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村田製作所として初めてV2X向け通信モジュールを開発
2022年12月15日
村田製作所として初めてV2X向け通信モジュールを開発
~Autotalks社製のチップセットを搭載~
株式会社村田製作所(本社:京都府、代表取締役社長:中島 規巨、以下「村田製作所」)は、V2Xチップセット市場を世界的にリードするAutotalks社(本社:イスラエル、CEO:Hagai Zyss、以下「Autotalks」)のチップセットを搭載したV2X向け通信モジュール「Type 1YL」と「Type 2AN」(以下「当製品」)を開発しました。当製品は、村田製作所として初めて開発したV2X向け通信モジュールです。
近年、衝突などの事故防止や自動運転の実現にむけて、車とあらゆるものが直接通信するV2Xの活用が進んでいます。V2X通信にはDSRC※1方式とセルラーV2X(C-V2X※2)方式の異なる無線方式が存在しており、国や地域によって対応する方式が異なっています。そのため、その国や地域によって異なる設計が必要で、複雑化の要因となっていました。
※1 DSRC(Dedicated Short Range Communications):狭域通信のこと。現在はIEEE 802.11標準を基に作成されたIEEE 802.11pが標準化されており、V2X通信に使用されています。
※2 C-V2X(Cellular-V2X):第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって2016年に標準化されたV2Xアプリケーション向けの通信方式になります。携帯電話での通信技術が基となっており現在はLTE-V2Xが使われています。
そこで、村田製作所は長年培った高周波RF設計技術や独自の高密度実装技術を活かして、DSRC通信とC-V2X通信への両対応が特長のAutotalksのチップセットを組み込んだ当製品を開発しました。
Autotalks Vice President Business Development & Marketing for APAC Ram Shallom氏のコメント: 「成熟した高いパフォーマンスのV2Xソリューションを市場提供するために、村田製作所と協力できることを誇りに思います。これは5年以上にわたる共同開発、検証、広範なテスト、設計最適化における重要なマイルストーンです。さらに、それは両社の協力により達成できる品質、堅牢性、パフォーマンスレベルを示しています。汎用性の高い村田製作所のV2X向け通信モジュールは、世界中の自動車業界のお客さまがV2Xの商用化を加速するのに役立ちます。Autotalksとの緊密な連携はV2X技術の大規模な展開へのもう一つの重要なステップです。」
村田製作所 通信モジュール事業本部 事業部長 笈田敏文のコメント : 「Autotalksの高度な技術とワイヤレス分野での専門知識を活用したこのユニークなプラットフォームは、V2X通信を通して車両同士や車両とインフラの通信を可能にする大きな一歩となります。幅広いユースケースは、道路上の安全や交通渋滞の劇的な改善に繫がるでしょう。村田製作所のハイブリッドワイヤレス技術を搭載することで、DSRCとC-V2Xの両方を同じモジュール上でサポートできます。このプラットフォームを通じて、V2Xのシステム基盤をお客さまに提供するだけでなく、高度なトレーニングを受けたエンジニアリングチームがお客さまのアンテナ設計とソリューション最適化をサポートすることも可能です。」
当社は今後も、市場ニーズに対応したラインアップ拡充に取り組み、安心安全のコネクテッドカーの実現に貢献していきます。
※当製品は開発品です。仕様や外観は予告なく変更されることがあります。
主な特長
・多くの国々で採用されているDSRCとC-V2Xの2つの通信規格に対応
当製品だけで各国の通信規格に対応できることで、システム設計のコスト削減に貢献します。
・小型パッケージ
Type 1YLは33.0mm×27.0mm×3.0mm(業界最小レベル)、Type 2ANは38.5mm×37.5mm×8.5mmと
小型で、ユーザの設計自由度を高くします。
・高信頼性
高信頼が求められる車載市場に必要なスペック条件を満たしています。
主な特長
Type 1YL | Type 2AN | |
チップセット | Autotalks SECTON(ATK4055C) and PLUTON2(ATK3200) | Autotalks CRATON2(ATK4245C) and PLUTON2(ATK3200) |
---|---|---|
規格 | DSRC:IEEE802.11p, C-V2X:3GPP Release 14/15 | |
サイズ | 33.0mm×27.0mm×3.0mm | 38.5mm×37.5mm×8.5mm |
温度範囲 | -40℃~105℃ | -40℃~85℃ |
インターフェイス | USB/SPI/UART | USB/SPI/UART/CAN/Ethernet(MAC) |
主な用途
・V2Vでの用途例
車両同士が通信することで、前方車両のブレーキライトがドライバーに見えなくても、前方車両からのブレーキ信号をドライバー車両が受け取り、ドライバーに前方車両がブレーキをかけていることを知らせることができます。これにより、目に見えない危険の早期発見に貢献します。
・V2Iでの用途例
ロードサイドインフラと車両が通信し、信号機が変わるタイミングに合わせて車両の速度が最適化されます。車両が交差点で止まることが少なくなることで、車両の加減速が低減され、交通渋滞の緩和に貢献します。
製品サイト
Type 1YL製品詳細はこちら。
Type 2AN製品詳細はこちら。
お問い合わせ
当製品のお問い合わせはこちら。
Autotalksについて
V2Xチップセット市場のパイオニアでありリーダーであるAutotalksは、その自動車向けに認定されたチップセットにより、道路上の衝突を減らし、モビリティを向上させます。同社のチップセットは、最も先進的で安全、最高性能のグローバルV2X通信ソリューションを提供します。Autotalksの高度なテクノロジーは、今後数年以内に大規模に展開される予定で、特に見通し外のシナリオや悪天候、劣悪な照明条件で、他のセンサーから得られる情報を補完します。車両、自動運転車、オートバイ、歩行者を効果的に調整し、全体的な道路の安全性を大幅に向上させます。詳細については、www.auto-talks.comを参照してください。
ムラタについて
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
詳細はこちらのページをご覧ください。www.murata.com/ja-jp
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