300万個を計画しております。新製品のサンプル価格は8,000円となっております。
近年、自動車の電気・電子制御化、電動化が進む中、“曲がる”“止まる”に関わるシャシーシステムには高い安全性が要求され、多くのシステムでは自動車向け機能安全規格ISO26262において最も高い安全要求レベルとなるASIL D(注1)への対応が必要となります。また環境への対策としてシステムの低消費電力化も求められます。これらのニーズに応える製品として、「RH850/P1M」を開発しました。
また、新製品(単一電源製品)とキットとして使用できる電源管理IC「RAA270005KFP」を現在開発中です。この電源管理ICは新製品(単一電源製品)に必要な+5V電源、2つの外部センサ電源用トラッカおよび各種状態監視・回路診断機能を集積しているため、マイコンとの組み合わせによりユーザの電源設計負担を軽減できます。
自動車の安心安全に対してのニーズはますます高まっています。ルネサスではこれらニーズに対応するため、次世代の車載システムの新たな価値にむけたソリューション開発に今後も取り組んでいきます。
「RH850/P1M」の特長の詳細は以下の通りです。
(1)40nmプロセスとMONOS構造フラッシュメモリにより、低消費電力で高性能化を実現
シャシーシステム向けマイコンとして最先端となる40nmプロセスに加え、フラッシュメモリに量産実績を多数保有する当社独自のMONOS構造を採用しているため、高速読み出しかつ低消費電力(当社従来製品の約半分)を実現。これに伴って、動作周波数160MHzにおいても標準的なQFPパッケージで展開、さらにコア電圧生成用レギュレータを内蔵し単一電源化が可能。
(2)シャシーシステム向けに最適な故障検出機能を搭載
高い故障診断率、短い制御周期が要求されるシャシーシステムを想定し、10年以上に渡りマイコンを供給し続けてきた経験と機能安全の標準化活動参加により蓄積したノウハウを活かした最適な故障診断機能を搭載。CPUにはロックステップ方式(注2)を採用。フラッシュメモリに代表される各種メモリに対してはECC(Error Check and Correct)機能によるデータの誤り訂正・検出が可能。タイマやADC、シリアル通信等の周辺機能にもシステムで診断するための故障検出機能を搭載。BIST(Built-in Self-Test)機能により各故障検出機能自身の故障を検出可能。ECM(Error Control Module)を搭載しており、各モジュールからのエラー信号入力に対してエラー端子出力やリセット発生等の設定が可能であるため、システムの安全性確保に貢献する。これらマイコン新製品の豊富な診断機能に加え、専用の電源管理ICとキットで使用することにより、マイコン外部/内部の電源監視、異常発生時のリセット制御が可能でありユーザの開発設計の負担軽減に貢献。
(3)シャシーシステム向け周辺機能の充実
シャシーシステムのモータ制御性能向上のため、モータ制御用タイマを強化した「TSG3(Timer S Generation 3)」を搭載。また、シリアル通信はCANプロトコルエンジンを従来製品から継承し、送受信メッセージ・バッファ数の拡張や通信バッファの使い易さを改善したRS-CANを搭載。また、センサのデジタルインターフェイスとして広く採用が進んでいるSENT、PSI5を搭載。
新製品の主な仕様は別紙をご参照ください。
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(注1)ASIL : 自動車用安全度水準。ISO26262の要求事項や、受け入れられない残存リスクを回避するために適用する安全方策を規定するためのレベルを示したもの。AからDまでの4段階がありASIL Dが最も厳しい安全度水準。
(注2)ロックステップ方式 : 2つのCPUコアで同じソフトを動作させ、その結果をコンパレータで比較しエラーを検出する機構
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