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熱可塑性樹脂を活用したEV・HEV用パワートレインソリューションの共同 開発【SABIC/IAV】

SABICイノベーティブプラスチックスは、先進の車両やパワートレインシステムの世界的リーダーである独IAV GmbH社と、電気自動車(EV)およびハイブリッド車のパワートレイン部品に使われている金属部品を最先端の熱可塑性樹脂で代替するソリューションを共同で開発することで合意した。両社の具体的な目標は、次世代車両のバッテリパックの重量を相殺するための軽量化や高電圧域の電磁波遮蔽などを含めた車両性能および効率性を最適化できる新たな手段を開発することにある。

「IAV社との戦略的コラボレーションの究極の目的は、ハイブリッドおよびプラグイン式ハイブリッド、バッテリ式の電気自動車などのさまざまな次世代自動車の開発を目指すお客様に、革新的なソリューションを提供することです。」と、SABICイノベーティブプラスチックス、自動車担当バイスプレジデント、グレゴリー・アダムスは言及する。「世界中のお客様が最先端の技術を要求するのはもはや当然の時代です。その一つ一つに迅速に応えるには、それぞれ異なる強みを持った2社が協力し、互いのスキルを補完し合うことが今後ますます重要になります。最先端パワートレインのエンジニアリング分野を代表するIAV社の専門技術と、当社の堅牢で高性能な特殊素材およびアプリケーション開発のノウハウを組み合わせることで優れた結果が出せると確信しています。このコラボレーションが近い将来、自動車メーカーによる次世代型パワートレインやパワートレイン部品の開発のお手伝いを出来る日が来ることを楽しみにしております。」

IAV社は、27年間にわたり次世代車両向けの革新的なコンセプトや技術の開発に取り組み、パワートレインおよび制御ユニット、オンボードシステム、高電圧バッテリシステムなど、バッテリ式およびハイブリッド電気自動車向けのシステムや部品の開発で電気自動車分野をリードしてきた。

「最新のパワートレイン部品開発におけるSABICイノベーティブプラスチックスとの密接な連携は、当社にとって大きなメリットです。軽量で電磁波遮蔽が高く、防錆性、耐熱性にも優れた熱可塑性樹脂やコンパウンド樹脂を最大限に活用できるのですから」と、IAV GmbH社の社長兼CEOのクルト・ブルメンローダー氏はコメントする。「金属代替および高性能エンプラにおけるSABICイノベーティブプラスチックスの幅広い実績と、当社のエンジニアリングに関する専門知識はまさに最強の組み合わせです。この連携がハイブリッドおよび電気自動車の性能と効率性の大幅な向上を支援し、自動車業界の有意義な発展に貢献することは間違いありません。」


重量および温度、遮蔽の課題を克服する熱可塑性樹脂
ハイブリッドおよびプラグイン式ハイブリッド、バッテリ式電気自動車の環境面での利点を最大限に活用するためには、中型車で最大300kgに及ぶバッテリパックの重量追加を、他の部分の軽量化で補う必要がある。その点、Noryl*(ポリフェニレンオキサイド・PPO)樹脂およびValox*(ポリブチレンテレフタレート・PBT)樹脂などのSABICイノベーティブプラスチックスの熱可塑性プラスチックは、スチールに代わるバッテリフレームやハウジングの材料として有望である。また、これらの樹脂は耐薬品性や耐熱性を備え、さらに寸法安定性、難燃性にも優れている。

より高い電力とエネルギー密度を提供するリチウムイオンおよびリチウムポリマー電池の利用増加に伴い、バッテリパックの熱対策のソリューションが求められている。これらのバッテリの最適作動温度は常温で、温度制御には空気冷却よりも効率性の高い液体冷却が頻繁に使用される。これらの液体には、耐薬品性を備えた高性能エンプラ樹脂が必要となる。さらに、バッテリからの電力放出は発熱を伴うため、材料には優れた耐熱性も要求される。SABICイノベーティブプラスチックスのUltem*(ポリエーテルイミド・PEI)樹脂は、優れた耐熱性と高い難燃性を、そして、Valox PBT樹脂は、高耐熱性と耐薬品性を提供する。

ハイブリッド電気自動車においては、電圧が高くなると、インバーターおよび電子制御ユニット、バッテリ管理システムなど複数の電子部品からの潜在的な干渉を制御するために、電磁波干渉/無線周波干渉(EMI/RFI)電磁波遮蔽が重要となる。SABICイノベーティブプラスチックのLNP* Faradex*コンパウンドは、重量のかさむ金属層やメッキが不要で優れたEMI/RFIシールディング特性を発揮する。

車両内部に熱を供給する内燃エンジンに対し、次世代エネルギー自動車は、熱供給や空調をバッテリの電力に依存しており、バッテリからの電力流出防止のため絶縁が不可欠となる。Lexan*(ポリカーボネート・PC)のグレージングを使用した当社のガラス代替ソリューションは、従来のガラスの5倍の断熱効果を提供し、赤外線(IR)吸収特殊グレードのLexan樹脂は高温となる晴天時の車両内部への熱荷重移動を低減して、空調の最適化をさらに促進できる。

SABICイノベーティブプラスチックスは、先進の車両やパワートレインシステムの世界的リーダーであるドイツIAV GmbH社と、電気自動車(EV)およびハイブリッド車のパワートレイン部品に使われている金属部品を最先端の熱可塑性樹脂で代替するソリューションを共同で開発することで合意した。両社の具体的な目標は、次世代車両のバッテリパックの重量を相殺するための軽量化や高電圧域の遮蔽などを含めた車両性能および効率性を最適化できる新たな手段を開発することにある。IAV社は最新のパワートレイン試験、測定装置を所持し、写真は同社開発センターのひとつにあるテストベンチ。

* SABICイノベーティブプラスチックスIP BVの商標です。

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