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産業用IDIエンジンシリーズとして世界初のEPA認証取得【IHI】

2013年2月21日

~新開発バーナとDPFシステムを搭載した世界初のEPA Tier4規制適合IDIエンジンシリーズ~

IHIと㈱IHIシバウラ(本社:長野県松本市、以下ISM)は、建機・農機他に幅広く搭載されている産業用IDI※1ディーゼルエンジンを第4次排出ガス規制(Tier4規制)に適合をさせるため、排気中のスス煤を捕集するフィルタ(DPF※2)を組み合わせて排気を浄化する技術を開発し、このたび、シリーズでラインナップする多用途のIDIエンジンとしては、世界で初めてのEPA(Environmental Protection Agency/米国環境保護庁)Tier4規制適合認証を取得しました。

出力19kW以上56kW未満の産業用ディーゼルエンジンに対して、2013年1月1日から米国で適用されているTier4規制は、PM(ススなどの粒子状物質)排出量を現行規制の10分の1(0.03g/kWh)以下に抑えること、8,000時間使用後においても規制値を超えないこと、また、別途定められた標高(5,500ft = 約1,650m)および外気温度での排出ガス基準(NTE ※3)を満足することなどを定めた大変厳しいものになっており、これにより産業用エンジンの大幅な環境負荷低減が期待されています。

IHI/ISMでは、市場実績が豊富でシンプルかつ信頼性の高い、現行のIDIエンジンをこの規制に適合させるべく、DPFを搭載して排気を浄化するエンジンシステムの開発を進めてきました。その結果、DPFに捕集したススを強制的に燃焼除去するバーナ(登録商標「isBURN®」)システムを独自開発することに成功し、これまで困難とされていたIDIエンジンへのDPF搭載を実現しました。

Tier4規制適合技術として、排気中のススを捕集するためにDPFを搭載することは一般的ですが、DPFは、捕集したススの堆積によりフィルターが目詰まりするのを防ぐために、一定時間ごとに(定期的に)排気を高温に制御してススを燃焼除去する、「再生プロセス」を組み込む必要があるため、電子制御によりそれが比較的容易に実現可能なコモンレール式直噴(DI)エンジン※4との組み合わせが標準的とされてきました。
一方で、DPFを搭載するコモンレール式DIエンジンでは、再生プロセス中に燃え残りの燃料がエンジン内部に残ったり、負荷が低い作業中に排気を高温に制御することが難しいなど、使用環境や用途によっては思わぬトラブルを起こすケースもあります。また、コモンレール式燃料噴射装置自体が高価なことから、エンジンコストを増大する要因として懸念されてきました。

今回開発したエンジンシステムでは、安価な構造で、確実にススを燃焼除去できる新開発バーナを搭載することで、排気温度を自由に制御できない従来型のIDIエンジンにおいてもDPFの再生プロセスが可能になりました。新開発のバーナはエンジンのほぼすべての運転領域において作動可能なため、お客様の作業に支障を与えること無く、幅広い用途の機械で従来通りにエンジンを使用することができます。また、低コストの従来型IDIエンジンをベースにしているため、お客様が機械を購入する際のイニシャルコストを抑えることができます。

IHI/ISMでは、このエンジンをシリーズでラインナップし、まずは、排ガス規制が先行する欧米の建設機械、農業機械、発電機、コンプレッサー、フォークリフト、芝草機械メーカを中心に販売を開始し、その後国内に展開、3年後には5万台の販売を見込んでいます。

主な仕様

※1  IDI : Indirect Injection:燃料を主燃焼室に直接噴霧せず副燃焼室に噴霧する燃焼方式。
IDIエンジンは、燃焼が安定しており、燃料への対応が幅広く低品位燃料でも使用可能で、低価格。
※2  DPF : Diesel Particulate Filter:ディーゼル粒子状物質フィルター
※3  NTE : Not to Exceed:EPAが定めたエンジン運転領域、標高および外気温度で別途定めた排出ガス規制値を満足しなければならないとする規制。
※4  コモンレール式直噴エンジン : Common Rail Direct Fuel Injection:高圧燃料を蓄圧室にため、燃料の噴射タイミングを電子制御する方式のエンジン

ISM会社概要

㈱IHIシバウラ(略称:ISM)
所在地 : 長野県松本市石芝1-1-1
代表取締役社長 : 西村隆志
事業内容 :ディーゼルエンジン、トラクタ、芝草管理機、消防ポンプ、殺菌・脱臭機器、 鋳鉄鋳造品他の製造・販売
売上高 : 260億円(2011年度)
HP : http://www.ihi-shibaura.com/





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