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SARTREロードトレイン・プロジェクトが提示する未来の自動運転の姿【ボルボ・カーズ・ジャパン】

2012年9月20日

欧州のパートナー7社が共同で実施するSARTRE(Safe Road Trains for the Environment、環境に配慮した安全なロードトレイン)プロジェクトが2012年に成功裡に終了しました。

このユニークなプロジェクトは、高速道路におけるロードトレイン実現の可能性を追求するもので、一般の車両が走行する道路状況で、ロードトレイン走行を行いました。

SARTREロードトレイン・プロジェクトに参加したボルボ・カー・コーポレーション(以下、ボルボ社)および他のパートナーの努力により、近い将来、最先端の技術による自動運転に操作を任せ、走行中にハンドルから手を離したり、前方から目を離すことができる日が来るかもしれません。

「ロードトレインによって、公共交通機関を利用するときと同じように、車中で様々なことを行えるようになります。もちろん、ボルボ車を自分で運転して楽しむこともできます。」と、ボルボ社のテクニカル・スペシャリストであるエリック・コーリングは述べています。



<写真 : スペインで実施されたSARTREプロジェクトの模様>
SARTREプロジェクトの世界観を伝える映像や、今回の実験の模様を収めた映像を、ボルボ・カーズ・ジャパンのYouTube公式チャンネルでご覧いただけます。 http://www.youtube.com/user/VolvoCarsJapan

車間距離は4m

ボルボ社は、SARTREに参加した唯一の乗用車メーカーです。今回実施されたロードトレインは、プロのドライバーが運転して先導するトラックの後ろに、トラックが1台、ボルボ車が3台(S60、V60、XC60)続くという形式で構成されています。

先導するトラックに続く4台は、すべて自動運転により、最高90km/hで走行しました。車間距離は、既存および新技術の組み合わせにより、時には4m未満にまで接近するケースもありました。

「基本原理は、先導車の動きを後続車がリピートするというものです」と、エリック・コーリングは語ります。「そのために、私たちは『アダプティブ・クルーズ・コントロール』、『シティ・セーフティ』、『レーン・キープ・アシスト』、『ブラインドスポット・インフォメーション・システム』、『パーク・アシスト・パイロット』といった既存の安全および運転支援システムで使用されているカメラ、レーダー、そしてレーザー技術をさらに進化させています。」

今回の実験車両に追加された重要な新機能は、以下の通りです。


重要な情報を表示し、隊列への参加や離脱要求を実行するためのタッチ・スクリーンを含む、プロトタイプの『ヒューマン・マシン・インターフェイス』。

隊列内にある車両間の通信を可能にする、プロトタイプの『ビークル・トゥ・ビークル・コミュニケーション・ユニット』。

公共交通機関よりスムーズ

長期的な目標は、長距離の移動において、車を家に置いて公共交通機関を利用するよりも、自分の車でロードトレインに加わることの方が、より魅力的で快適となる交通システムを整備することです。

「ロードトレイン関連の情報と操作は、市販車向けの技術が確立した段階で、『ボルボ・センサス』インフォテインメント・システムに統合されることになります。ロードトレインの予約、参加、そして離脱は、簡単かつスムーズでなければなりません」と、エリック・コーリングは述べています。「もう1つの課題は、コスト面に関連するシステムの構築です。ロードトレインは、先導車を所有するか、後続車となるかによって、収入が発生したり、料金を支払う必要があることはご理解頂けると思います。」

数多くの利点

走行時に運転以外のことができるという魅力の他にも、ロードトレインはいくつかの重要な利点を備えています。


交通の安全性が高まります。トラックなどで隊列を先導するのはプロのドライバーです。高度に調整された技術により、車両間の反応時間はきわめて短いものとなっています。

環境への悪影響が軽減されます。各車両は接近して走行するため、空気抵抗が小さくなります。

各車両の速度にばらつきが生じないため、交通の流れが良くなり、道路をより効率的に活用できます。


「燃料消費量が10~20%削減されるでしょう。それによって、目的地までの休日のドライブが、より快適で安全になるばかりでなく、浮いた燃料代で海沿いのレストランでランチもできるでしょう」と、エリック・コーリングは笑いながら語っています。

ステークホルダー同士での対話

ヨーロッパの高速道路においてロードトレイン技術を実際に採用するにあたっての問題は、技術面だけに留まりません。SARTREは、隊列走行を現実のものとするために、どのような変更が必要かを知るための大規模な調査も行っています。

「欧州の道路においてロードトレインが実現するまでには、いくつかの問題を解決しなければなりません。ボルボ社は、車の安全性に関するリーダーとして、特に障害物の回避や急制動といった緊急事態に焦点を当てています。全体的にロードトレインはすばらしい可能性を秘めていると、私たちは確信しています」と、エリック・コーリングは総括しています。

SARTREは、Safe Road Trains for the Environment(環境のための安全なロードトレイン)を表しています。『フレームワーク7』と呼ばれるプログラムの下で欧州委員会が部分的に出資を行っているSARTREは、英国リカルド社の主導により、スペインのアプルス・イディアダ社、テクナリア社、ドイツのアーヘン工科大学車両研究所(IKA)、スウェーデン国立研究所(SP)、スウェーデンのボルボ・カー・コーポレーションおよびボルボ・グループによる共同事業として進められています。


http://www.sartre-project.eu/



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