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高電力密度の電源設計を支援する業界初のスタンドアロン アクティブEMIフィルタICを発表
2023年3月29日
高電力密度の電源設計を支援する業界初のスタンドアロン アクティブEMIフィルタICを発表
システムの性能、効率、信頼性を最適化しながらより小型化、軽量化、手頃な価格のソリューションの設計を実現
テキサス・インスツルメンツ(TI)は、業界初のスタンドアロン アクティブ電磁干渉(EMI)フィルタ集積回路(IC)を発表しました。これによりエンジニアは、より小型で軽量なEMIフィルタを実装しながら、システムコストを抑え、システム機能を強化することが可能となります。同時に、EMI規格にも適合した製品となります。
電気システムの高密度化と相互接続が進むにつれ、エンジニアにとってEMIの低減はシステム設計の重要な課題になっています。TIの新しいコンセプトや画期的なアイデアを生み出す研究開発ラボであるKilby Labs (キルビー ラボ) の革新的な開発により、スタンドアロン アクティブEMIフィルタICの新しい製品ラインアップは、単相および三相AC電源システムで100kHz ~ 3MHzの周波数範囲にあるコモンモードEMIを検知し、最大30dBキャンセルさせることができます。この機能により、純粋な受動フィルタ ソリューションに比べてチョークコイルのサイズを 50% 小型化でき、厳格なEMI規格に適合することができます。TIの新しい電源フィルタIC製品ラインアップの詳細については、TI.com/AEFをご覧ください
TIのスイッチング レギュレータ事業部、ゼネラル マネージャを務める Carsten Oppitz は次のように語ります。「より高性能と低コストのシステムを求めるお客様のニーズに応えるため、TIはEMIの設計の課題にコスト効率のよい電源開発の革新を進めていきます。このスタンドアロン アクティブEMIフィルタICの新しい製品ラインアップは、エンジニアの設計課題を解決し、車載、エンタープライズ、航空宇宙、産業用などの各アプリケーションにおいて性能と電力密度を最大化するのに役立つと確信しています」
システムのサイズ、重量、コストの大幅な削減と信頼性の向上
密度の高いスイッチング レギュレータを設計するときの課題の1つは、小型かつ高効率のEMI入力フィルタの設計をどのように実装するかということです。容量マルチプライヤを実装した新しいアクティブEMIフィルタICを採用することで、エンジニアはコモンモード チョークのインダクタンス値を最大 80% 削減することができ、また機械的信頼性および電力密度の向上をコスト効率よく実現することができます。
新しいアクティブ EMI フィルタ ICファミリは、単相および 三 相の産業アプリケーション向け製品ラインアップ『TPSF12C1』『TPSF12C3』また、 車載アプリケーション向け製品ラインアップ 『TPSF12C1-Q1』 『TPSF12C3-Q1TPSF12C3-Q1』で構成されています。これらのデバイスは、電源 EMI フィルタ内の発熱を効率的に低減し、フィルタ のコンデンサ寿命の延長やシステムの信頼性向上にも貢献します。
この新しいアクティブEMIフィルタICは、センシング、フィルタリング、ゲイン、注入の各段が組み込まれています。このICは14 ピン、SOT-23 パッケージであり、補償回路と保護回路を搭載しているため、実装の複雑さが少なく、外部部品の必要性を最小化することができます。
コモンモードノイズを低減し厳格なEMI規格に適合
CISPR (Comité International Spécial des Perturbations Radioélectriques:国際無線障害特別委員会) 規格は、電気デバイスのEMIを制限するための世界的な基準となっています。『TPSF12C1』『TPSF12C3』『TPSF12C1-Q1』『TPSF12C3-Q1』は、多様なAC/DC電源、オンボード チャージャ、無停電電源 (UPS)、コモンモードノイズが支配的な他の類似システムで、EMIの検出、処理、低減を行うのに役立ちます。エンジニアは設計の課題に対処し、CISPR 11、CISPR 32、CISPR 25 が課すEMIの各要件を満たすことができます。
TIのアクティブEMIフィルタICは、IEC 61000-4-5 のサージ耐性要件に適合しており、TVS ダイオードのような外部部品の部品数を最小限に抑えることができます。シミュレーションツールのPSpice® for TI simulationやクイック スタート カリキュレータのようなサポートツールをご利用いただくと、開発中のシステムに最適な部品の選定と実装を簡単に行うことができます。この新しいアクティブEMIフィルタICファミリを使用した設計の詳細については、技術記事『スタンドアロン アクティブEMIフィルタICでコモンモードフィルタのサイズを縮小する方法 』 をご覧ください。
パッケージ、供給と価格について
車載アプリケーション向けの『
TPSF12C1-Q1』、『
TPSF12C3-Q1』は、4.2mm x 2mm のSOT-23 、14 ピンパッケージで量産開始前サンプルを、TI.com から入手可能です。産業アプリケーション向けの『TPSF12C1』および『TPSF12C3』は、2023年3月末までに量産開始前サンプルを、TI.com から入手可能です。1,000 個ご注文時の単価 (参考価格) は0.78 米ドルからです。『TPSF12C1QEVM』と『TPSF12C3QEVM』の各評価基板は、TI.com から 75 米ドルで購入できます。TI.comでは、お支払いと配送方法について各種オプションをご用意しています。これらすべてのデバイスは2023 年の第 2 四半期には、量産体制で入手可能となる予定で、追加のスタンドアロン アクティブEMIフィルタICは 2023年下期にリリース予定です。
※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。
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