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樹脂成形シミレーションソフト「PD Advisor 3.0」の販売開始【東レエンジニアリング】
2022年3月23日
樹脂成形シミレーションソフト「PD Advisor 3.0」の販売開始
~成形時の変形に対する最適設計の提案機能を業界で初めて付与~
東レエンジニアリングDソリューションズ(本社:東京都中央区、社長:中野 亮、以下「TDS」)は、この度、樹脂部材の成形時に発生する反りなどの変形を設計段階でシミレーションするソフト「PD Advisor」(ピーディー アドバイザー)の新タイプとして、変形を抑制する設計を提案する機能を付与した「PD Advisor 3.0」を開発し、4月から販売を開始します。
成形時に発生する変形を予測するシステムは従来からありましたが、予測を踏まえて変形対策を提案する機能を持つシステムは業界で初めてです。 形状・寸法精度が求められる樹脂部材の設計を効率的に行うことが可能となる特長を生かし、自動車や電子機器用途の樹脂部材メーカー向けに提案を行う計画です。 販売目標は2022年度に30本(ライセンス)、2025年度に50本(ライセンス)です。
「PD Advisor」は、設計段階において樹脂部材の厚みや形状に起因するそりなどの変形を予測するシステムとして2020年に販売を開始しました。またTDSでは量産時の成形条件に起因する形状変化をシミレーションするソフト「3D TIMON」(スリーディー タイモン)も展開しています。これらを組み合わせて提案することで、設計と量産の両面からの樹脂部材の製造の効率化に貢献しています。
樹脂成形は、部材の厚みや形状と、成形時の温度や圧力、型へ流れ込んだ後の温度変化等の成形条件により樹脂の冷却条件に生じるわずかな差が成形物の寸法・形体に影響を及ぼすため、成型品の形状を予測し、コントロールすることは困難です。加えて自動車や電気機器などに使用される複雑な形状を持ちながら、高い水準で寸法・形体の安定性が求められる部材成形には、多様な条件を織り込んだうえでの精緻な予測が求められます。
「PD Advisor」は、従来から形状に起因する成形時の変形を予測するソフトとして展開してまいりましたが、今回TDSの変形要因を高感度に出力する解析技術と、そのデータから変形を抑制する厚みを導き出す設計技術を組み合わせることで、変形を回避する設計の提案機能の付与に成功しました。これにより、実際の成形条件の調整や、高度なノウハウ・経験が求められてきた設計工程を効率的に進めることが可能となり、開発期間の短縮に貢献することができます。
また、本ソフトは、自動車業界をはじめ様々な産業分野に広がっている、解析データや理論式から導出した「モデル」を使用して、シミュレーションを行いながら短期間で開発を行う手法であるモデルベースデザイン(MBD)にも対応する1DCAE*ツールとして使用できます。
TDSは、当社の持つテクノロジー、エンジニアリング技術、ノウハウを駆使してモノづくり現場におけるあらゆる課題解決に向けたソリューションを提供することで、社会に貢献してまいります。
「PD Advisor 3.0」の詳細は以下の通りです。
■商品名:「PD Advisor 3.0」
■製品特長:
・業界初となる成形時の変形を抑える形状の提案機能
・設計条件に起因する成形時の変形予測
■展開用途:自動車や電子機器向け樹脂部材メーカー
■販売目標:
・2022年度 30本(ライセンス)
・2025年度 50本(ライセンス)
<シミュレーションイメージ>
(赤・オレンジ部分が変形予測箇所) |
*1D CAE(Computer-Aided Engineering)
上流段階から製品全体を俯瞰し、適正設計を行うために、物事の本質を的確に捉え、見通しの良い形式でシンプルに表現して行う解析。「PD Advisor」では樹脂部材の反りの現象を的確に捉え、いくつかの要因でシンプルに表現して解析に適用した。
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