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世界初! 1分以内で熱可塑性CFRPの車体骨格製造を実現【帝人】
帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:大八木 成男)は、このたび、世界で初めて炭素繊維複合材料(CFRP)を1分以内で成形する量産技術を確立しました。これは熱可塑性樹脂を使用することで実現したもので、この量産技術が確立したことにより、熱硬化性樹脂を用いる従来のCFRPでは成し得なかった量産型自動車への採用の可能性を大きく前進させることになります。
また、1分以内で成形したこの熱可塑性CFRPを使用するとともに、CFRP接合技術を用いて金属使用量を低減し、極限まで車体骨格を軽量化したオール熱可塑性CFRPのコンセプトカーを、この機に合わせて製作しました。
今後、このコンセプトカーを活用し、自動車メーカーや部品メーカーに対して、より積極的に技術の周知を図るとともに、自動車の軽量化に求められる技術の共同開発を推進します。また、CFRP製部品供給体制を整えることにより、早期に炭素繊維複合材料事業の川中・川下展開を推進していきます。
1. 背景
(1)2012年より、欧州において自動車のCO2排出量規制が段階的に実施されるなど、自動車の軽量化は喫緊の課題となってお
り、従来の鉄やアルミなどの部材に代わる軽量部材としてCFRPが注目されています。
(2)帝人グループは、「自動車・航空機」を注力市場の1つと位置づけており、2008年7月には帝人(株)複合材料開発センターを
設置して、グループ会社である東邦テナックスと連携して、CFRPの開発を推進してきました。
(3)自動車用途としては、ホンダレジェンドのプロペラシャフトやレクサスLFAの車体骨格用構造材をはじめ、これまでに熱硬化性
CFRP製の数々の部品を開発した実績があります。
(4)こうした中、技術の進歩により、熱硬化性CFRPにおいても最短5分程度で成形可能な技術が開発されていますが、次世代に
向けた環境対応の量産車など、1 分前後での成形が求められる量産車向け材料としては適していませんでした。そのため、素
材としての採用は一部の高級自動車用などに限られており、短時間成形を実現するため新たな材料や、量産化を可能にする先
進的な技術の開発が求められていました。
(5)また、自動車部材への採用拡大にあたっては、CFRP同士の接合技術、および異素材間の接合技術の確立も課題となってい
ました。
2. 開発の成果
(1)このたび、複合材料開発センターにおいて、熱可塑性樹脂を用いることにより、CFRPを1分以内で成形する量産技術の確立
に成功しました。
(2)この技術は、炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた中間材料をプレス成形するもので、従来方法に比べて簡便に、且つ高速
で成形することを可能にするものです。
(3)これにより、量産車などの構造材のみならず、工作機器やロボットなど、より短時間での成形が求められる部材への採用が期
待されます。
(4)また、これらの中間材料には、ポリプロピレンやポリアミドをはじめとするあらゆる熱可塑性樹脂を使用することが可能であり、
強度・コストの両面から、使用部位に応じた最適な素材を選択することができます。
(5)さらに、熱可塑性CFRP同士の強固な接合を実現し、異素材間の接合技術を組み合わせることで、金属使用量を低減化する
ことに成功しました。
3. オール熱可塑性CFRP車体骨格のコンセプトカーについて
(1)概要
・車体骨格重量:47kg(従来の車体骨格構造に比べて約1/5)
・常用速度:60km/時
・1回の充電による走行可能距離:100km
・定員:4名
(2)組み込まれている新技術
・中間材料:このたびのオール熱可塑性CFRP車体骨格実現に必須の材料として、使用部位のニーズに応じて使い分けが可能
な次の3種類の中間材料を開発し、活用しています。
1)一方向性基材:限定方向に対して高い強度が要求される部位に適した中間材料。
2)等方性基材:あらゆる方向に対して強度が等しく、形状自由度と材料設計自由度が高い中間材料。
3)LFT(Long Fiber Thermoplastic pellet) : 複雑形状部位に対応する射出成形に適した高強度の炭素繊維強化ペレット
・成形技術:新開発の中間材料を用いて、世界で初めて1分以内でのCFRP成形を可能にするプレス成形技術、
および量産技術を確立し、活用しています。
・接合技術:熱可塑性CFRP同士の接合技術、およびスチールなど異素材との接合を可能にする技術を活用しています。
4.今後の展開
(1)複合材料事業の成長を加速するため、現在の複合材料組織と、現時点における複合材料の主力素材である炭素繊維事業と
を統合し、本年4月に「炭素繊維・複合材料事業グループ」を新設します。
(2)帝人グループは、総力を挙げてCFRP普及のための技術開発を推進し、自動車のみならず、強度と軽量化を求められる用途
への採用拡大を図り、川中・川下への展開を強化していきます。
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