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「接近物検知機能付き全周囲立体モニタシステム」を世界で初めて実現【富士通セミコンダクター】

2013年5月16日

~運転シーンに合わせた情報表示の一元制御も可能な車載向け画像処理LSIを新発売~

富士通セミコンダクター㈱(注1)は、車載向け高性能グラフィックスSoCの第三世代品「MB86R24」を開発し、関連ソフトウェアとともに2013年8月よりサンプル出荷を開始します。
「MB86R24」はCPU・GPU性能の向上により高速処理および鮮明な画像表示を実現、また6本のフルHDビデオ入力、3本のディスプレイ出力機能の搭載により、多彩な入出力制御を可能にしました。これにより、車両の全周囲を自由な視点かつ3D映像で確認できる「全周囲立体モニタシステム」において、人や自転車などの接近物を見落としなくドライバーに知らせる「接近物検知機能」の搭載が可能になりました(世界初)。本製品はまた、これまで個々のディスプレイに対し個別に表示制御を行っていた車内の様々な情報を集約し、一元制御する「統合HMIシステム」も実現します。
「MB86R24」はこのほか、今後ニーズが高まる家庭用や産業用の様々な画像処理アプリケーションにも適用が可能であり、安心・安全・快適な社会の実現に大きく貢献します。

アメリカで成立した「KT法(Kids and Transportation Safety Act)」に代表されるように、自動車の安全に対する関心の高まりとともに車載システムに対する要求も日々大きくなっています。
「MB86R24」は、このような現状に応え、車周辺の接近物を立体的に見落としなくドライバーに知らせる「全周囲立体モニタシステム」や、人と車内外の情報をつなぐ「統合HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)システム」などを実現するグラフィックスSoCとして開発されました。

接近物検知機能付き全周囲立体モニタシステム

「全周囲立体モニタシステム」とは、車両の前後左右に取り付けたカメラの画像を3Dモデルで合成することにより、全方位を自由な視点で表示が可能なシステムです(図1)。当社は昨年、第二世代のグラフィックスSoCで、メガピクセルカメラにも対応可能な「MB86R10シリーズ」を利用した全周囲立体モニタシステムを開発しました。このような車両周辺を視覚的に鮮明に確認できるシステムが拡がるにつれ、より安全、安心なドライビングに向け、ドライバーの見落としを減らすための機能が新たに求められていました。

「MB86R24」は第二世代品に比べ、CPU・GPUの性能をそれぞれ約2倍・約5倍(注2)に高めたことにより、鮮明な画像・自由な視点での周辺確認と、車両に接近する物体を検知しドライバーに知らせる「接近物検知機能」との両立を実現しました(図2)。この「接近物検知」アルゴリズムは、株式会社富士通研究所(注3)と共同開発したものであり、世界で初めて「全周囲立体モニタシステム」上で同時動作します。
さらに、6つのカメラ入力を同時に扱うことができ、適用シーンの拡大とともに3D映像の表現の自由度が 向上します。

統合HMIシステム

昨今、電気自動車のバッテリー情報、カメラ映像情報、ナビ情報、スマートフォン連携・クラウド連携情報などといった、人と車、さらには外部とをつなぐ情報量が格段に増しています。これらの情報はこれまで、センターディスプレイ、 メーターディスプレイ、 ヘッドアップディスプレイなどを使い、個々に表示制御されていました(図3)。これらの情報をリアルタイムでよりわかりやすくドライバーに伝達するためには、情報を一か所に集約し、運転シーンに合わせてどう表現するのかを一元的に制御することが求められます。これを実現するのが「統合HMIシステム」であり、「MB86R24」は、運転シーンに合わせそれぞれのディスプレイへ適切な表示制御を行います(図4)。
さらに、これまで車種ごとに開発されていた各ディスプレイ部のモジュール化・プラットフォーム化が図れるため、大幅な部品点数の削減ができるとともに、ほかの車種への製品展開も容易に行えます。

当社はこれらのシステムを構築するのに必要なソフトウェアを同時に提供します。これにより、ワンストップかつ従来に比べ格段に少ない工数で高性能なシステム開発が可能になります。

5月22日から24日までパシフィコ横浜にて開催される「人とくるまのテクノロジー展2013」において、「接近物検知機能付き全周囲立体モニタシステム」および「統合HMIシステム」のデモ展示を行います。

サンプル価格および出荷時期

販売目標

年間  300万個

本製品の特長

1. 高性能なCPUとGPU
CPUとしてARM® Cortex™-9を2個、3DエンジンにはPowerVR™ SGX543を採用し、従来製品と比べ、CPU性能を約2倍に、GPU性能を約5倍に高めました。当社独自の優れた2Dエンジンを同時に搭載しており、それぞれが独立して動作することで、さらなる高い画像処理パフォーマンスが得られます。

2. 複数のビデオ入力、ディスプレイ出力の強化
フルHD対応の映像入力6本と映像出力3本に対応しており、高精細カメラ映像の入力や高解像度コンテンツの入力、複数の高精細ディスプレイへの出力が可能となります。

3. マルチレイヤー対応による高い描画性能
同時に動作可能な2Dエンジン、3Dエンジン、ビデオキャプチャーに加え、描画レイヤーを8層持つことにより、アプリケーション、コンテンツに応じて異なる描画レイヤー上で最適な画像処理を行うことが可能です。

4. 充実したソフトウェア・ツール群
「接近物検知機能付き全周囲立体モニタシステム」向けには、従来の「全周囲立体モニタシステム」向けソフトウェア群に加え、検知機能を実現するソフトウェアも順次提供します。
「統合HMIシステム」向けには、コンテンツデザインをデザイナーとエンジニアが協調設計できるオーサリングツール「CGI Studio」を提供します。

商標について

・ 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
・ ARM®およびCortex™はARM社の商標または登録商標です。
・ PowerVR™はImagination Technologies社の商標です。

添付資料

「MB86R24」の主な仕様(202KB)

注釈

注1  富士通セミコンダクター㈱:
本社 神奈川県横浜市、代表取締役社長 岡田 晴基。
注2  CPU・GPUの性能をそれぞれ約2倍・約5倍:
ARM CPUのマルチコア化、3D GPUエンジンへのPowerVR SGX543の採用により、シングルCPUコアおよび当社独自GPUエンジン搭載の従来品から、それぞれ性能向上を実現した。
注3  ㈱富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 富田 達夫。

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