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ナノテクノロジー素材フラーレンで戦略的事業提携【昭和電工】

2013年1月9日

- フラーレン製造販売会社(フロンティアカーボン社)を三菱商事と共同運営 -


三菱商事株式会社(社長:小林健 以下、三菱商事)と昭和電工株式会社(社長:市川 秀夫 以下、昭和電工)は、ナノテクノロジー分野で注目される炭素素材「フラーレン」の事業化に向けた戦略的事業提携を行いました。

また、本事業提携に基づき、昭和電工はフラーレンの製造販売会社であるフロンティアカーボン株式会社(以下FCC社)の株式50%を三菱商事より譲り受け、FCC社は両社の共同運営会社となりました。

フラーレンは、直径1ナノメートル(100万分の1ミリメートル)のサッカーボール状の分子です(図1)。有機溶媒に溶け、且つ、優れた電子受容性を持つ分子であることから、エレクトロニクス分野、特に有機薄膜太陽電池(図2)の負極材などの有望素材として期待が寄せられています。

昭和電工は、フラーレンと並ぶナノ炭素素材であるカーボンナノチューブ(製品名:VGCF®)で10年以上の量産実績があり、VGCF®で培ったナノ技術がフラーレン事業化に応用できると判断し今回の提携を決定しました。今後、FCC社と共同でフラーレン事業化に向けた必要な研究開発・マーケティングを進めていきます。また、三菱商事は、フラーレンの製造実績と関連特許、販売ネットワークを保有しており、両社が提携することで技術面・販売面双方で高い相乗効果を発揮しながらフラーレンの事業化を加速していきます。

昭和電工は、すでにリチウムイオン電池等で広く使用されているVGCF®に加えて、今回提携を決定したフラーレン事業を加速することにより、ナノ炭素素材関連の事業拡大を図ります。また、三菱商事は、産業分野での技術革新を実現する可能性のある素材を扱うことで、新たな事業の創造に繋げていくことを狙います。

以 上 

[参考資料]

1.フラーレンの用途等

フラーレンは2003年より商用生産が始まり、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)や潤滑剤への添加材用途等ですでに量産されています。最近では、以下のような有機エレクトロニクス分野を中心に用途開発が急速に進展しております。

有望用途1 ~太陽電池の負極材~
フラーレンは、大量の電子を極めて強い力で引き付ける特長を持ち、また工業用に使用されている有機溶媒に可溶な官能基と容易に化合する為、強い電子吸引特性を保有したまま有機溶媒に良く溶けるフラーレン化合物(フラーレン誘導体)を生成できます。この特徴を生かし、P型半導体の有機材料と混合させ、インク状態にすれば、安価で大量生産に向く印刷技術を活用し、PET等のフィルムに半導体特性を持った膜形成が可能になります。このような機能膜は、有機トランジスタやダイオード、又有機薄膜太陽電池や有機ELなど従来のエレクトロニクス分野にイノベーションをもたらす事になり、国内外の印刷メーカー、電機メーカー、化学メーカーや、ハイテク・ベンチャー企業が、競って実用化を進めております。なかでも塗布すれば発電素子となる“安価で軽く曲がる”特性を有する有機薄膜太陽電池の分野において、フラーレンは負極材料として、ほぼ全ての内外顧客から標準材料として採用されており、量産化の動きが加速しております。

有望用途2 ~光学フィルター/電子回路/その他~
青色光のみを吸収する光学特性を利用し、サングラス等光学フィルターとしての利用や、分子直径が1ナノメーターというナノサイズとプラズマ等の化学反応の腐食に強いという他の物質では、実現出来ない特性を利用し、次世代超LSI上にナノサイズの電子回路を加工する為の電子材料への開発が進んでおります。また最先端分野では、フラーレン内に金属を内包し、スイッチング特性や磁性特性を利用するナノデバイス等の基礎研究が地道に進んでおり、応用の裾野はますます広がっております。


2.フロンティアカーボン社の概要(2013年1月8日現在)

会社名:フロンティアカーボン株式会社
代表取締役社長:大坪 裕彦
設立:2001年
本社所在地:東京都千代田区丸の内二丁目6番1号
出資比率:三菱商事50%、昭和電工50%
事業内容:フラーレン等のナノカーボン製品の製造および販売


お問い合わせ先
昭和電工株式会社  IR・広報室  03-5470-3235


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