ニュース
車載情報端末向けSoC 「第2世代R-Car」 第1弾製品、 世界最高性能を実現する「R-Car H2」を発売【ルネサス エレクトロニクス】
2013年03月25日
~9つのCPUと最新PowerVRアーキテクチャグラフィックスコア、画像認識エンジンを1チップ化し、高級車向け情報サービスの革新に貢献~
ルネサス エレクトロニクス㈱(代表取締役社長:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)とその子会社、ルネサス モバイル㈱(代表取締役社長:茶木 英明)は、このたび、次世代のハイエンド車載情報端末向け SoC(System on a Chip:システムLSI)として、9つのCPUと最新PowerVRアーキテクチャ高性能グラフィックスコア、3つの高精細ビデオ出力をもつ「R-Car H2」を製品化し、本日よりサンプル出荷を開始します。
「R-Car H2」は、(1)車載情報端末向けSoCとして業界最高性能である25000DMIPS(Dhrystone Million Per Second)(注1)以上を実現、(2)最新PowerVRアーキテクチャ高性能グラフィックスコアG6400を車載機として初めて採用、(3)「R-Car H1」に比べ、約4倍の処理性能を実現したIMP-X4の搭載により、標準API(Application Program Interface)であるOpenCV(注2)に対応、などの特長を有しております。
新製品の量産は2015年6月から開始し、2016年6月には月産10 万個を計画しております。
<背景>
2015年以降のハイエンド車載情報端末には、高精細のディスプレイ対応、メータクラスタ、リアシートモニターへのマルチディスプレイ出力、車載に特化した操作性とレスポンスの向上、ビッグデータを活用したクラウドサービスが要求されます。また車載組込み機器としての高速起動性能、車内の高級感と調和するより質感あるデザイン表示や、一層の安全確立を目指し、後方のみならず車の周辺の状況を表示するトップビューなど、ドライバーの視界支援への対応が強く求められています。
ルネサスでは、従来のハイエンド車載情報端末向けSoC「R-Car H1」から、大幅な性能向上を図った「R-Car H2」を「第2世代R-Car」製品の第1弾製品として発売します。「R-Car H2」をはじめとした「第2世代R-Car」製品は、2011年にリリースした車載情報端末向けSoC「R-Car」シリーズとの高いソフトウェア互換性を有しており、ソフトウェア資産を有効活用することにより、お客様の製品開発期間を大幅に短縮できます。
<特長>
新製品の主な特長は以下の通りです。
(1)車載情報端末向けSoCとして業界最高性能(R-Car H1比の約2倍)を実現
「R-Car H2」は、ARM社の最新CPUコア「Cortex-A15/A7」を車載向けSoCとして初めて採用し、車載情報端末向けSoCとしては業界最高性能である25000DMIPS(R-CarH1比の約2倍)以上を実現しながら、big.LITTLE 技術により低消費電力化を実現しています。このため、様々なアプリケーションの同時制御や、ブラウザの快適性、操作レスポンスの向上、などハイエンド車載情報端末に求められるあらゆるニーズを低消費電力で対応が可能です。
(2)最新PowerVRアーキテクチャ高性能グラフィックスコアG6400を車載向けに初めて採用
3DグラフィックスコアとしてImagination Technologies Limitedの最新アーキテクチャの「PowerVR G6400」を車載向けSoCとして初めて採用し、「R-Car H1」に比べ約10倍のシェーダー演算(注3)処理を実現。最新グラフィクスAPIであるOpenGL ES3.0への対応だけでなく、従来の2倍、4倍に加え新たに8倍アンチエイリアスによる美しいエッジラインの表現や、OpenCL1.1eによるGPUコンピューティングを高速に処理することも可能です。
(3)「R-Car H1」比、約4倍の処理性能を持つIMP-X4の搭載により、OpenCVに対応
当社従来製品である「R-CarH1」と比較し、約4倍の処理性能を実現したIMP-X4の搭載により、標準APIであるOpenCVに対応しており、これによってアプリケーションの作りこみが容易になるため、パートナー様での認識ソフト開発を一層加速させることができます。
この他にも、「R-Car H2」はUSB3.0やEthernetAVBなどのインタフェース、高精細デジタルカメラを4チャネル同時入力、3チャネルビデオ出力などの画像系のインタフェースなど、新たに車載向けに求められるインタフェースを搭載しております。加えて、ビデオデコード/エンコードの処理を強化し、最大4系統の1080p30に対応するだけでなく、Audio DSPも同時に強化し、7.1chオーディオの再生・オーディオルーティングが可能です。
