ポリアミド66製の自動車エンジンオイルパンを展示アルミニウム製に比べ、重量約50%低減を実現【ランクセス】

2012年11月6日

ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス（LANXESS）は、ドイツ・フリードリヒスハーフェンで10月16日～20日に開催された国際プラスチック加工専門見本市「FAKUMA 2012」に出展し、ポリアミド66製の自動車エンジンオイルパンを紹介しました。

鋼板やダイカストアルミニウムと比べて、ポリアミドは自動車のエンジンオイルパンの製造において、重量を低減する可能性を拡げました。このことは、アウディA3、A4、A6、あるいは、フォルクスワーゲンのパサートなどで使用されているターボチャージャー付き1.8および2.0リットルガソリンエンジンで実証されています。これらのエンジンオイルパンは、ランクセスのポリアミド66「デュレタン（R）AKV35 H2.0（Durethan（R） AKV 35 H2.0）」から製造されています。重量は鋼部品より約1キログラム、アルミニウム製のオイルパンより約50%軽量になります。この大幅な重量の低減により、自動車の燃費および二酸化炭素排出量を低減するだけでなく、前車軸周辺の重量も低減されるため、ハンドリング操作が容易になります。

このオイルパンはドイツ・ローネを拠点とするPOLYTEC PLASTICS Germany GmbH & CoKGによって製造されています。

デザインの自由度が大幅に向上

一般的に自動車エンジンの小型化傾向に伴い、部品設置スペースがより小さく複雑化しています。鋼板では、オイルパンの形をこのようなエンジンに適合させて製造することは非常に困難です。特にオイルパンに深い部分がある場合、鋼は絞り比が小さいために限界があります。このような場合、デザインの自由度が高いポリアミドは最適です。また、アルミニウムに優る大きなメリットは、重量低減の可能性に加えて、組み立て式の射出成形部品が使用できることです。ダイカストアルミニウム製のオイルパンは、平坦にするためにフランジのデバリングや機械加工などの成形後の処理が必要となり、この作業は製造コストの大部分を占めることになります。

一体化された機能性が部品コストを削減

金属に優るポリアミドのその他のメリットは、一体化された機能による、射出成形のコスト削減の可能性です。ターボチャージ付きエンジン向けのエンジンオイルパンの場合、例えば、油量センサー向けのソケットやドレーンプラグは、直接部品に成形されます。この多くの機能の一体化は、コスト削減に繋がるとともに、アルミニウム構造に必要な個別の溶接、機械的作業段階、さらには、関連するプロセスを省くことが可能となります。エンジンオイルパンに一体化できる機能は、例えば、油冷および油ろ過用のソケット、油量の増量を可能にする側面の膨らみ部分、戻り油系統、そしてトランスミッション支持部の補強要素などがあります。

テーラーメードの高機能プラスチック

「デュレタンAKV 35 H2.0」は、35重量%ガラス繊維で強化されていますが、この強化にも関わらず、フランジの強度を維持する低反りオイルパンの製造に使用することができます。石の衝撃や高い縁石に当った場合でも、プラスチックの優れた硬度、剛性、強度が、オイルパンの破損を防ぎます。ポリアミドの熱安定性は、持続的な標準熱負荷の下で部品の高い寸法安定性を確保します。

これは、ドイツ・レバクーゼンで10月16日に発表されたリリースをもとに、ランクセス㈱が発表したものです。
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