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ハイブリッド車と電気自動車の走行距離の最大化に役立つ内蔵トランス・モジュール技術を発表【日本テキサス・インスツルメンツ】
2021年9月29日
ハイブリッド車と電気自動車の走行距離の最大化に役立つ内蔵トランス・モジュール技術を発表
システムの小型化・軽量化のニーズに応え、電源ソリューションサイズを半分に縮小し、
使いやすいバイアス供給モジュールを開発
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、業界最小で最高精度の 1.5W 絶縁型 DC/DC バイアス電源モジュールを発表しました。『UCC14240-Q1』は独自の内蔵トランス技術を採用し、電気自動車 (EV)、ハイブリッド車 (HV)、モーター駆動システム、グリッド接続型インバータなどの高電圧環境で、電源ソリューションのサイズを半分に縮小することを可能にします。製品の詳細に関しては、www.tij.co.jp/UCC14240-q1-pr-jp をご覧ください。
EV 市場の成長の加速に伴い、自動車の設計エンジニアは効率と信頼性の向上に加えて、EV の中で最も重いコンポーネントであるパワートレインの重量を削減できる方法を探し求めています。システムの小型化と信頼性の向上による走行距離の延長というニーズを満たすために、エンジニアは個々の絶縁型ゲート・ドライバに専用のバイアス電源を備える分散型電源アーキテクチャへの移行を進めています。このアーキテクチャは、シングル・ポイント障害に対するシステムの対応方法を改善します。たとえば、1 個のバイアス電源で障害が発生した場合、他のバイアス電源は引き続き動作し、それらが電力供給する各ゲート・ドライバも引き続き動作します。その結果、路上走行中に障害が発生した場合でも、自動車の安全性を維持できます。
『UCC14240-Q1』のような完全統合型電源ソリューションを採用すると、エンジニアは分散型アーキテクチャの利点を活用しやすくなります。詳細については、技術記事『分散型電源アーキテクチャを採用して次世代 EVシステムを駆動』をご覧ください。
TIのバーチャルイベントTI Live! Tech Exchange(US時間9/27-29開催)で、『UCC14240-Q1』の製品デモンストレーションを実施します。詳細はti.com/techexchangeをご覧ください。
業界をリードする電力密度とシステム効率を通じて走行距離を延長
『UCC14240-Q1』は、サイズと効率に関する利点を活かして電力密度とシステム効率の向上を可能にし、それによって充電から次の充電までの自動車の走行距離を延長できます。高さ 3.55mm でフットプリントの小さい『UCC14240-Q1』は、電源ソリューションの体積を最大 50% 縮小し、より多くの電力を半分のサイズで提供できます。また、高さを低減した結果、エンジニアはモジュールをプリント基板のどちら側にも柔軟に配置できます。
このデュアル出力パワー・モジュールは、60% の効率を実現します。これは競合製品の 2 倍の値であり、電力密度の倍増を意味し、サイズと重量の軽減を通じて自動車の走行距離延長に役立ちます。周囲温度が 105℃ でも 1.5W を上回る電力を供給できるので、『UCC14240-Q1』を採用すると、IGBT (絶縁型ゲート・バイポーラ・トランジスタ)、SiC (シリコン・カーバイド)、GaN (窒化ガリウム) の各スイッチを高周波で駆動できます。
高い CMTI と非常に小さい EMI を実現し、開発期間短縮に貢献
『UCC14240-Q1』は TI の内蔵トランス技術を活用し、1 次側から 2 次側への静電容量が 3.5pF と小さいため、高速スイッチングに起因する EMI を低減し、150V/ns を上回る過渡電圧耐性 (CMTI) 性能を容易に実現することができます。
ソフト・スイッチング、周波数拡散、小さい寄生成分という特長のある『UCC14240-Q1』は、CISPR (Comité International Spécial des Perturbations Radioélectriques:国際無線障害特別委員会) 25 と CISPR 32 の各電磁適合性 (EMC) 規格を容易に満たし、開発期間の短縮を可能にします。
温度範囲全体にわたる業界最高の精度と絶縁機能により、自動車の性能を保護
『UCC14240-Q1』が内蔵している閉ループ制御は、-40℃ ~ 150℃の温度範囲で±1.0%の精度を可能にします。このデバイスは厳格な公差を維持しているので、余裕を見込んだ大電力パワー・スイッチの代わりに、より定格電力の小さいパワー・スイッチを使用でき、過電流保護機能の改善にもつながります。フォールト監視、過電流保護、過電力保護、過熱保護の機能をすべて統合済みです。『UCC14240-Q1』は、サード・パーティーによって認証済みの 3kVrms 絶縁を達成しているほか、超低重量と 3.55mm の高さにより業界最高の耐振動性を実現しています。
パッケージ、供給と価格について
『UCC14240-Q1』の量産前バージョンは、36 ピン、12.8mm x 10.3mm x 3.55mm のシュリンク・スモール・アウトライン・パッケージで TI から供給中です。1,000 個受注時の単価 (参考価格) は 4.20 ドルから設定されています。TIウェブサイトでは、日本円でのご購入が可能です。また、お支払い方法や注文時の各種オプションをご用意しています。この製品の評価に使用できる UCC14240Q1EVM-052 評価基板を TI ウェブサイトから 59 ドルで供給中です。
※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。
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