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アプリケーションサービスと組み合わせたコンポジット材料を提供【BASFジャパン】

2013年7月5日

■Ultracom™ : BASF 、自動車産業向け半製品市場へ参入



自動車産業における軽量化の流れは収束するどころか、欧州の自動車メーカーが自動車の二酸化炭素排出量に関して、より厳しい要件を遵守することが義務付けられるようになる2020年に向けて、その重要性はさらに高まっています。長・短繊維強化材による熱可塑性材料は、数多くの金属部品を同等の性能を持つプラスチック部品に置き換えることを可能にし、これまでの軽量化の流れに大きく貢献してきました。しかしながら、こうしたプラスチック部品および材料は、その本質的限界に近づきつつあります。次世代の車両における金属置換は、技術的な飛躍なしには実現不可能です。すなわち、射出成形を利用した連続繊維強化型熱可塑性コンポジットなどの使用が不可欠です。熱可塑性および熱硬化性コンポジットの技術が確立されれば、長期的には20億ユーロ程度の市場規模になることが見込まれています。

半完成ラミネートおよびテープの新規製品ラインナップ

前述の理由により、BASFはエンジニアリングプラスチックにおける事業の幅を広げUltracom™(ウルトラコム)というパッケージで、まったく新しいアプローチの展開を始めます。このパッケージは、3つの要素(連続繊維強化型半製品、オーバーモールド用樹脂、およびこれらを補完するエンジニアリングサポート)で構成されます。この新たなアプローチの鍵となるイノベーションが、1番目の要素である、BASFのポリアミド樹脂であるUltramid®(ウルトラミッド)またはPBT樹脂であるUltradur®(ウルトラデュア)を完全に含浸させたラミネートおよび単方向(UD)テープです。これらの熱可塑性コンポジットは、世界有数の繊維強化コンポジットメーカーのTenCate(テン・カーテ)社、およびガラス繊維の主要サプライヤーであるOwens Corning(オーウェンスコーニング)社の開発協力により、改良が行われています。

Ultracom™パッケージの2番目の要素であるオーバーモールド用樹脂は、これらのラミネートやテープとの併用を想定して開発されてきました。オーバーモールド用樹脂もまた、Ultramid®およびUltradur®製品ラインに基づくもので、樹脂ペレットとして提供されます。ラミネートおよびテープとともに、この樹脂を使用すると、正確に定められた場所で連続繊維を使用することで、非常に高い機械強度を持つ複雑な部品を射出成形できるようになると同時に、オーバーモールドの結果として、部品の統合も可能になります。

最初の Ultracom™ パッケージ

K2013(国際プラスチック・ゴム産業展)で、BASFはUltracom™製品パッケージの提供を開始する予定です。高剛性が求められる用途、製品向けのパッケージは、ポリアミド6をベースとするUltralaminate™(ウルトララミネート)または、補強材に異方性が特に求められる場合はUltratape™(ウルトラテープ)で構成され、オーバーモールド用樹脂として 60% のガラス繊維強化材を含むUltramid® G12 COMとの組み合わせで提供されます。衝撃特性が必要な用途、部品向けには、エネルギー吸収を目的として最適化したパッケージを提供します。このパッケージは、Ultralaminate™およびUltramid® ZG7 COMで構成されます。またUDテープUltratape™は、シート構造で求められるような局所的な強化のために適用され、Ultramid® ZG7 COMでオーバーモールドすることが可能です。当面の間、工業用布等で知られる直交異方性綾織 2/2 がラミネートに利用されます。Ultracom™による最初の試作品は、K2013で展示する予定です。

シミュレーション、プロセスサポートおよび材料・部品試験ラボ

Ultracom™パッケージの3番目の要素は、BASFエンジニアリンググループによる広範にわたるエンジニアリングサポートです。この要素は、コンポジット素材からの部品の製造において、非常に重要です。エンジニアリングサポートには、自在にシミュレーション可能なUltrasim®によるコンピューター上での部品設計におけるサポートのほか、材料加工や部品製造段階でのサポートが含まれます。BASFはこのため、自社のテクニカルセンターに、射出成形システムにラミネート自動供給装置を装備した完全自動化試験ラインを新たに設置しました。

