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リチウムイオン2次電池セパレータ 塗布型不織布の高い安全性を確認【三菱製紙】
2014年1月27日
この度三菱製紙は、開発を進めているリチウムイオン2次電池セパレータとして、塗布型不織布がNi系正極のリチウムイオン電池においても高い安全性を確保出来ることを確認しました。
リチウムイオン電池は、携帯電話やパソコンなどの情報端末から、大量のエネルギーの蓄積が必要な電力貯蔵用途や電気自動車用途などに用途が拡大するにつれ、より容量の大きなリチウムイオン電池の需要がますます増加すると予想されます。そして、これら電池の大型化・高エネルギー密度化に伴い、電池の熱暴走などの重大事故を回避するための安全対策も今まで以上に重要になってきます。セパレータに関しては、現在主流である微多孔膜の耐熱性を改善するために、微多孔膜の片面あるいは両面に数μmの耐熱層を設ける塗布型微多孔膜の使用が増えてきていますが、もともと耐熱性の低い微多孔膜を使用しているため、その効果は限定的と見る意見もあります。一方、三菱製紙は200℃以上の温度でも目立った収縮を示さないポリエステル不織布にセラミック塗布を行うことで、より耐熱性の高いセパレータ(NanoBaseX)の開発を目指してまいりました。
今回、量産化を実現したNanoBaseX(30μm)セパレータが、塗布型微多孔膜より高い安全性を示すことを確認するため、高温時の安定性が低く、一般的な正極材料の中では安全性を確保しにくいと言われているNi系正極(LNO)を用いたリチウムイオン二次電池の釘さし試験を実施しました。比較として総厚25μmの微多孔膜(両面に2μmの耐熱性塗布があるもの)を使用したリチウムイオン電池を実験に用いました(写真左)。いずれのリチウムイオン二次電池も、負極にはハードカーボンを使用して、容量は1.7Ahのラミネートとなっています。
写真は、それぞれの電池に釘を刺してから5秒後の様子を比較したもので、比較の塗布型微多孔膜では釘刺し直後に激しく発火発煙し熱暴走に至ったことが見て取れます。一方NanoBaseX使用の電池では、釘刺し後も目立った変化は起こらず、電池の表面温度も実験終了までの30分間で最大でも60℃程度に止まっていました。
この30μm厚のNanoBaseXセパレータは、中国でMn系正極のリチウムイオン電池用セパレータとして採用が決定しており、自動車用のスターター電池(鉛電池の代替電池)としてのモニターテストで環境特性も含め良好な電池性能が確認されております。さらに、三菱製紙ではこのNanoBaseXの薄膜化に取り組んでおり、既に25μm厚のプロトタイプは試作が完了し、2014年春までには20μm厚のNanoBaseXの完成を目指しています。
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