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商用EVに関する世界最大の実証実験により、EV移行を加速【日立製作所】

2023年1月20日

  

商用EVに関する世界最大の実証実験により、EV移行を加速

  

 株式会社日立製作所(以下、日立)の英国における事業統括会社である日立ヨーロッパは、商用電気自動車(EV)に関する世界最大のプロジェクトであるOptimise Prime(オプティマイズ・プライム)の実証実験(以下、本実証実験)が終了し、コストやエネルギー需要などの障壁がデジタル化と新製品の提供によって克服できることを示しました。1年にわたるこの画期的な実証実験の結果は、英国および世界各地での商用EVの大量導入に貢献することが期待されます。

 英国がネット・ゼロ目標を達成するためには、商用EVを迅速に普及させることが不可欠です。英国のThe Climate Change Committee(気候変動委員会)が発表した第6次カーボンバジェット(炭素予算)*では、2030年代初頭までにすべての新車を低炭素仕様にし、かつ大部分をEVにすることが求められています。また、The Climate Change Committeeは、2020年代に企業が保有する車両をEVに切り替えることで、英国におけるEV移行を主導するよう勧告しています。

 本実証実験は2021年7月に始まり、日立ヨーロッパと英国の配電事業者であるUK Power Networks (UKパワーネットワークス)が主導してきました。英国のエネルギー事業者であるCentrica plc(セントリカ)、ライドシェア事業を展開するUber(ウーバー)や、配達拠点を持つ英国の大手郵便事業者が保有する8,000台以上のEVが英国内を走行し、英国の配電事業者であるScottish and Southern Electricity Networks(スコティッシュ・アンド・サザン・エレクトリシティ・ネットワークス)を含む配電ネットワークや、日立ヴァンタラ、英国の大手リース会社であるNovuna Vehicle Solutions(ノヴナ・ヴィークル・ソリューションズ)といったパートナーがサポートしました。本実証実験では、各事業者の拠点、自宅、公共の充電スタンドにおいてEVの充電が行われました。

 本プロジェクトでは、地域社会に電力を供給するケーブルや変電所、新しいインフラに投資する必要のある企業、車両に電力を供給する必要のある商用車オーナーにとって、EVへの切り替えとは何か、エンドツーエンドの概要を説明しています。また、商用車オペレーターが本プロジェクトを最大限に活用するためのアドバイスも提供しています。本実証実験の主な中間結果は次の通りです。

・商用車の充電は、各事業者の拠点や自宅、公共の充電スタンドなどで行われるが、それら3つの充電方法において、必要とされる航続距離をカバーすることができ、商用車のEV化を実現することが可能。

・プライベートハイヤーがEVに移行するためには、タワーハムレッツ・ロンドン自治区(London Borough of Tower Hamlets)だけでも、2025年までにさらに約3,200台の充電設備が必要。

・長期的には商用EVは収益を上げることができ、また、必要なときだけ充電し、電力ネットワークのピーク時には充電を停止する「ターンダウン」サービスを提供することで、電力ネットワーク事業者を支援できる。

・デジタル化により、車両やネットワーク事業者が充電量を予測し、電力ネットワークのピーク時の需要管理に役立てることが可能。

 日立ヨーロッパのOptimise PrimeビジネスリーダーであるJohn Whybrow(ジョン・ホワイブロー)は、「英国の交通機関のうち、道路を走行する車両のCO2排出量が最も多いことから、個人と企業がより持続可能な交通手段に移行する必要があることは明らかです。本実証実験により、積極的なEVの普及が可能であることが示され、また、データを活用することで、コストや充電の可否など、企業が直面している課題も克服できることが分かりました。EVへの移行をより容易かつ安価にすることは、英国だけでなく世界的にネット・ゼロへの道を加速させる鍵になります。」と述べています。

 UK Power Networks の顧客サービス&イノベーション担当ディレクターであるIan Cameron(イアン・キャメロン)氏は、「車両の電動化は大きなステップですが、私たちは、お客さまが想像していたよりも安く、早く、簡単に実現できるようにしています。私たちは、車両の電動化にかかるコストを削減するための実用的なソリューションを提供することに取り組んできました。そしてまさに、車両管理者にとって有益な多くの知見とノウハウを得て、それを実現しました。その一例として、スマートチャージの利用が初期費用の削減に大きく貢献することが挙げられます。また、おそらく私たちが得た最高のフィードバックは、本実証実験に参加した車両管理者による、『実証実験がオペレーションに影響を与えることなくシームレスに行われたため、このような高度な作業が裏で行われていたことを知らなかった』という言葉です。」と述べています。

 車両管理者がEVへの移行を検討する際には、綿密な計画が不可欠です。日立は、Optimise Primeの経験に基づき、ビジネスニーズ、場所の制約(物理的および電気的な制約)、ビジネスプロセスの変更の管理について考慮した包括的なガイドをまとめています。このガイドに加えて、商用EVの充電と利用に関する最終結果および関連データも、今後数か月以内にUK Power Networksのオープンデータプラットフォーム上で公開され、より広範囲な業界においてEVへの移行に備えられるよう支援する予定です。

* Sixth Carbon Budget – Climate Change Committee

  

関連情報

車両最適化に向けた日立のゼロ・カーボンの取り組み(英語)

  

日立製作所について

 日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。金融・官公庁・自治体・通信向けITサービスやお客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつなぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステム」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2021年度(2022年3月期)の連結売上収益は10兆2,646億円、2022年3月末時点で連結子会社は853社、全世界で約37万人の従業員を擁しています。

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日立ヨーロッパについて

 日立製作所の子会社である日立ヨーロッパは、英国ストーク・ポジズに本社を構えています。日立ヨーロッパは、社会イノベーション事業に注力しており、社会の課題に応えるイノベーションを提供しています。日立ヨーロッパとその子会社は、ITシステム、鉄道システム、電力・産業システム、産業用部品・機器、自動車システム、デジタルメディア・家電品など幅広い製品を提供し、欧州全域に事業所と研究開発拠点を展開しています。

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 日立製作所の完全子会社である日立ヴァンタラは、データ駆動型企業がデータの価値を見出し、活用することで、知的なイノベーションを起こし、ビジネスや社会に重要な成果をもたらすことを支援しています。テクノロジー、知的財産、業界知識を組み合わせて、企業が顧客体験を向上させ、新しい収益源を開拓し、ビジネスコストを削減するのに役立つデータマネージングソリューションを提供しています。ITやOT(制御・運用技術)、ドメインに関する深い専門知識を組み合わせることで、お客さまのイノベーションの優位性を高めることができます。あらゆる組織と協力し、データを意味のある成果へと導くために取り組んでいます。

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