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オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」のスーパーコンピュータ「富岳」での計算検証に関するご報告【IDAJ】

2021年7月15日

  

オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」の
スーパーコンピュータ「富岳」での計算検証に関するご報告

  

株式会社IDAJ(以下IDAJ)はこのたび、富士通株式会社様(以下 富士通)と協働し、スーパーコンピュータ「富岳」ならびに「富岳」の技術を活用した「PRIMEHPC FX1000」で、大規模かつ高精細な解析が高速に行えることを実証するためのプロジェクトに参加しました。動作検証や性能チューニングは、Convergent Scienceが開発したオートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」で実施しています。本リリースでは、CONVERGEでの検証内容をご紹介します。

オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」

CONVERGEは、シミュレーショプロセスの最大のボトルネックの一つと言われてきたメッシュ生成をプロセスから排除することに成功した革新的なCFDソフトウェアとして、2008年にリリースされました。CONVERGEは、最新テクノロジーに対応するためバージョン3.0からコードを刷新することで、高い並列効率を実現しています。IDAJは2013年から日本国内での販売・技術サポート、エンジニアリングコンサルティングサービスの提供を開始しており、今回のプロジェクトに参加しました。


図1:バーナー火炎計算における計算効率

図2:移動を伴うエンジン筒内計算での並列効率

  

スーパーコンピュータ「富岳」での検証結果

1・2の研究は、HPCIシステム利用研究課題(課題番号:hp200209)を通じて、理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」の計算資源の提供を受け実施

1. ポーティング検証と並列性能検証
x86機で計算した、エンジンポート定常流解析とガソリンエンジン燃焼解析の結果と「富岳」(ARM)で計算した結果が一致することを確認しました。このとき、1coreあたり数千以上のセルが分配される条件においてcore数を2倍にすると、計算が1.8倍程度高速化する良好な結果が得られました。


図3:定常ポート流解析(流速コンター図)

図4:ガソリンエンジン燃焼解析(内部圧力の時系列の推移)

図5:並列core数と計算速度の関係

図6:コア数増大に対する計算速度向上率

2. 大規模燃焼計算
「富岳」を利用して、数千並列という超大規模並列計算を実施しました。CONVERGEではオートノマスメッシング法を使用するため、解析の進展によって総セル数が変動しますが、最大で700万メッシュ、ノード数385を使用して4,620並列で計算しました。粗い計算格子によるRANS解析では表現が難しいしわ状化した火炎構造を示す結果が得られ、またその燃焼解析部分にかかる計算時間はわずか2.7時間でした。さらに、ノッキングに影響を及ぼす低温酸化反応の代表的な中間生成物(C8KET)に関して、RANSでは温度・燃料濃度分布の平坦化のため壁面付近のみに偏在するのみですが、LESではエンジン筒内のより広範囲に分布し、様々な領域で反応が進行していることが確認できました。

●解析設定
燃焼モデル:詳細化学反応SAGE
乱流モデル:LES
メッシュ(計算格子):最大700万メッシュ、全域0.5mmサイズ
計算時間:2.7時間(385ノード4,620core使用)
解析結果:図7

●(比較計算)解析設定
燃焼モデル:詳細化学反応SAGE
乱流モデル:RANS
メッシュ(計算格子):最大700万メッシュ、解適合格子(Adaptive Mesh Refinement、AMR)最小計算格子サイズはLESと同じ
解析結果:図8


図7:LESでの解析の結果

図8:RANSでの解析の結果

ここからの計算には、富士通のFX1000を用いて実施しました。

3. 大規模燃料噴射計算
「本自由噴霧計算からは、噴霧周囲に形成される大小の渦構造を捕え、非軸対称の噴霧形状が得ることができました。

●解析設定
噴霧モデル:ラグランジュ混相流(抵抗、分裂、衝突合体、蒸発)
乱流モデル:LES
メッシュ:最大1,000万、最小0.0625mmサイズ
計算時間:8.8時間(384core)


図9:LESによる燃料噴霧計算

4. その他
下記に示す物理モデルが正常に動作することを検証し、エンジン以外の分野においても従来のx86アーキテクチャ同様に利用できることを確認しました。
・回転力考慮(MRF:Multiple Reference Frame)
・Inlaidメッシュ(壁面近傍レイヤーメッシュ)
・流体構造連成解析(FSI)
・シーリング
・流体固体熱連成解析
・混相流解析(VOF+キャビテーション)
・尿素SCR

  

今後の展望

今回のプロジェクトおいて、CONVERGEがスーパーコンピュータ「富岳」で正常に動作することを確認し、大規模・高精度な筒内燃焼計算をはじめとした幅広い解析テーマにおいて、高速な計算が可能であることを実証したことで、今後、製造業各社において「富岳」のリソースの有効活用ができることを確認しました。 2021年中にリリース予定のCONVERGEの次バージョンではARM版ソルバーの提供を開始し、「富岳」ならびに「富岳」相当の計算機環境を利用するユーザーへの一般提供を開始します。

商品名:オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」

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Convergent Scienceについて
アメリカ ウィスコンシン州マディソンに本社を置くConvergent Scienceは、計算流体力学(CFD)ソフトウェアの世界的リーダーです。Convergent Scienceの使命は、正確で用途が広く、ユーザーフレンドリーなソフトウェアを作成し、比類のないサポートを提供することによって、お客様が革新的なCFDシミュレーションを実行できるようにすることです。Convergent Scienceの主力製品であるCONVERGEは、オートノマスメッシングによってグリッド生成のボトルネックを解消する革新的なCFDソフトウェアであり、高度な物理モデル、完全に結合された詳細な化学的性質と移動するジオメトリに簡単に対応する機能を備えています。CONVERGEはCFD業界に革命をもたらし、パラダイムを予測的CFDにシフトしています。詳細はhttps://convergecfd.com/をご覧ください。

  

本件に関するお問い合わせ先
株式会社 IDAJ 営業部
〒220-8137 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1-1 横浜ランドマークタワー37F
TEL:045-683-1990 FAX:045-683-1999
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