エンジニアリングサポート:不可欠な3番目の要素

Ultracom™パッケージの3番目の要素であるエンジニアリングサポートは、過去に行った軽量化プロジェクトと同様に、必要に応じて利用できるオプションとして提供されるものではなく、すべての顧客プロジェクトに不可欠な要素です。従来の熱可塑性の長・短繊維強化型熱可塑材と同様に、設計および生産を最適化することなく、また、統合型シミュレーションによりコンポジット材料および部品の性質を数値化し予測することなく、大規模な市場投入を成功させるのは困難です。近年、BASFのUltrasim®シミュレーションツールにより、トランスミッションサポート、エンジンマウント、エンジンサポート、フルプラスチックフロントエンドといった数多くの新部品の開発、設計がはじめて可能になりました。ラミネートまたは UD テープを基材とした熱可塑性コンポジット部品は、統合型シミュレーションが、新たな材料モデルや膨大な量の基礎的データの蓄積により補完されてはじめて、現実的なソリューションとなります。オーバーモールドされた熱可塑性ラミネート(2012年時点ではまだ外部生産)が量産部品として、Opel Astra OPCのシートパンに2012年にはじめて採用されました。このとき、この当該部品に対して、Ultrasim®の多くの機能はすでに利用可能でしたが、これらの機能は現在、共同開発プロジェクトの形で、すべての顧客に提供可能です。

完璧な調和

材料に関して、一方で繊維とポリマーを、他方ではテープまたはラミネートとオーバーモールド用樹脂を最適に組み合わせることが必須であり、同時にこれは大きな課題でもあります。これらは鍵と鍵穴のように完璧に調和する必要があります。繊維は、繊維が含浸されている特定のポリマー(またはその逆)に対して、最適な表面処理剤で処理されている必要があります。オーバーモールド材については、射出成形材としての標準的な要件を満たす必要があり、それと同時に、オーバーモールド時に速やかにラミネートに融着されることが必要です。

共同プロジェクトにおける学習曲線:最適解を探る

現在、すべてのパートナーが抱える最大の技術的障害は、高度に自動化した安定的なプロセス技術の開発、導入であり、これは全体のプロセスコストを低減するものです。現在、射出成形マシン、金型、自動位置決め装置および加熱システムから成る統合システムは市販されていません。市販されるようになれば、連続繊維で強化された熱可塑性コンポジットにより、車のボディおよびシャーシ部品に対して軽量化、優れた費用効果および性能の最適な組み合わせを実現します。繊維ラミネートまたはテープは、荷重経路を局所的に補強した射出成形部品の生産を可能にすると同時に、従来の射出成形による機能統合やモジュール化技術の統合を可能にします。このようにして、高効率射出成形プロセスや連続繊維構造によるカスタマイズされた局所補強が最適な方法で実現されます。

ラミネートかテープか?

2つのタイプの半製品は、異なる機能を持ち合わせています。熱可塑性ラミネートははじめから熱可塑性樹脂で含侵された繊維織物である一方、 UD テープは樹脂が含侵された単層のテープから積層体を作る必要があります。したがって、熱可塑性ラミネートは、表面積の大きな等方性ハイブリッド部品に適しており、テープのインサートは、射出成形短繊維強化部品の局所的な補強に適しています。

共同開発と投資:時間が決め手

BASFは、自動車産業の顧客とともに、車のボディおよびシャーシ部品向け連続繊維強化の熱可塑性コンポジットを使った生産コンセプトを3年 にわたり開発してきました。BASFと自動車産業のすべてのパートナーは、協力してノウハウを高め、材料、プロセス技術、市場を開発する必要があります。BASFはこの一環として、今後 3 年間でコンポジットへの研究開発に合計で数千万ユーロ規模の投資を行う予定です。顧客とのプロジェクトの中にはすでに動き始めているものもありますが、BASFはその他の顧客とのプロジェクトを、エンジニアリングプラスチックおよび熱可塑性含浸繊維織物のフォーミュレーションおよびプロセスに関する専門的知識をもとにサポートしていきます。

BASF について

BASF(ビーエーエスエフ)は世界をリードする化学会社「The Chemical Company」です。製品ラインは、化学品、プラスチック、高性能製品、農業関連製品、石油・ガスと多岐にわたっています。BASFは、経済的な成功、社会的責任、そして環境保護を同時に実現しています。また、BASFは科学とイノベーションを通して現代社会や将来のニーズを提示しながら、ほぼすべての産業のお客様を支援しています。BASFの製品とソリューションは、資源の確保に貢献し、栄養価の高い食品を提供するとともに、生活の質の向上に寄与しています。BASFはこれらの活動を企業目標として「私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります」を掲げています。2012年の売上は約721億ユーロで、従業員数は約11 万人です。BASFの詳しい情報は、www.basf.com(英語)、newsroom.basf.com(英語)、www.japan.basf.com(日本語)をご覧ください。




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