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シリコン系負極電池を改良し、次世代電池の実用化に大きく前進【GSユアサ】
2023年5月17日
シリコン系負極電池を改良し、次世代電池の実用化に大きく前進
~高エネルギー密度と寿命性能を両立する技術を開発~
株式会社 GSユアサ(社長:村尾 修、本社:京都市南区。以下、GSユアサ)は、実用化に課題の多いシリコン系負極電池において、種々の改良を重ねることにより、高エネルギー密度化と長寿命化を両立する技術を開発しました。この技術を応用して、従来のリチウムイオン電池を上回る400 Wh/kgの高エネルギー密度を実証するとともに、200サイクル後のエネルギー密度維持率90%以上、300サイクル後においても維持率85%以上という良好な充放電サイクル寿命性能が得られることを確認しました。なお、このシリコン系負極は、今後の技術革新と普及が見込まれる全固体電池へも適用可能な技術です。
シリコン系負極活物質は質量あたり理論容量の高さや資源の豊富さなどから炭素系負極に代わる新規材料として多くの研究が行われてきましたが、充放電にともなう体積変化が引き起こす課題により実用化が困難でした。今回GSユアサはバインダーと電解液の改良により、シリコン系負極を用いた次世代リチウムイオン電池の実用化に向けて大きく前進しました。
【シリコン系負極電池の特長】
・単位質量あたりの理論容量が従来の黒鉛負極と比較して非常に高い
・資源量が豊富
【シリコン系負極電池の課題】
・充放電にともなう体積変化によりシリコン系負極活物質の孤立化※1が進行し、充放電サイクル寿命性能が低下する
・体積変化でSEI被膜※2に亀裂が生じ、その修復の過程で電解液分解やリチウム消費が進行し、充放電サイクル寿命性能の低下や、ガス発生の問題が生じる
【GSユアサが開発した技術】
・バインダーの改良により、シリコン系負極活物質の孤立化を抑制することに成功
・電解液の改良により、充放電サイクル時のリチウム消費を抑制し、ガスの発生においては、ほぼ抑制することに成功
・上記の要素技術の成果を基に、電池設計を改良
今後は早期の実用化を目指し、引き続き電池性能の改善を進めていきます。GSユアサは、高エネルギー密度化を含む電池の高性能化の開発を進めることを通じて、これからもカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。
※1 導電パスの切断により、電極中の活物質が充放電に寄与しなくなる現象。
※2 電解液の還元分解にともなって負極活物質粒子表面上に生じる被膜。それ以上の電解液の還元分解を防ぐ不働態として機能します。
■ シリコン系負極電池
■ シリコン系負極電池の充放電サイクル寿命性能
■ シリコン系負極電池の充放電曲線
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