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自動車業界のCO2排出量削減に貢献、異種材料接合用フィルムタイプ接着剤量産化へ【昭和電工】
2022年8月31日
自動車業界のCO2排出量削減に貢献、異種材料接合用フィルムタイプ接着剤量産化へ
― プリント基板など電子材料の生産効率化によるCO2排出量削減も目指す ―
昭和電工株式会社(社長:髙橋 秀仁)は、異なる素材をわずか数秒で高強度に接合できる異種材料接合技術「WelQuick®」*1を用いたフィルムタイプ接着剤の量産化の検討を開始しました。本製品は、長時間の高温加熱が必要だった従来の液状接着剤と比べて工数や電力消費の削減につながり、生産時のCO2排出量を削減できます。その特徴を生かし、カーボンニュートラルの要請が高まる自動車業界や電子材料分野などに向けて、2023年からの量産を検討しています。
量産化検討開始に至る背景
世界的なカーボンニュートラルの高まりを受け、自動車業界は、走行時のCO2排出量削減だけでなく生産工程でのCO2削減も求められています。サプライヤーである自動車部品・素材メーカーに対しても、自動車メーカー各社はCO2排出量削減を実現する部材の提供を求めています。
また近年、自動車業界は、燃費・環境性能や安全性のために車体を高強度鋼板とアルミニウムにしたり、軽量化実現のためマグネシウム合金やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使う等、樹脂と金属を組み合わせる「マルチマテリアル化」を進めてきました。この結果、素材メーカーは異種素材を接合・接着する高度な技術が求められるようになりました。
この「CO2排出量削減」と「マルチマテリアル化」という2つの流れに対し、両方の要求を満たすのが当社の異種材料接合技術「WelQuick®」によるフィルムタイプ接着剤です。
本製品は扱いやすいフィルムという形状で、固体と液体間の相変化*2を利用して接着するため、既存の液状接着剤と比較して取り扱いが簡便です。また、わずか数秒の加熱・加圧で強固に接着できる特徴を持ち、マルチマテリアル化に対応した製品です。従来のボルト・ねじによる接合よりも工数を削減でき、従来の接着剤のように長時間の高温加熱で硬化させる必要もないため生産時間・電力消費量の削減にも寄与、CO2排出量の削減が実現します。
当社は、マルチマテリアル化に対応する製品として「WelQuick®」のサンプル提供を2021年から進めてきましたが、脱炭素ニーズの高まりを受け、CO2排出量削減に貢献する材料の需要拡大が見込まれることから、今回の量産化検討に踏み切ることになりました。
用途開発の成果
用途開発により本製品は、自動車材料分野ではバンパーの骨組み材(バンパーレインフォース)の複合材料と車体との接着や、電気自動車・ハイブリッド車のインバーターやモーター周辺の金属端子と樹脂の接着・密閉など、多くの用途が確認できました。さらに電子材料分野においても、ロール状のプリント基板を量産する過程で材料同士をつなぐ際、従来の粘着テープと比べて、短時間加熱するだけで再現性の高いつなぎ作業が完了します。また本製品は粘着性のないフィルムであるため粘着剤に含まれるVOC(揮発性有機化合物)が製品に溶け込むことがなく、環境への負荷を抑えられるなど、さまざまな課題の解決に貢献できることが分かりました。当社は今後も、広範な分野で用途開発を継続します。
当社グループは、有機・無機・金属に関する幅広く高い技術力や素材により、さまざまな事業分野に新たなソリューションを提供し、持続可能な社会の発展に貢献していきます。
用途開発例(自動車構造部材の接着、金属端子と樹脂の接着・密閉、ロール状基板のつなぎ)
本製品の使用方法
本技術に関する紹介は、次のwebページよりご覧ください。
>WelQuick®を用いた自動車構造部材のマルチマテリアル化
技術資料のダウンロードはこちらから >ダウンロードフォーム
>WelQuick®を用いた端子台のリークシール
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>WelQuick®を用いたRoll to Roll工程の基材つなぎ
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*1ニュースリリース
>「異種材料接合技術「WelQuick®」を開発」(2021年6月28日発表)
*2相変化:温度や圧力の変化により物質の状態(液体、気体、固体)が変化することで、本技術では固体から液体への融解と、液体から固体への凝固を利用している。
以上
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ブランド・コミュニケーション部 広報グループ 03-5470-3235
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