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薄膜高断熱材「ファインシュライト®」が愛知発明賞を受賞【住友理工】
2022年6月23日
薄膜高断熱材「ファインシュライト®」が愛知発明賞を受賞
住友理工株式会社(本社:名古屋市中村区、代表取締役 執行役員社長:清水和志)は、一 般社団法人 愛知県発明協会(名古屋市中区、会長:深谷紘一)が主催する「令和 4 年度愛知 発明表彰」において、当社の薄膜高断熱材「ファインシュライト®」が愛知発明賞を受賞しま したので、お知らせいたします。
愛知発明表彰は、愛知県内における発明の奨励・振興を図ることを目的に、県内で優秀な 発明をした方々を表彰する事業として、同協会が 1980 年度(昭和 55 年度)から実施。当 社は、技術者の開発意欲向上や固有技術の PR を目的に同表彰に応募しており、前々回の窓 用高透明遮熱・断熱フィルム「リフレシャイン™」(発明奨励賞)に続き、今回、愛知発明大 賞に次ぐ愛知発明賞(他4社)を受賞しました。
「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指すべき企業像に掲げる住友 理工グループは、さらなる技術開発を通じて、より良い社会環境の実現に貢献してまいりま す。
<愛知発明賞「薄膜高断熱材」>
本リリース末尾に添付
<一般社団法人 愛知県発明協会 表彰事業>
https://aichi-hatsumei.or.jp/commendation/
<ファインシュライトに関する過去のプレスリリース>
https://www.sumitomoriko.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/04/n51910543.pdf
以上
※ 「ファインシュライト」は住友理工株式会社の登録商標です。
※ 「リフレシャイン」は住友理工株式会社の商標です。
愛知発明賞
「薄膜高断熱材」
(特許 第 6836556 号)
熊谷信志 住友理工株式会社 研究開発本部 基盤材料開発研究所 技師
片山直樹 住友理工株式会社 新商品開発センター 主任研究員
①応募発明の概要
本発明の断熱材用塗料は、断熱性に優れるシリカエアロゲルを相性が悪い水に安定分散化で
きており、対象物へ容易に塗布でき、薄膜断熱シート化することが可能である。そのため、
自動車、工場等の熱発生源や、保冷ボックス等のスペースに制約があるような部位であって
も、簡便に施工することが可能となり、各種用途で断熱性を飛躍的に高めることができる。
本発明ではシリカエアロゲルを高濃度で水に安定分散化させた断熱材用塗料を開発し、溶剤
レスで環境に優れ、施工性の高い断熱材を供給することが実現できた。
②従来発明等の課題と開発ニーズ
断熱材分野では、一般的にグラスウールや発泡ウレタン等が用いられていたが、断熱性が十
分ではなく、断熱性を向上するためにはある程度の厚みを確保する必要があったため、省ス
ペースかつ高断熱性を有する断熱材が望まれていた。
一方、高い断熱効果を有する材料として、シリカエアロゲル(シリカ一次粒子が連結して骨
格をなし10~50nm程度の大きさの細孔構造を有する)が挙げられるが、その高い断熱
性からいろいろな用途への応用が期待されているものの、軽量な粉体状である扱い難さ、脆
さなどの諸問題により世間一般に普及していなかった。
③応募発明等の特徴
従来、シリカエアロゲルは細孔に水分などが侵入して断熱性能が低下しないように、表面お
よび細孔内部に疎水部位を有するため、塗料化する際の溶媒として疎水性溶媒を用いると、
細孔に溶媒と共に溶解した高分子成分が進入してしまい肝心の断熱性を損なうことになる。
よって、溶媒としては水などの極性溶媒を用いることが好ましいが、シリカエアロゲルは水
になじみにくいうえに、比重が小さいことから、溶媒とシリカエアロゲルが分離してしまい、
水中に分散させることは非常に困難であった。
そこで、応募発明の断熱材用塗料は、一定量のシリカエアロゲルに対して、水、水性エマル
ジョン系バインダーに加え、多糖類を添加することによって、多糖類が分子の絡み合いで増
粘し、シリカエアロゲル粒子と水を分離し難くした。また多糖類は、少量で塗料を増粘させ
ることができると共に、塗膜の熱伝導率を上昇させず、シリカエアロゲルの断熱性能を最大
限に利用できる。また、塗料の粘性が高くなることから、液だれがしにくく、塗料を基材に
薄く塗布しやすくなり、僅かな隙間であっても施工できる高い断熱性を有するシートを形成
することが可能になった。
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