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ECUレベルのソフトウェア開発をハードウェア無しで実現する、統合開発環境を提供開始【ルネサス エレクトロニクス】

2022年9月27日

  

ECUレベルのソフトウェア開発をハードウェア無しで実現する、統合開発環境を提供開始
~車載ソフトウェアの開発期間の短縮を実現し、設計後の手戻りを削減~

  



車載SW開発用統合開発環境

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、複数のデバイスを搭載したECUレベルのソフトウェア開発をハードウェア無しで実現できる統合開発環境を開発しました。本開発環境は、自動車開発において注目されている、ソフトウェアが価値を提供する「ソフトウェアファースト」と、ハードウェアの無い初期段階から仕様や機能、性能の検証を行う「シフトレフト」の実現に貢献するものです。第1弾として、R-Car S4とRH850/U2Aに対応した統合開発環境の提供を開始します。この統合開発環境は以下の4つの要素で構成されます。

 1)マルチデバイス用協調シミュレーション環境 (本日より提供開始)
 2)マルチデバイス用デバッグ&トレースツール (本日より提供開始)
 3)ソフトウェア開発向け高速シミュレータ (2022年12月より提供開始)
 4)マルチデバイス用分散処理ソフトウェア (2022年12月より提供開始)

ルネサスの車載ソフトウェア開発統括部、統括部長の川口 裕史は次のように述べています。「お客様のソフトウェアファーストやシフトレフトの実現に貢献する開発環境を提供できることを嬉しく思います。この開発環境が、お客様のE/Eアーキテクチャの変革を推し進め、ECUの早期開発と新しい製品価値提供に貢献すると確信しています。」

  

マルチデバイス構成のECU開発向け統合開発環境

 ルネサスは、ソフトウェアファースト、シフトレフト実現に貢献するための開発環境の拡充に努めています。マルチデバイスに対応した本統合開発環境は、製品価値を実現するECUレベルでのソフトウェア開発を可能とし、ソフトウェアファーストの実現に貢献します。また、シミュレーション環境を製品開発の初期段階から提供することにより、実デバイスやECUの試作前に動作検証やアプリケーション開発を可能とすることで、シフトレフトを実現します。本統合開発環境を構成する4つの要素の詳細は以下の通りです。

  

1)システムの最適設計を支援する「マルチデバイス用協調シミュレーション環境」
 従来、SoCやマイコンなど個別のデバイス用に提供していたR-Car Virtual Platformなどのシミュレータ群を統合し、連動させることにより、マルチデバイスの動作シミュレーションを実現しました。これにより、システム全体の最適設計(最適な状態となる機能割付の設計)や検証が可能となります。また、MATLAB®/Simulink®モデルから、デバイス用ソフトウェアコードと、検証するためのシミュレーション環境を自動生成する開発ツールも提供します。ユーザは、本シミュレーション環境により、実デバイスやECUの試作前に動作検証やアプリケーション開発を進めることが可能となります。

  

2)問題点を見える化できる「マルチデバイス用デバッグ&トレースツール」
 複数のデバイスを搭載したECUレベルでも、個々のSoCやマイコンに対して、同時かつ同期した実行、ブレーク制御や、トレース情報の取得を実現します。これにより、複雑に連携する複数のデバイスのソフトウェアの動作や処理フロー、性能プロファイル、問題点などが実際のECU上で容易に見える化できます。さらに今後、(1)のマルチデバイス用協調シミュレーション環境においても同様の機能を実現する予定のため、ECUがなくてもコンピュータ上でデバッグ&トレースが可能となります。

  

3)大規模シミュレーションを高速に実現する「ソフトウェア開発向け高速シミュレータ」
 ECUレベルのシミュレーションでは、対象となるソフトウェアも大規模となり、シミュレーション実行時間が長大になる傾向にあります。本シミュレータは、オープンソースの仮想環境であるQEMUをベースとし、時間概念を考慮しない高い抽象度でSoCやマイコンをモデル化することで、ECUレベルの大規模シミュレーションをより高速に実現します。

  

4)デバイス構成を意識せず設計できる「マルチデバイス用分散処理ソフトウェア」
 アプリケーションの機能を複数のSoCやマイコン内部のCPUやIPへ分散して最適に配置し、ハードウェアが持つ性能を最大限引き出すことができるソフトウェアです。これにより、開発者はECUのハードウェア構成を意識せずに、新たなアプリケーションを次々と開発することが可能です。例えば、AI処理性能を向上させるために既存のECUにAIアクセラレータを追加するなどハードウェア構成が変更になった場合でも、追加デバイス用にアプリケーションを開発し直すことなく、システム性能を拡張できます。

マルチデバイス用協調シミュレーション環境についての詳細は、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/software-tool/co-simulation-environment-multi-devices
マルチデバイス用デバッグ&トレースツールについての詳細は、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/software-tool/debug-and-trace-tools-multi-devices
ソフトウェア開発向け高速シミュレータについての詳細は、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/software-tool/high-speed-simulator-software-development
マルチデバイス用分散処理ソフトウェアについての詳細は、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/software-tool/distributed-processing-software-multi-devices

 なお、本開発環境は開発の短期化により消費エネルギを低減するため、地球環境の改善に貢献します。

  

以上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

  

  

  

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