ランクセス、カウテックス・テキストロン社と共同で、電気自動車向け大型プラスチック製バッテリーハウジングの試作品を開発

2021年12月15日

ランクセス、カウテックス・テキストロン社と共同で、電気自動車向け
大型プラスチック製バッテリーハウジングの試作品を開発

・カウテックス・テキストロン社とランクセスによる共同研究
・鉄やアルミニウムの代替に
・軽量化・機能の統合化・量産化の面で利点
・量産向け開発の基盤となる技術を用いた試作品

ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス（LANXESS）とカウテックス・テキストロン社（Kautex Textron GmbH & Co. KG）は、数年間にわたり、熱可塑性プラスチックを使用した電気自動車向けバッテリーハウジングの設計・製造に関する共同研究を行ってきました。このたび、フィージビリティスタディ（実現可能性調査）において、量産可能な技術を用いた試作品を開発しました。この試作品は、長さ及び幅がそれぞれ約 1,400 mm、重さが数十キログラムで、技術的にも精巧な大型のオールプラスチック製ハウジング部品です。

このプロジェクトの目的は、軽量化とコスト削減、機能の統合、電気絶縁性において、金属に対する熱可塑性プラスチックの利点を実証することです。

カウテックス・テキストロン社の製品開発ディレクターであるフェリックス・ハース氏は、次のように説明しています。「第一段階として、金属製の補強構造を全く使用せず、これらの複雑で大型のコンポーネントを商業生産できることを証明しました」

ランクセスのハイパフォーマンス・マテリアルズ・ビジネスユニット e-パワートレインチームのプロジェクトマネージャーであるクリストファー・ホフスは、次のように述べています。「今後、カウテックス社とランクセスは、共同研究の成果を自動車メーカーとの製品化に向けた開発プロジェクトに活かしていきたいと考えています」

サイクルタイムの短い単一段階の製造プロセス
今回開発された試作品は、C セグメントの電気自動車向けバッテリーハウジングをベースに開発され、クラッシュ構造のハウジングトレイ、ハウジングカバー、アンダーラン（アンダーボディ）保護材で構成されています。ハウジングコンポーネントは、単一段階の直接長繊維熱可塑性プラスチック（D-LFT）成形プロセスで製造することができます。ランクセスは D‐LFT 成形コンパウンドの材料として、「デュレタン®（Durethan®）B24CMH2.0」を最適化しました。カウテックス・テキストロン社は、プロセス用の PA6 にガラス繊維のロービングを配合しています。ランクセスの連続繊維で強化された熱可塑性コンポジット「テペックス®ダイナライト（Tepex® dynalite）」を用いて、ハウジング構造の局所強化を行いました。ハース氏は次のように述べています。「このプロセスは、鉄やアルミニウムを処理するプロセスよりも短く経済的なサイクルタイムを実現します」

複雑な金属成形が不要で、製造工程が少ない
現在、高電圧バッテリー用のハウジングは、主にスチールまたはアルミニウムの押出成形品で作られています。車両クラスに応じて、ハウジングは長さが 2,000 mm、幅が 1,500 mm を優に超えることがあります。金属製ハウジングは、サイズ、コンポーネントの数、および製造や組立工程の多さによって、コストが非常に高くなります。例えば、ストランドプレス成形から作成された複雑な構造品には、溶接、パンチ、リベットなどの多くの二次的な作業手順が必要です。加えて、カソード浸漬塗装による追加のプロセス工程によって、金属製コンポーネントを腐食から保護する必要があります。

ホフスは次のように述べています。「一方、プラスチックは設計の自由度を最大限に活用できます。ファスナーや熱管理コンポーネントなどの機能を統合することで、バッテリーハウジングの個々のコンポーネント数を大幅に削減することができます。これにより、組立作業と物流作業が簡素化され、生産コストを削減することができます」プラスチックには耐食性や電気絶縁性などの特性があります。電気絶縁性は、例えば、システムがショートするリスクを低減します。プラスチックは密度が低く、軽量化が可能なため、ハウジングの大幅な軽量化につながり、特に電気自動車の分野でメリットがあります。

高度な要件の複雑な組み合わせ
高電圧バッテリー用のハウジングは、多岐にわたる高度な技術的要件を満たす必要があります。例えば、ハウジングには剛性と強度が求められる一方で、衝突時には大きなエネルギーを吸収しなければなりません。これを、機械的衝撃破砕試験によってテストします。また、ハウジングには車両の火災や電気セルの熱暴走を想定した難燃性も求められます。また、ハウジングを車両構造と一体化している必要があります。

ホフスは次のように述べています。「カウテックス社とランクセスは引き続き、コンポーネントの生産と構造設計の最適化に共同で取り組んでまいります。プロトタイプ設計のコストを削減し、将来的に製品化したコンポーネントの市場投入までの時間を短縮するために、開発作業の大部分をバーチャルで実行することが目的です」

新しいモビリティのためのランクセス製品と技術、およびカウテックス・テキストロン社のバッテリー開発に関する詳細は、下記をご覧ください。
https://new-mobility.lanxess.com
www.kautex.com/en/mobility/battery-systems

量産化可能な技術を用いた試作品は、長さと幅がそれぞれ約 1,400 mm あります。このシステムは、重さが数十キログラムで、技術的に精巧な大型オールプラスチック製ハウジング部品です。
（写真：カウテックス・テキストロン社）

この試作品は C セグメント電気自動車のバッテリーハウジングをベースに開発されました。クラッシュ構造のハウジングトレイ、ハウジングカバー、アンダーラン（アンダーボディ）保護材で構成されています。
（写真：カウテックス・テキストロン社）

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これは、ドイツ・ケルンで11月30日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文（英語）は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com

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ランクセスは、世界 33 カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2020 年の総売上は 61 億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 14,900 人です。主な事業は、中間体、添加剤、特殊化学品及びプラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス（DJSI World）、ヨーロッパ・インデックス（DJSI Europe）および「FTSE4Good」の構成銘柄です。ランクセスについての詳細は同社 URL にてご確認下さい。
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