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伝達開放機構で燃費向上: ZFの新しいECOnnect 全輪駆動システム【ZF・ジャパン】

2013年11月27日

-  全輪駆動を必要に応じて自動的に作動させることで燃料消費を削減
-  新しいフロント横置き型9速オートマチック・トランスミッションとの組み合わせが可能
-  より少ない燃料消費、駆動能力の向上、そして優れたドライビング・セーフティのための2種類のシステム

ゼット・エフ社は新しい全輪駆動システム、ECOnnectを送り出します。これは自動的に駆動伝達を開放する(切り離す)機能を持ち、全輪駆動の車両においてその作動原理によって生ずる燃料消費の増加を最小にします。従来の全輪駆動機構と比較して、燃料消費を5%まで減らすことができます。それと同時に、例えばそれぞれの車輪に駆動トルクを分散することによって、車両の運動特性とドライビング・セーフティも向上します。そしてまたパワーパッケージを車両前部に横置きする構成において、ECOnnectをゼット・エフ社の新しい9速オートマチック・トランスミッションと組み合わせて搭載することができます。

エンジンとトランスミッションを車両前部に横置きするレイアウトから4輪を駆動する車両が、今日の乗用車市場で成功を収めるためには、その駆動システムゆえに生ずる2輪駆動よりも少し多い燃料消費を最小限に止めなければなりません。現状では、古典的な制御機構による全輪駆動(AWD)の車両は、パーマネントAWD(常に全輪を駆動する)を備える車両と比べて燃費が良いとはいえません。駆動力を伝えていない状態では「引っ張られて」ゆく状態になる第2の駆動軸の中でも、全ての駆動機構が動いていて、それが潤滑油を撹拌し、摩擦損失を生むからです。

そこでゼット・エフ社は、全輪を駆動することによる余分な燃料消費を確実になくすことができる、フロント横置きレイアウトのための高効率な全輪駆動システムを2種類開発しました。それは、大多数のユーザーにとって日々クルマを走らせる状況の中で全輪駆動は必ずしも必要ではない、という現実を反映したものです。一定の速度で直進する走行の中で、全ての車輪を駆動しても、車両運動と操縦性にアドバンテージをもたらすことはありません。しかし路面や運転の状況が変化した瞬間から、前後両方に駆動を伝えることで明確なアドバンテージが生まれます。そこで、燃費の悪化を引き起こすことなく全輪駆動ならではのパフォーマンスを得るためには、ドライバーが感知できないレベル、つまり2~300ミリ秒の中で、運動理論に基づいたシステムの切り換えが必要になります。これが全輪駆動ならではの機能を正しいタイミングで、効率も高く、完全な形でドライバーに提供する唯一の方法です。

システマチックな結合・開放が燃料消費を削減

ゼット・エフ社の駆動機構を開放することが可能なECOnnectは、フロント横置きレイアウトを持つ全輪駆動の車両に合わせて開発されたものです。前2輪駆動から回転伝達の方向を直角に変えてプロペラシャフトに伝え、後車軸を駆動する別個の駆動系統を組み合わせます。

自動的に作動する結合開放機構は、駆動伝達経路の中ではトランスミッションの直後に組み込まれ、 前軸ファイナルドライブのサイドギアシャフトを延長した上に組み込まれています。ここに使われているのはドグクラッチで、後軸に向けて回転軸の向きを90度変えるベベルギアとの間で結合・開放を行います。後輪側には多板クラッチが左右の駆動軸を直接結合する形で組み込まれています。この構成は、デファレンシャルの基本的な性質を利用して、後輪が駆動されていない状態ではプロペラシャフトと後軸ファイナルドライブをほとんど回転しないように保ちます。つまり、前輪駆動側に組み込まれたドグクラッチを「デカップリング」することで、後輪に向かう駆動系統を完全に切り離して止めることができ、その機構の中でに生じて燃料消費を増大させる回転抵抗を除去できるのです。クルマが走る中で全輪を駆動することが望ましい状況が発生すると、デカップリング・ユニットは瞬時に、そしてドライバーが感知できないほど速く結合され、全ての車輪に駆動トルクが流れ出します。後軸の中にある多板クラッチは、AWDの性能を最適な形で引き出すために、駆動トルクを前後軸の間で分岐して伝える(トルク・スプリット)機能を合わせ持ちます (いわゆる「ハング-オン(クラッチ)」コンセプト) 。

この全輪駆動システムは重量面についても最適化設計がなされていて、これも燃費向上効果を生み出します。それら全てを含めた結果として、燃費向上のポテンシャルは5%に達します。ゼット・エフ社の高効率なデカップリング方式の全輪駆動システムは、エンドユーザーにとっての燃料消費削減だけでなく、自動車メーカーにとってもグローバルに進行しているCO2排出に関わる規制強化への対応を容易にするという利益をもたらすものです。

トルクベクタリングによる敏捷性と安全性の向上

ゼット・エフ社は、新しいECOnnect全輪駆動システムの後軸ファイナルドライブに組み込まれて左右のサイドシャフトにつながる多板クラッチの構成について、異なるバージョンを用意しています。この第2のバリエーションは、後軸の駆動のために2つのクラッチを備えています。この形態において後輪側のデカップリング・ユニットは、左右の旋回に応じて駆動トルクを配分するクラッチとしても機能します。

完全な伝達開放(デカップリング)による燃料消費削減に加えて、この技術解はとりわけドライビング・ダイナミクスにアドバンテージをもたらします。後車軸に組み込まれた2つのクラッチによって、左右輪のそれぞれに加える駆動トルクを配分することができます。これによって、古典的なハング-オン・コンセプト(必要に応じて前後軸のどちらかからもう一方に駆動トルクを分岐する)のメカニズムを通して伝えられた駆動トルクを、トルクベクタリング効果を作り出すことに使うことが可能になりました。これによって左右の路面が異なっている状況、あるいはコーナーの中で、駆動と挙動の安定性の両方を同時に向上させることができます。

自動的に伝達開放を行うこのフロント横置きレイアウトのための全輪駆動システムの2種類のバリエーションによって、ゼット・エフ社はCO2排出の削減と全輪駆動の性能向上が両立できることを示しました。この2つの要求は、ひとつの知的コンセプトによって一体化できるのです。





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