なお「R-Car H2」は、「R-Car」シリーズとして、すでに量産中の「R-Car H1/M1/E1」と高いソフトウェア互換性を持つだけでなく、今後発表されるR-Car M2/E2ともスケーラビリティ(拡張性)を確保しており、車載情報端末におけるミドルレンジ/ローエンド機器の開発効率を向上しています。
今後も「R-Car」シリーズでは、本製品に続き、第2弾、第3弾製品をリリース予定です。市場ニーズに即し最適化した製品をタイムリーに市場投入していきます。
また、「R-Car H2」は高度な処理性能だけではなく、QNX® Neutrino® RTOSやWindows® Embedded Automotive、LinuxといったOS、BSP、ミドルウェア、開発環境といった、パートナーとのソリューションを含む、ECOシステムも提供していきます。これにより、ユーザの試作品の早期開発と、開発費の大幅な縮小を可能にします。
新製品の関係者からのコメント
▶ルネサス執行役員 大村 隆司
「R-Car シリーズの第1世代製品はさまざまなお客様にご採用いただいております。第2世代では、多様化する車載情報機器のニーズに対応するため、パートナー様との連携を強化し、エコシステムのさらなる拡大を目指してまいります。」
▶エレクトロビット社 インフォテイメントプロダクツ担当 副社長 マーティン・シュライヒャー氏
「当社とルネサスとの協業により、世界をリードする次世代の自動車インフォテインメントシステム用のSoCプラットフォームを通じ、開発者は自動車HMIにおいて容易に利用可能なソリューションを得られます。本製品に搭載されているGPUは、要求が厳しい3D画像アプリケーションに適しており、組込み市場で最高レベルの描画性能を提供します。」
▶メンター・グラフィックス社 組込みソフトウェア部 統括マネージャー グレン・ケリー氏
「R-Car H2は、ハイエンドの次世代自動車インフォテインメントシステムに、強力なマルチドメインアークテクチャをもたらします。私たちは、アプリケーションドメイン向けにはLinuxベースの最適化されたインフォテインメントプラットフォームを、リアルタイムドメイン向けには、広く利用されているNucleus RTOSベースとした、高性能ソリューションを提供するために、ルネサスや自動車のTier 1サプライヤ、OEMとの協業を楽しみにしております。」
▶QNXソフトウェアシステムズ社 エンジニアリング・サービス本部長 ジョン・ ウォール氏
「ルネサスとQNXは、自動車関連のお客 様の最先端の インフォテインメントシステム構築支援において、長らく良い関係を築いてきました。R-Car H2は、私たちがルネサスを高く評価 する理由を明らかにします。この製品は、ルネサスの顧客要求への深い理解を反映し、次世代のインフォテインメントシステムに要求される性能に対応しています。私たちはQNX CARTMアプリケーションプラットフォームがR-Car H2にサポートされるのを楽しみにしております。」
R-Car第2世代ローンチパートナー
新製品の仕様は、別紙をご参照ください。
(注1)DMIPS(Dhrystone Million Per Second)とは、Dhrystoneベンチマークプログラムを実行して算出した、コンピュータの性能指標の1つ。
(注2)Open CVとは、Open Source Computer Vision Library の略で、画像処理・画像認識用のC言語ライブラリのこと。
(注3)シェーダー演算とは、座標計算や色計算などグラフィクス描画に必要な演算。
* PowerVR、SGXはImagination Technologies Limitedの登録商標または商標です。
ARM、Cortex、はARM Limitedの登録商標または商標です。
QNX、QNX CARおよびNeutrinoはQNX Software Systems (QSS) Limitedの商標であり、登録商標または一定の法的権利において使用されています。QSSは第三者の製品またはサービスに関連するものにおいて、責任や義務を持たず、保証や承認をしません。
Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。
その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。
ルネサス エレクトロニクス株式会社ホームページはこちら