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微量のカーボンナノチューブでフッ素樹脂を高機能化 -添加量は従来の1/1000、低コストの製造プロセスを確立-【大陽日酸】
2014年1月22日
NEDOのプロジェクトにおいて大陽日酸㈱は、カーボン材料とフッ素樹脂の複合材料の製造工程で独自のカーボンナノチューブ※1(CNT)を用いて、カーボンの添加量を従来の1/1000程度に抑えつつ、導電性・熱伝導性・機械特性を備えた高機能フッ素樹脂を開発しました。さらに、簡便かつ低コストの高機能フッ素樹脂製造プロセスを確立したことにより、従来と同等の製造コストを実現しました。
大陽日酸では、開発した高機能フッ素樹脂サンプル素材について、年間10tの製造体制を確立し、2014年10月からのサンプル販売を開始する予定です。
※本成果に関しては、2014年1月29日(水)~31日(金)に東京ビッグサイトで開催される『nano tech 2014 第13回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議』のNEDOブースにおいて展示と講演発表を行います。
1. 背景
カーボン材料と樹脂の複合材料は帯電防止のための導電性、成形加工ならびに切削加工時の際に熱膨張を避ける目的で高い熱伝導性などの特性が得られることから、半導体部品、自動車部品など多くの分野での応用が期待されています。従来技術で最もフィラーとして使われているカーボン材料はカーボンブラック(CB)ですが、例えば帯電防止機能を与えるために樹脂にカーボンブラックを5~15wt%程度も添加する必要があり、成形加工不良や樹脂本来のしなやかさが損なわれる問題があります。また、半導体分野では、カーボン材料の発塵によるコンタミのリスク低減要求が厳しく、カーボン材料の添加量をさらに低減させ、樹脂本来のしなやかさを維持し、かつ発塵リスクの少ない複合材料が求められています。
2. 今回の成果
今回の成果として、特に以下の2 点があげられます。
① CNTを用いることにより従来の部材に比べて1/1000程度のカーボン材料添加量で、導電性・熱伝導性・機械特性を備えたフッ素樹脂の開発に成功
②工業向けの簡便かつ低コストなプロセスにより従来の導電性フッ素樹脂と同等コスト実現
繊維長の長いカーボンナノチューブ※1(50~150μm 以下、CNT) とフッ素樹脂(PTFE、平均粒径25μm)を高度に複合化することで、CNT 添加量0.01wt%において帯電防止レベルの導電性2.4×107Ω・cm、CNT添加量0.05wt%において母材樹脂の2.6倍の熱伝導率0.64W/(m・K)、CNT添加量0.1wt%において、母材樹脂に比べ、11%の曲げ強度・圧縮強度向上を達成しました(表1)。
3. 今後の予定
今後は確立した高機能フッ素樹脂製造プロセスにおいて、スケールアップ設備を導入し、実証試験を実施していきます。大陽日酸では2014年10月に、10ton/年の高機能フッ素樹脂のサンプル製造体制を確立し、サンプル販売開始を目指します。
4. お問い合わせ先
(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO電子・材料・ナノテクノロジー部 TEL : 044-520-5223
大陽日酸㈱ 広報・IR部 TEL : 03-5788-8015
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO広報部 TEL : 044-520-5151 E-Mail : nedo_press@ml.nedo.go.jp
【参考 : 用語解説】
※1 カーボンナノチューブ
炭素によってつくられる六員環ネットワークが同軸管状になったもの
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