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世界初、転がり軸受用「バイオマスプラスチック保持器」を開発【日本精工】
2021年9月28日
世界初、転がり軸受用「バイオマスプラスチック保持器」を開発
・植物由来の原料によりCO2排出量を9割削減
・NSK独自のリアルデジタルツインにより開発期間を1/3に短縮
当社は、転がり軸受用としては世界初の100%バイオマスプラスチック*1由来の耐熱樹脂保持器を開発しました。本製品は、従来の100%バイオマスプラスチックの課題となっていた耐熱性を高め、120℃レベルの高温環境下での使用が可能です。植物由来の資源を使用することでScope3*2でのCO2排出量を削減でき、カーボンニュートラルの実現に貢献します。
NSKは、2022年に自動車、家電向けへの本開発品の適用を目指し、その後も更なる用途拡大を目指します。
*1:バイオマスプラスチック:
再生可能な生物(主に植物)由来の資源を原料にしたプラスチック
*2:Scope3:
自社排出量以外の、原材料・商品の調達、配送、商品使用、廃棄過程から出る温室効果ガスの排出量
開発の背景
地球温暖化などの環境問題を背景として、カーボンニュートラルの実現に向けた社会的取り組みが注目される中、化石由来のプラスチックに代わって植物を原料とするバイオマスプラスチックの普及が期待されています。しかし、バイオマスプラスチックの機械部品への適用には強度や耐熱性が課題でした。
本製品の特長
1. 軸受材料設計技術による材料の選定
NSKのコアテクノロジーのひとつである材料技術を活用し、転がり軸受用樹脂保持器として利用可能なバイオマスプラスチック材料として、DSM社のEcoPaXX®(エコパックス)材料特性を評価し、樹脂保持器への適用を実現しました。
EcoPaXX®に使用される材料:トウゴマ |
2. リアルデジタルツイン*3の活用による開発期間の短縮
NSKのコアテクノロジーの1つである解析技術を駆使し、最適な射出成形条件や軸受回転時の負荷を予測しました。また、解析結果を元に樹脂保持器を試作、軸受回転時の挙動を可視化することで、保持器としての性能を評価しました。リアルとデジタルの双方向から検討を進めることで、従来のおよそ1/3という短期間で、バイオマスプラスチック保持器の開発に成功しました。
*3:リアルデジタルツイン・・・・・現象の内部を詳細に観察し、そのカラクリの推理、モデル化を通じ本質を理解することで、既成概念を打ち破るソリューションを発想するNSK独自の開発手法
製品の効果
本バイオマスプラスチック保持器の適用により、ライフサイクル全体におけるCO2排出量を従来品(ポリアミド66)に対して91%削減し、カーボンニュートラルの実現に貢献します。
NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、また電動パワーステアリング、ボールねじなどにおいても世界をリードしています。
企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げています。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していきます。
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