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クロム・ジルコニウム系銅合金「MZC®1 SH+」を新規開発【三菱マテリアル】
2024年9月24日
クロム・ジルコニウム系銅合金「MZC®1 SH+」を新規開発
~次世代自動車部品向け、高強度・高導電率のバランスを実現した銅合金~
三菱マテリアル株式会社は、機械的強度と導電率を高水準でバランスさせたクロム・ジルコニウム(Cu-Cr-Zr)系銅合金の新製品「MZC®1 SH+」を開発しました。
近年、xEVなどの次世代自動車の普及に伴い、高電圧・大電流に適した車載用電子・電気機器の需要が高まっています。これらの需要に対して当社は、独自の高度な加工熱処理技術により、クロム・ジルコニウム系の高導電高耐熱性銅合金「MZC®1」を高電圧・大電流用途のリレーや端子・コネクタ用の素材として供給し、高い評価をいただいています。一方で、今後も著しい進化が見込まれる次世代自動車部品においては、これまで以上に厳しい条件下においても機能する金属素材が求められています。
このたび当社は、既存の「MZC®1」シリーズに比べ、さらに高い水準での強度・導電率バランスを実現した「MZC®1 SH+」の開発に成功しました。「MZC®1 SH+」は、今後ますます高性能化が求められる基板同士を繋ぐ形のコネクタやリレーなどの次世代自動車部品に必要不可欠な素材として、部品設計の自由度向上に貢献します。
「MZC®1 SH+」の具体的な特長は以下のとおりです。
1.高強度と高導電率の両立
銅合金としては最高水準の高強度・高導電率バランスを有しています。(引張強さ約670MPa、導電率78%IACS)
既存の「MZC®1」シリーズの質別(*1)Hに対しても、引張強さ約70MPa向上、質別SHに対しては、引張強さ約40MPaおよび導電率約4%向上させています。(図1)
(*1)質別:製造過程における加工・熱処理の違いによって得られる機械的性質の区分。
図1:MZC®1の質別ごとの特性領域 (画像をクリックして拡大イメージを表示) |
2.抜群の耐応力緩和特性(ばねのへたりにくさ)(*2)と疲労特性(*3)
既存の「MZC®1」シリーズと同様に、高温使用時のばねのへたり(応力緩和)を抑制しており、150℃から200℃の高温環境下においても、通電部材用途として非常に高い信頼性を有しています。(図2)また、繰り返し曲げに対しても、既存の「MZC®1」シリーズと同等以上の疲労特性をもち、耐振動性が求められる通電部材用途として非常に高い信頼性を有しています。(図3)
図2:MZC®1 SH+の耐応力緩和特性
(画像をクリックして拡大イメージを表示)
図3:MZC®1 SH+の疲労特性 (画像をクリックして拡大イメージを表示) |
(*2)耐応力緩和特性:
薄板の試験片に対して、ばね性を発揮する弾性範囲内の負荷(0.2%耐力に対して80%の負荷)をかけて高温環境下で1000時間保持した後に、ばねとして残る力を残留応力率として評価する。残留応力率が高いほど耐応力緩和特性に優れており、ばねとして高温で使用しても、へたらず、ばね性が十分に保持される。
(*3)疲労特性:
薄板の試験片に繰返し曲げ応力を負荷し、負荷した最大曲げ応力に対応した破断繰返し振動回数を調べ、応力-繰返し数線図(S-N線図)として作成する。
当社グループは、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを「私たちの目指す姿」と定めています。今後も非鉄金属素材などの高機能素材・製品供給を通じて、目指す姿の実現に取り組んでまいります。
以上
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